2013年6月24日

6月24日 宮城県亘理郡山元町「災害公営住宅」(1)


東北各地の被災地では、長期にわたる仮設住宅での暮らしが続いていますが、山元町では今年4月、宮城県で初めて、「災害公営住宅」への入居が始まりました。現在建設されているのは18棟。このうち、17世帯がすでに入居して、新しい「我が家」での生活をスタートしています。

お話は、山元町まちづくり整備課の班長、齋藤哲さんです。

◆災害公営住宅600戸の建設を目指して
昨年7月、被災された皆さんに、震災後の住まいに関する意向調査を行った。対象世帯数は2600あまり。そのうちおよそ600世帯が災害公営住宅を希望されているというのが個別面談の結果。4月1日にようやくそのうちの18戸が入居できた、という状況。
これに至る経緯としては、建築資材の不足、コンクリートの不足、人出不足、入札不調による建築の遅れなどがあり、被災された方の自立再建(=災害公営住宅の建設、入居)の進行に、厳しい状況があった。
いままでは宮城県に公営住宅の整備、建築を委託して行っていたが、町で独自で一括発注方式をとることによって、よりスピード感を持って、平成27年度までに600戸の災害公営住宅の建設、さらには宅地造成もできるようにと、いま一生懸命取り組んでいるところ。


間取りは2DKから3LDKまで3種類。家賃は、広さと世帯収入によって異なります。ちなみに、70歳代、年金生活の夫婦なら、入居5年目までは、ひと月のおよそ5300円程度です。

また今回入居者は、公平な抽選で選びました。高齢者や傷害のある方の「優先入居」を行わなかったことには理由があります。
    
◆災害公営住宅での「孤独死」を防ぐために
阪神大震災の際、優先入居ということで、ご高齢の方や傷害のある方を先に入居させたところ、結果的に孤独死につながったということがあった。そういった教訓を踏まえて、さまざまな年齢、さまざまな世帯構成の方が一コミュニティに住まわれるように、公平な抽選を行った。18世帯には、いろいろな世帯構成の方たちがいる。小さいお子さんもいれば、中学生、ご高齢の方、お勤めのかたもいる。老若男女が一緒に住むことで、孤独死などをなくしていければと考えている。

今回は「連棟式」という形式。二世帯で一つの屋根というタイプ。取り組みとしては、「ペア入居」という取り組みを行った。仮設住宅でお隣同士になったことをきかっけに、ペアで応募されている方もいる。そういった形で、「一番小さい二世帯のコミュニティをつくる」という狙いもあった。


山元町でいちはやく「災害公営住宅」の建設と入居が始まった理由には集団移転先の「用地協力」が比較的スムーズに進んだことがあげられます。「孤独死を防ぐための、公平な抽選」「ペア入居」など、手さぐりで、さまざまな工夫を行う山元町。入居した世帯にも、親せきどおしで「ペア入居」した方たちがいる。今後は、ペットを飼っている人のための「ペットゾーン」を設ける計画もあります。

2013年6月21日

6月21日 宮城県亘理郡山元町「一苺一笑(いちごいちえ)」(2)


宮城県の南、福島県との県境にある、人口およそ1万4000人の町、山元町。山元町と隣の亘理町は、震災前、併せて400軒ほどのいちご農家がいちごの栽培を行い、東北有数のいちごの産地として知られていました。でも、震災でその多くが畑を流され、廃業を余儀なくされました。

そんな山元町で、いま20代から30代の若い世代が、新たに「いちごづくり」に取り組んでいます。佐藤拓実さんが、地元の幼馴染みと3人で達が立ち上げたいちご農園「一苺一笑」もその一つです。

◆家族が守ってきたいちご畑を失いたくない
震災前は親とおじいちゃんとおばあちゃん、そしてわたしで、個人の農家としていちご栽培をやっていた。津波でハウスはすべて流されてしまって、自宅も全壊で跡形もなくなってしまった。
おじいちゃんたちが作り出した農業、産地とともに作り出した世界を大事にしたいという想いと、親の仕事をなくしたくない、自分たちもずっといちごをみて育ってきたので、そのいちごがここで消えてしまっていいのかっていう想いがあって、やっぱり自分たちでやらなきゃだめだと思った。
−あと、若い人たちがすごく少なかったので、若い人たちがもっともっと参入できるしくみで新しい農業をやっていけたらと思って、やってみた。


苺の収穫は冬から初夏にかけて。6月いっぱいで今季の収穫が終わります。今季2つのハウスでいちごの栽培をスタートした佐藤さんたちですが、来季は倍の、4つのハウスで、いちごを栽培する予定です。

◆「一苺一笑」一粒の苺から一人の笑顔を
自分たちが新しくやったという意味では、まだまだ従来の味が出せているかどうかは、自分たちも感じられなかったところもある。ここでいちごづくりをやってきたお歳を召した世代が、自分たちにとっては先生。そういった意味で、そんな先生たちの力をうまく自分たちに提供してもらって、よりよいものに仕上げていきたい。
いまから宮城県のいちごが全国に羽ばたいて、日本一のいちご産地ができあがると、自分たちは思っているので、そういった中で先駆してやれることをやっていきたい。
「一粒の苺から一人の笑顔を生み出す」ということを目指して「一苺一笑」と名付けてやっている。
−皆さんにも自分たちおいしいいちごを食べてほしいので、今後も若い力とともに頑張っていきたいと思う。

      
「りんご」「ほっき貝」とともに「いちご」は山元町の主力産品。「若い世代が頑張らないと、いちごの町の未来はない!」と佐藤さんは語ります。苺の苗を育てるハウスでは、すでに来シーズンの苺たちがスタンバイしています。


山元町「一苺一笑」
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パーソナリティ 鈴村健一

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