2014年2月19日

2月19日 東北メディカル・メガバンク機構(4)

今週は「東北メディカル・メガバンク機構」の活動をシリーズでお伝えしています。

「被災した地域の方々の健康サポート」を目的に設立され、 「医療情報の電子化」や「未来型医療への取り組み」も行っている東北メディカル・メガバンク機構。
その活動の大きな柱の一つが、地域医療の担い手となる医療スタッフを支える仕組み、「循環型医師支援制度」です。お話は、山本雅之機構長です。

◆地域医療の担い手を育てる「循環型医師支援制度」
震災後、東北大学の医学部の学生、さらに東北地方や全国の医学部の多くの学生が、非常に志が高く、被災地に貢献したいという気持ちを持っておられた。でも、もう一つの問題として、彼らも常に技量を磨き、医師としてキャリアを積まなければいけない。
そこで、わたしたちは、「被災地で働く期間」と「大学病院に戻って、高度研修をしたり最先端研究をする期間」を組み合わせる形で、「循環型医師支援制度」を考え、実践している。ある期間、被災した地域の病院に行って、地域の皆さんと一緒に地域医療をやる。でもそれだけを続けているとモチベーションが続かなくなったり、最先端医療から取り残されてしまう。そこで、一人の方が地域医療に従事している間は、他の方は大学で研修する。一人が終わると次の方が行く。その結果として、地域一つの病院のポジションはいつも埋まっている、という循環型のシステムを考えた。
具体的に動き出したのは平成24年の10月から。いま(宮城県内)6病院を支援している。
東北大学の医学部の卒業生が中心だが、40名近い医師の方が全国からこの制度に共鳴してが参加してくれている。地域医療の厳しい現場のことを考えると、若手の医師が参加することによって、一人当たりの診察の数とか、当直の回数とか、客観指標でみても、改善がみられ、地域医療の大きな応援となっている。


機構では、この「循環型医師支援制度」を支える医師を「ToMMo(とも)クリニカル・フェロー」と呼んでいます。「ToMMo(とも)」は「東北メディカル・メガバンク機構」の頭文字。
循環のサイクルは4カ月が基本。地域医療の現場と大学病院での研修や研究を、4カ月ごとにバトンタッチしていきます。

医療復興は医療スタッフがいてこそ。でも誰かが頑張るだけでは限界があります。
今回の取り組み、医師不足に悩む全国の他の地域のモデルにもなるのではないでしょうか。

2014年2月18日

2月18日 東北メディカル・メガバンク機構(3)

今週は「東北メディカル・メガバンク機構」の活動をシリーズでお伝えしています。

「東北メディカル・メガバンク機構」は、仙台市にある東北大学を中心に、気仙沼、石巻、多賀城など宮城県内に7カ所の「地域支援センター」を設置して、活動しています。

今日は、山本雅之機構長のお話。「東北メディカル・メガバンク機構」の目的と意義について、改めて伺いました。
   
◆「東北メディカル・メガバンク機構」とは
東北メディカル・メガバンク機構ができた目的は震災復興。厳しく傷ついた地域医療の復興をどうするか、そこに一つの軸足がある。津波で地域医療が大きく傷ついて、大きな病院も次々と流されてしまったし、そこで働く医療人が確保できないという問題もでてきた。そこで若手の医療人が地域医療に参加できる仕組みづくりをやろう、というのが一つ。また二度と津波でカルテを失わない次世代型の医療体制の確立。
さらに、東北が新しい医療の中の最先端地域になるような「ゲノムコホート」「バイオバンク」というものをつくろうと思っている。健康な人に集まっていただいて、ずっと将来に渡って追いかけていくと、病気が出てきたときに、健康なときの生活習慣や検査データが揃っているので、どういう生活習慣や遺伝的な背景があるとこの病気になるのか、ビフォー・アフターを両方調べることができるので、未来の医療に向かってコホートの参加者の方に協力してもらいたいと思っている。遺伝的な要因は一人一人違う。その人その人にあったリスクを調べ、その人その人に会ったリスクを乗り越える生活習慣の改変をしていく。専門的な言葉でいうと「個別化予防(個人に即した予防)」を東北メディカル・メガバンク機構では開発して、その成果を、参加していただいた宮城県の被災者の方たちに、一番最初にお返ししたい、と考えている。


「コホート調査」が実施されているのは、現在、宮城県全域と岩手県の一部のエリア。希望をすればだれでも参加することができます。詳しくは、木曜日、金曜日のこの時間に改めてお伝えします。

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パーソナリティ 鈴村健一

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