2013年10月31日

10月31日 災害時の民間ヘリコプターの支援活動(高橋ヘリコプターサービス)3

今朝も引き続き、 “民間ヘリコプター”による災害支援についてお伝えします。

東日本大震災の発災直後、いち早く被災地へ飛び支援活動を続けた、茨城県の民間ヘリ会社『高橋ヘリコプターサービス』代表、高橋雅之(まさゆき)さんは、被災地の支援活動に、民間ヘリが有効活用できない現実に直面します。

そして高橋さんは、災害支援のための行政・各団体の連携組織『シビックフォース』とともに、民間ヘリを有効活用するための新たな団体を発足。それが、『NPO法人 オールラウンド・ヘリコプター』です。



◆被災した医療過疎地に民間ヘリを
気仙沼は診療所が流されるなど色々なことがあり、未だに「医療過疎」の状態にある。目の前に(離島の)大島もあるので、そこで医療用の多目的ヘリコプターを使う。気仙沼の場合、急患などは石巻の赤十字病院まで救急車で運んでいる状況にある。そういう医療過疎の場所で、ヘリコプターを使って何かできないかということで、「オールラウンドヘリコプター」という名前のNPOを作り気仙沼での作業を始めたところ。ドクターヘリとは違うが、救命救急士も同乗して、海外でもやっているEMS(エマージェンシーメディカルサービス)のような、ドクターや医療まで運び、なんでもする多目的医療ヘリを目指した団体。例えばドクターヘリでも、ベースから医療過疎地に飛ぶため片道分が余計かかる。であれば、医療過疎地にヘリコプターを置くことで短時間で色々な行動ができるのがメリット。また、気仙沼にベースがあれば周りのことに対してすぐに対処ができる。高橋ヘリコプターサービスのある茨城県から飛ぶと、気仙沼まで1時間半かかってしまう。それが気仙沼にベースがあれば石巻まで15分から20分以内。仙台の病院にも30分で到着できる。いかに書道段階での動きができるかということで、強みがあると思っている。通常、ドクターヘリも防災のヘリコプターも、県単位でやっているため県境の問題がある。今は何県かで協定を結んでいるところもあるが、縦割り行政の弊害がある。それと関係なく、県境を飛ぶミッションでもなんでも使える、という意味のオールラウンドを目指している。それで気仙沼をはじめ、南三陸町、一関と協定を結び、運び先の石巻の赤十字病院とも協定を結び、ようやく準備がスタート。23日から本格始動する形になっている。


このNPO法人は、先週から本格的な運用がスタート。民間主導による医療用ヘリコプター事業は、全国的にもとてもめずらしい試みだといいます。シビックフォースなどの支援団体からの寄付、地域医療に関する補助金などで、運営されます。高橋さんは、「低予算な民間ヘリで、人命を助けられるモデルケースにしたい。」と話しています。

来週のこの時間は、中西哲生とパラリンピアン・佐藤真海選手が仙台からお届け。宮城県石巻市のサンファンフェスティバル、ツール・ド・東北などをご紹介します!!

2013年10月30日

10月30日 災害時の民間ヘリコプターの支援活動(高橋ヘリコプターサービス)2

きのうに引き続き、 “民間ヘリコプター”による災害支援についてお伝えします。

東日本大震災の発災直後、いち早く被災地へ飛び、宮城県・気仙沼への物資の輸送などの支援活動を続けたのが、茨城県にある民間ヘリ会社『高橋ヘリコプターサービス』です。

この会社の代表、高橋雅之さんは、大災害の発災直後にヘリコプターが果たす役割を、こう考えています。

◆ヘリコプターにしかできない支援
生存確率について、発災初期段階72時間以内ということがよく言われる。
先日の伊豆大島の台風被害でもそう言われたが、そのあいだにどれだけの人の命を助けられるかが重要。道路も寸断され、気仙沼大島のような行き来のできない孤立した場所も、ヘリなら2〜3分で行くことができる。日本の国土を考えるとヘリはもっと有効活用されても良いのかなと思う。

こうした考えから、高橋ヘリコプターサービスは一昨年の震災直後、いち早く被災地へ向かいました。しかし高橋さんは、民間のヘリコプターが有効活用できない現実に直面します。

◆教訓が生かされていない
ヘリで行っても、モノを運び人を助けることができず、やみくもに飛んで行ってもやりようがない。災害当時に航空局に連絡を取っても、政府の依頼かと確認され、飛行場に降りる許可も出ないし、相手は分ける燃料もない。「自分たちで勝手にやれ」という感じだった。航空局に問い合わせても、有事なのに平時の対応で、「政府の依頼か」という。NPO、NGOの関係で人道的支援で飛ぶと説明しても、平時の対応をしなさいと言われる。それでは動きが取れないので、自分たちの責任において、私の場合は、お叱りを受けてもいいから、自分の気持ちで飛んで行ったというのが最初の頃。

飛んで行って現場を見ると、こんな状況だというのを国として分かっているのかという疑問符が頭の中をよぎることもあった。こんな大災害、オールジャパンでやらなくてどうするんだという風にも思った。言葉はきついが、色んな災害があるのに教訓が生かされていないのは感じる。そんな中で一生懸命やって少しずつ色んなことが変わっているのは分かるが、実際にはヘリが飛んでいても、統制がとれているかやみくもに飛んでいるのかは無線で聴いていて分かった。もっとうまくできるのではないかなと。自衛隊など組織的なところの命令系統などが色々できると思うのだが…そういう歯がゆさを感じた。


震災時に民間ヘリコプター会社として感じた「歯がゆさ」。この経験から立ち上がった団体が、民間のヘリコプターを、有効活用するための新たな団体、 『NPO法人 オールラウンド・ヘリコプター』です。実は先週から、本格運用がはじまっています。これについて詳しくは、明日のこの時間にお伝えします。

明日も、高橋ヘリコプターサービス代表 高橋さんのインタビューです。
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パーソナリティ 鈴村健一

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