2011年12月14日

12月14日「Ishinomaki2.0『石巻マルシェ』」

今週は、宮城県石巻の若い世代が立ち上げた草の根の復興プロジェクト「Ishinomaki2.0」の現地レポートをお送りしています。

江戸時代から続く石巻の老舗旅館の14代目で、旅館から独立したダイニングバー「松竹」を開業した阿部久利さんは、津波でお店を失いました。
しかし、同じ場所に新たに「松竹」を建てて、商売も一部再開されています。

地域の老舗を受け継いだ若き経営者である阿部さんの、今までの考え方を大きく変えたのが、今回の震災でした。

◆震災を機に、物事がよい方向に変わるなら
 「頑張んなきゃな」という気持ちが湧くと同時に、ここまで痛めつけられて、マイナスまでなってしまった。なら一から作り直した方がいいんじゃないかと思った。今までは日和見で、「おじさんたちが決めたことをやってればいいんでしょ。その中で生きられているからいいか」という感じだったが、これを機会に良い方向に物事が変わるのなら、今やらなくてどうするのと。そういう話をしていたら、Ishinomaki2.0のメンバーが集まってきた。
 この町の良さってなんなんだと突き詰めて考えた。商店街の人たちを集めて勉強会を開き、再開発していく中で、どういう街がいいのかを住民同士で考え直す機会、情報共有を始めた。
 他になくて石巻にあるのは、川港という地の利、歴史。その歴史の中で先祖代々商売させてもらってきた。それは受け継いでいかなければいけない。昔、港機能を備えた街だったころは人も集まるにぎわいのある場所だった。それを郊外に分散したため人が集まらない街になってしまった。なら人が集まる場所、捕った魚を売る場所、ヨーロッパで言う市場、港町にいくとある氷が敷き詰めて魚のある場所。築地の場内のお洒落バージョンみたいなものを作って、川を大漁旗を立てた船が登ってきて荷卸しするとか。そしてそこに移動販売車がいて、屋台をやったり。でっかい話になり今はお金を集めてる。



阿部さんはIshinomaki2.0として、地元食材などを販売する小さな市場「石巻マルシェ」を考案するなど、飲食業の経営者らしい発想で動き続けています。
また石巻マルシェは、東京・大森商店街にも週末限定でオープンしています。


◆町の復興を、ひとつのチャンスと捉えている
 少なくともIshinomaki2.0のメンバーはチャンスだと思っている。
 いかに自分たちが今までコントロールされてきたか、決められた枠の中で生きてきたかというのを痛感した。逆に言えば、もっと自由にやりたいことをやっていいんだ、と思っちゃったのが石巻の人たち。行政がこうしろということをしなくてもいいんだ。やりたいと思ったことをやれば形になると気付いちゃった。だからそういう雰囲気を感じ取った若い子たちが集まってきちゃってる。
 大災害があるとそこには革命が起きると言うが、それは理解できる。既存の体制が機能しなくなった状態で個人個人が発言しだす。何らかの動きをすると、それがすぐに形になる。そのドラマチックな展開が、みんなのクリエイティビティを刺激するんだろう。それを直感する人たちが集まってきている気がする。





ダイニングバー「松竹」オーナー、阿部久利さん


【Ishinomaki2.0】

2011年12月13日

12月13日「Ishinomaki2.0『石巻工房』」

今週は、宮城県石巻の若い世代による、草の根の復興プロジェクト「Ishinomaki2.0」の現地レポートをお送りしています。

今月、石巻市中央の通り沿いの、津波で浸水した建物の1階部分に生まれたのが「石巻工房」。




ここはIshinomaki2.0の活動拠点であり、その活動のシンボルのような場所です。
Ishinomaki2.0の松村豪太さんにお話しを伺いました。

◆「石巻工房」は、市民工房
 震災後、大工さんがこない。お店が直せないしどのくらい直していいか見当もつかない。建築制限があり、大規模補修をしても無駄になってしまうかも知れない。とりあえず住めるように、例えばドアひとつ直すならドライバー1本で意外と直せる。そうしたことの出来る身近な装置として作った。
 あとはモノ作りに触れあって欲しい。電気ノコギリとインパクトドライバーがあれば意外とものは作れる。やってみる行為が素晴らしい。ものを生み出す体験。しかも自分で作ったものは自分で直せる。大工さんに頼むと、また改めて大工が必要。見てくれが悪くても自分で作ったものは把握できる。
 Ishinomaki2.0の活動にも通じる。街を自分たちの手作りでやろうとしている。そうすると不具合が起きたときに、自分たちで作った仕組みだから修正が可能。それは住みやすい街。大工仕事も街の仕事も、不具合が怖くない。自分で直せばいい。



石巻工房は、市内の方を集めたワークショップも行なっていて、そこで手作りされた木のベンチなどは、仮設住宅や、街のあちこちに置かれ始めています。
まさに石巻の人達自身が、街を形作っているんです。


◆石巻工房が目指すもの
 製品として作り、流通して販売したい。仕事が無くなってしまった人も多いので、少しでもお金が発生する仕組みを作りたい。流通もある程度相談ができている。いいものを作れば売れるのではないかと見込んでいる。
 家具メーカー、六本木のギャラリーのデザイナーに活動に共感してもらい、デザインは担当してもらった。そのデザインを元に、手芸やペーパークラフト、絵はがき作りなどを住民と共にやって、石巻工房というブランドがすでに始まっている。焼き印を押すとなかなか素敵。販売することで自立に向けた経済活動を起こしたいと考えている。



既に石巻工房ブランドのベンチやスツールは、ウェブを通じて販売がスタート。
さらに工房では、被災された方の要望を受けた、家具の製作も続いています。
工場長の千葉タカヒロさんは、憎まれ口を叩きながらも、すごく楽しんでいるようです。

◆趣味で続けていたDIY
 元々寿司職人。趣味でやっていたら、こいつDIYできるじゃんとなって、やってみないかとそそのかされてやらされている。
 もう一人小泉君という横浜の建築家の卵が長期滞在して番頭役をしているが、朝起きてこないので 私が起こしに行く。将来的には解放して、さくっと来て作る場にしたい。作ってくれっていうのが多い。小泉君はできないくせに安請け合いする。キミが作れと思う(笑)。


【石巻工房】
【Ishinomaki2.0】
«前の記事へ || 1 | 2 | 3 |...| 1026 | 1027 | 1028 |...| 1066 | 1067 | 1068 || 次の記事へ»

パーソナリティ 鈴村健一

メッセージ、ご意見、プレゼントご応募はこちら

特別番組 LOVE & HOPE ~10年目の春だより

TOKYO FM 特別番組 HANABI

「LOVE&HOPE~防災ハンドブック2015」PDF版ダウンロード配信中

アーカイブ

  • いのちの森
  • Support Our Kid's
  • TOKYO FM
  • JFN