2013年2月27日

2月27日 原発事故被害者を守る法律の現状〜河崎健一郎弁護士2

原発事故による放射線の不安を抱えながら暮らす人々のための、「法律の今」をお伝えします。

避難指示は出ていないものの、放射線量が高いとされる地域から「自主避難する人」「留まる人」、それぞれの権利を認め、国の支援を求める法律、『原発事故子ども・被災者支援法』。

去年6月に成立したこの法律、現段階ではまだ具体的な施策は決まっていません。法律の条文に書かれた理念を、どう実行していくか。政治の力が問われています。すぐにでも内容を詰め、実行すべきポイントを『福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク』(通称称SAFLAN)の河崎健一郎弁護士に挙げて頂きました。

◆“理念”を“実行”へ
この法律を今後、具体的に運用する際に求められるポイントは以下の4つが挙げられる。
?避難者の住宅支援。現在は災害救助法による住宅支援はあるが、震災から2年が経過して、災害救助法の適用に限界が出てきた。別のシステムが必要。
?福島に残った人たちに対するケア。除染も必要だが、子どもたちが屋外で遊ぶ機会が減っている。
肥満度や運動能力の低下などが数値で出てきている。子どもは屋外の広いところで遊ぶのが当然。そこですでに色んな取り組みがはじまっている。学校ごと2週間ほど移動教室として山形や新潟にいくという取り組みをやっている学校、保養キャンプという形で、様々な地域(福島の線量の低い地域や他府県)に行く取り組みもされている。ここに予算をつけることが重要。
?離ればなれになっている家族の支援も必要。父親は福島で働き、母親は避難しているという場合もある。往復の交通費について、全額ではなくても一定の補助があることが大事。
?健康診断。すでに被ばくしているという前提の中で、健康に不安を抱えている人が多い。しかし検査の順番が回ってこない、内容が不十分といったことがある。こうしたケースについて、福島県以外の人も国のお金で検査を受けられるようにするのが重要。


明日も、原発被災者を救済する法律の「いま」をお伝えします。

2013年2月26日

2月26日 原発事故被害者を守る法律の現状〜河崎健一郎弁護士1

今朝は、原発事故による放射線の不安を抱えながら暮らす人々のための、「法律の今」をお伝えします。

お話を伺ったのは、『福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク』、通称SAFLAN(さふらん)の河崎健一郎弁護士。サフランは、福島をはじめ、放射線の不安を抱える多くの人たち、特に子どもたちのための、国や政府の支援を訴え、政府や国会議員に対し様々な働きかけを行っています。

その結果、去年6月の国会で全会一致で成立したのが「原発事故子ども被災者支援法」です。

◆原発事故子ども被災者支援法
政府が原発事故の後に出した基準は、年間20ミリシーベルトで、これを越える地域については政府が避難勧告している。しかし、元々この国の放射線被ばくの基準は、「一般の人は年間1ミリシーベルトを越えてはいけない」というものだった。これはICRPの国際基準でもある。

しかし、1ミリシーベルトから20ミリシーベルトの「間にある地域」は多い。福島県の中通りや、栃木県の那須塩原、千葉の柏や松戸、埼玉県の三郷や宮城県の一部などが入ってくる。これらの地域の人たちが、「住んでいてもいいのか」と自分の判断で避難している場合も多い。こうした人たちに対する法律の手当てが必要だと訴え、原発事故子ども被災者支援法が成立した。ただし、避難した人たちの支援だけではいけない。圧倒的に多数の人たちは避難せずに残っており、その間に感情的な対立が起きている

「あいつらは避難した。」「あの人たちはなぜあんなところで子育てをしているんだ」という対立が大きな問題に。この法律は、避難せず留まる人、避難した人、避難したが帰ってくる人も支援するために作られた。



この『原発事故子ども被害者支援法』は、成立から8ヶ月が経過していますが、実はまだ具体的な動きははじまっていません。これについては、明日のこの時間にお送りします。

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パーソナリティ 鈴村健一

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