2013年1月4日

1月4日 宮城県塩釜市 浦戸諸島桂島(4) まなびのたね ネットワーク

今朝も、宮城県塩釜市、浦戸諸島、桂島からのレポートです。

震災後、東北沿岸部では、漁業の再生へ向けた努力が続き、私たちが海や漁業の在り方を改めて考えるきっかけになりました。一方、浦戸諸島では、震災前から漁業をより身近に感じてもらう活動が続いています。桂島の牡蠣漁師、内海信吉さんのお話です。


◆牡蠣は何年生きると思う?
牡蠣の寿命がどのくらいなのかは我々漁業者には実は分からない。養殖なんて立派なことを言っているが、実際には“作業”をしているだけ。実際は自然が育ててくれるもの。だからあまり立派なことは言えない。
以前、タスマニアに行った時に、「この牡蠣は何年生きていると思うか」と聞かれ、2〜3年と答えたが実は10年だった。ええっ?と思った。我々は1年サイクルで仕事をしているが、実際にはそうやって牡蠣が十年単位で生きることを知った。そこで、生きもの、食物のありがたみや尊さを伝えなければいけないと思った。
そこで今、子どもたちに体験学習という形で伝えている。県内のホテルや旅館の調理師にも、体験してもらっている。向いて商品になってショーケースに並んだ牡蠣や、袋詰めになったものではなく、年間を通して、牡蠣養殖の作業を、実際にいかだに乗ってもらって体験してもらう。子どもの中には、「おれ牡蠣大嫌い」という子もいるが、実際に牡蠣をむいて食べてみると、「牡蠣じゃない。前に食べたものと違う」という。でもそれが牡蠣(笑)
旬というのは現場にこないと分からない。それを体験してほしいし、それを守るのは君たち子どもだよと。我々は海で牡蠣の作業をしているが、海を守る作業は我々だけの仕事じゃない。漁業関係者以外の9割の一般の人たちがやってくれないと水産物は提供できなくなってしまう。それを伝えたい。


この取り組みは、教育を通じた地域づくりを目指すNPO法人による、『自然体験ツアーin浦戸』という企画。浦戸諸島の漁師たちの協力で行われています。2013年も、子どもたちを対象に、浦戸の漁師さんの仕事を体験できるイベントを予定しています。

詳しくは『NPO法人まなびのたね ネットワーク

2013年1月3日

1月3日 宮城県塩釜市 浦戸諸島桂島(3) 人の繋がりは財産

今朝も宮城県塩釜市 浦戸諸島・桂島からのレポートです。

浦戸諸島・桂島は、おととし3月11日の震災で、およそ10メートルの津波に襲われました。しかし、地元消防団員の素早い判断、地域の密接な繋がりで、島民は全員が一命を取り留めました。

そして島での避難所生活が始まったのですが、生きるために必要な、電気や食料などの確保はすぐに対応できたと言います。海に囲まれた小さな島で、なぜそれが可能だったのでしょうか。
桂島の牡蠣漁師、内海信吉さんのお話です。

◆離島だからこその備え
この島はすぐに買い物ができる状況ではないし、ガソリンスタンドもない。ガソリンも灯油もみなストックしている。津波で助かった家にはそういうものがあった。だからそれを集めてその日のうちに発電機で避難所に電気を通して情報を得るようにしていた。食事もできるようにした。そこがこの島の人のすごいところ。すぐに炊き出しがはじまった。手のついたものは提供してください。手のついていないものは買い上げますということで、避難所生活が終わったら清算するということで協力をお願いした。炊き出し班のお母さんたちも一生懸命やってくれた。班を決めて分担してもらい、毎日やっていた。それが半年続いたが、お互いを深く知りあうことが出来た。


そしてやはり人と人との繋がりが、災害時に大きな役割を果たしたと、内海さんは振り返ります。

◆人との繋がりは財産
自衛隊から私の携帯に電話がかかってきて、「石巻のある場所と連絡が取れないので、誰か知っている人がいたら連絡とってくれないか」と言われた。沿岸部にいる漁業仲間に連絡が取れ、ヘリの救助がいくことが出来た。そういう情報網は必要。
つながりは、三重にも広島にもある。養殖場がすべて流されてしまった時、三重や広島のおなじ養殖漁師の仲間が養殖資材を届けてくれ、再生の第一歩となった。ありがたかった。


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パーソナリティ 鈴村健一

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