2013年5月21日

5月21日 語り部タクシー(1)

今週は、震災の記憶を語り継ぐ様々な取り組みを紹介しています。今日は宮城県仙台市、「仙台中央タクシー」の「語り部タクシー」です。

講習を受けたドライバーが、震災の爪痕が残る場所に利用者を案内して、震災の被害や状況を説明してくれる、というもの。今回スタッフを案内してくれたのは、ドライバー歴8年の、田口寛之さんです。
    
◆ 「語り部タクシー」利用者の声
被災地を見に行きたくても、失礼じゃないかなとか。野次馬とか思われるのが怖いという利用者さんもいるので、そういったときに「語り部タクシー」を使うと「安心して見れた」という声を聞く。年配の方や、小学生の子供さんを連れて見える親御さんなども。被災地の現場を見て、子供は素直だから、本当にびっくりしたような表情を見せたのが印象的だった。あと教師の方で、今後の防災を考える上で参考にしたい、という方も。津波の被害のすさまじい現場を見て、びっくりされていた。


この「語り部タクシー」は、NPO法人宮城復興支援センターの講習を受けたドライバーが、ガイド役と運転を勤めてくれます。田口さんは、震災のとき、仙台市内で被災。津波の被害こそ受けなかったものの、「震災の経験を語り継ぎたい」という想いから、講習を受け、ガイドをしています。車はまず仙台市内の仮設住宅に向かい、その後津波被災地区を目指します。

◆仙台市内から仮設住宅、そして津波被災地区へ(実際語り部タクシーの案内を受けた様子)
−いま公園の横、プレハブの仮設住宅がある場所にご案内している。地震から2年以上たつが、街の中にも仮設住宅があるし、郊外にもいたるところに点在している。冬は寒く、夏は暑くて、大変な暮らしを強いられているが、協力し合って暮らしている。
−見えるのが東部道路という名前の高速道路。津波が来たときは、東部道路の高台が津波の勢いの勢いを抑えてくれた。
−間もなくすると東部道路の下をくぐります。津波が来たあとは船や軽自動車がいたるところにあった。
−東部道路をくぐって海辺のほうに行きます。


所要時間は2時間。小型タクシーなら定員は4名で、料金はおよそ1万円です。「被災地を見に行くのは失礼なのでは?」という方も、「語り部タクシー」なら、そういった気兼ねは必要ありません。
被災地を自分の目で見て、防災意識を高め、次の災害に備えてほしい。
それが、「語り部タクシー」のメッセージです。

仙台中央タクシー「語り部タクシー」

2013年5月20日

5月20日 東日本大震災アーカイブ「ひなぎく」

今週は、震災の記憶を語り継ぐ、様々な取り組みをご紹介します。

今日ご紹介するのは、国立国会図書館の「東日本大震災アーカイブ ひなぎく」です。
震災に関する動画や写真、新聞記事などを検索できるポータルサイト。
さまざまな団体や機関の協力を得て、今年3月正式にスタートしました。

◆様々なメディア・団体の協力を得て
「ひなぎく」では、さまざまな機関や団体が集めている東日本大震災に関わる記録、写真、動画を一度にまとめて検索できるようなサービスを提供している。いわゆるヤフーやグーグルのようなインターネットサービス企業、東北大学のような研究機関、河北新報のような新聞社、動画としてはNHK、フジテレビの協力を得たので、それが大きな力になっている。NHKに関しては当時のニュース映像や、震災の後さまざまな体験をされた方の体験談を集められているので、そういった意味でも興味深いものがたくさん入っていると思う。ラジオの音源も大変重要だと思うので、これから考えていきたいと思う。
(国立国会図書館・電子情報部、電子情報流通課の大場利康さん談)


「ひなぎく」の花言葉、「未来」や「希望」への願いも、込められています。
大場さんには、「ひなぎく」の具体的な目的も伺いました。

◆3つの目的
一つはこれからの災害や震災に備えるということ。次の災害に向けてどうやって被害を減らしていくのか。そういったことを考えるための基礎になる情報やデータを提供したい。
二つ目は、実際に被害にあわれた地域の復興に役立てればと。どのような災害が起きて被害が起きたのかが如実にならないと、新しい街造りにつながらないんじゃないかと。
三つ目はそこ(被災地)に暮らす皆さんのこと。いますぐは震災のことを想いだしたくない方もたくさんいらっしゃるんじゃないかと思うが、これから10年20年経ったときに、あのときどういうふうな苦労をしたんだろうということを思い出すため、また共有するための材料を提供できるようになっていけばいいなと思う。


現在「ひなぎく」に集積されている記録やデータは、およそ240万件。
震災から2年2か月。震災を記録し、語り継ぐ取り組みはまだ始まったばかりです。

国立国会図書館 東日本大震災アーカイブ「ひなぎく」
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パーソナリティ 鈴村健一

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