2013年4月11日

4月11日 南三陸町・高台移転を巡る家族の悩み

今朝は、宮城県南三陸町から、仮設住宅で暮らすある家族のいまをお伝えします。

きのうまでご紹介してきた、13日(土)公開の映画『ガレキとラジオ』に登場している「FMみなさん」の元スタッフ、和泉博文さんと、そのご家族です。

和泉さんは3人のお子さんを持つシングルファーザー。南三陸・志津川地区の仮設住宅で、ご自身の母親とお子さん、5人で生活をしています。

和泉さん一家が、いま直面している大きな悩み、それが「住まい」です。
政府は先日、災害公営住宅およそ3万軒分の宅地造成を、再来年度までに完成させる目標を打ち出し、南三陸町も来年の夏以降、災害公営住宅への入居が始まるのですが、、、博文さんのお話です。

●戸建てと災害公営住宅
南三陸では集団高台移転について、20か所28団地に4000人が希望している。母親は高台の宅地造成した場所に戸建てを建てたいが、俺は災害公営住宅に住みたい。母親の地元にいたい気持ちは分かるが、子どもたちの将来を考えると、災害公営住宅に入ったほうが選択肢は増える。持家でない分、しばりがない。この町に根付いて暮らすことは仕事も含めて居すわらないといけない。子どもたちが母親と住むと縛りがきいてしまう。

4年後5年後この町が停滞するのに町に縛られる必要はないのではないか。思うことが大事。街に縛られる必要はないと思っている。災害公営住宅に住む方が身軽になれる。家を建てるために生きる、家が目標、それは違うんじゃないかと思う。そうはなりたくない。


和泉さんが言っていた『災害公営住宅』。こちらは、家賃を軽減する仕組みもあり、家賃負担を少なくすることができます。一方、同じ高台移転でも、行政が宅地造成した土地に自分たちのお金で家を建てる方法もある。和泉さんの母親は、こちらを望んでいます。

これについては、明日のこの時間にお伝えします。

2013年4月10日

4月10日 映画『ガレキとラジオ』 梅村太郎監督(2)




今朝も昨日に引き続き、映画『ガレキとラジオ』(4月13日公開)についてお届けします。

この映画は、去年の春まで放送をしていた、南三陸町の災害FM『FMみなさん』を中心に、震災後の街を生きる人々の姿を映したドキュメンタリー映画です。

映画では「FMみなさん」の放送を実際に聞いていたリスナーにも焦点を当てています。その1人が、仮設住宅で暮らす、ある女性。仮設の小さな部屋で、1人ラジオに耳を傾ける姿は、映画の中で、とても印象的なシーンになっています。監督の梅村太郎さんに伺いました。

◆声が消えた部屋に、ラジオがあった。
(女性は)星さちこさんというおばあちゃん。お孫さんと娘さんを同時に津波で亡くされた。遺体が戻ってこない中で、形ばかりのお葬式をやり、庭の土を棺に入れたという。でも、まだ2人がどこかで生きているのではないかと考え、2人がこの世界にいないことが分からない。どこかでずっと待ちわび続け、前に進めなくなってしまった。映画の中の リスナーの代表として追いかけさせてもらった。

寂しいし、ひとりぼっちで家に居るのもしんどい。娘と孫がいて和気あいあいとした家から声が聞こえなくなってしまった中で、ちょっとでも何か音があったほうがいいなと、ラジオを流していたという。ラジオは人に一番近いメディア。多くの人が助けてもらったたのではないかと思っている。南三陸町だけでなく東北のラジオが、苦しい思いをしている時にすぐ隣で声を掛け続けてくれたのではないか。ラジオに救われた人がたくさんいると確信として思っている。


星さんのような境遇の方をはじめ、南三陸町の人々の“すぐ隣”で放送を続けたFMみなさんですが、去年3月、9人のスタッフは解散。災害FMとしての役割を終えました。1年が経過した今、FMみなさんのスタッフ9人は何をしているのでしょうか。

◆知る支援としての映画
「FMみなさん」の9人のスタッフはみなバラバラ。リーダーの工藤さんは大阪の焼き肉屋さんで修行をして、南三陸の隣にある登米市の焼き肉店でオーナーをやっている。和泉さんは漁協の臨時職員として働きはじめた。その他、地元に残って建設業を手伝うという人、県外で別の仕事を探す人、旅に出た女の子・・・みんなちりじり。残る人もいれば出ていった人もいる。

僕はまだ何も変っていないと思っていて、いわば生き地獄じゃないかと思う。家も仕事もない、大切な家族や想い出も流されてしまった。復興みたいなことが報道されるが、実際の人たちにとってはこれからが大変。暗い映画ではないが、(そういうことを)感じ取って頂ける。本当に何も無くなった街で、前に進むのがどれだけ大変か分かってい欲しい。ちょっと知れば、ちょっとしたことができるかも知れない。この映画を「知る支援」に位置づけられないかと思っている。


FMみなさんの元リーダー、工藤さんが今オーナーを務めているお店は宮城県登米市にある「海武士(かぶと)」というお店だそうです。
 
そして映画『ガレキとラジオ』は、4月13日(土)、ヒューマントラストシネマ渋谷、横浜ニューテアトルで公開。その後、全国で順次公開される予定です。
詳しくは、『ガレキとラジオ』公式サイトをご覧下さい。
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パーソナリティ 鈴村健一

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