2012年12月25日

12月25日 宮城県石巻市 石巻日日新聞 代表 近江弘一氏

今朝は、宮城県石巻市の地元新聞社『石巻日日新聞』 代表の近江弘一さんに伺った、震災から1年9か月、石巻の今をお伝えします。

石巻日日新聞は、震災直後、新聞の印刷もままならない中、
手書きの壁新聞で、避難住民に必要な情報を発信し続けたことで知られています。
地元の新聞社は、石巻の現状をどう捉えているのでしょうか。

◆停滞する復興
寒い時期に差し掛かってきている。この時期は常につらい。僕らも含め被災者は今年に入ってからは、停滞した中、同じ状況の中で暮らす“踊り場”のようなところにいる気がする。人間の性で、その踊り場の状況にくやしいが慣れてしまう。状況としては大きな変化はない。道路はデコボコでインフラもまだまだ復旧していない。ガレキも片付いてきたと言うがまだ山のようにある。いま必要なのはここから先の見通し。政権も変わり、何がどう変化してくれるのかを待っている状況。仮設住宅にいる人たちは、今まで住んでいた場所と違い、より遠い場所に投票に行かなければならなかった。お年寄りは投票に行くのが難しい。天候も悪く、停滞感を感じる中で、どこに入れるべきか、誰に託せばよいのかが見えにくい選挙だった。(被災地とは)関係ないところの話題ばかりが多かった。そのためこの地区は投票率は過去最低だった。政治の停滞がそのまま反映している。



復興政策を進めるために、最も民意をくみ取るべき被災地で、投票率が過去最低という状況。近江さんご自身、そしてご家族も被災されています。被災者として、いま必要な支援について伺いました。

◆外に出す支援
母親が一人暮らしをしていた住居は海岸から10mだったので完全に壊滅し、母は今仮設で暮らしている。私は自宅がたまたま浸水がなかったため、地盤沈下はあるがそのまま暮らしている。地方都市はどこも高齢者が多い。海沿いで被災して仮設で暮らす人たちを、外に連れ出す支援がこれからは大事になると思う。仮設を訪ねてお話を聞いてあげる支援も大事だが、家にこもらせないように、外に連れて行ってあげる支援を厚くしていかなければいけない。ちょっとした買い物も、買ってきてあげるのではなく、できるだけ連れて行ってあげた買い物をさせてあげる支援。本来なら家族がやることだが、若い人たちは仕事がないため地域外に出て行ってしまった。家族が離反しているケースも多い。


被災地・石巻が感じる「停滞する復興」。26日に発足する新政権に課せられた喫緊の課題です。

2012年12月24日

12月24日 宮城県石巻市 おらほのラジオ体操

今回は、宮城県石巻市から全国に広まった、「おらほのラジオ体操」の話題です。

誰もが知っているラジオ体操を、石巻の“お国ことば”でアレンジしたのが
「おらほのラジオ体操」。去年の夏、その映像がネットで話題となり、
今や全国に広がりつつあります。実は今月に入って、DVDも書店などに並んでいます。
生まれたきっかけはなんなのか。企画したメンバーで、石巻市の地元新聞
「石巻日日(ひび)新聞」代表の、近江弘一(こういち)さんに伺いました。

◆被災地の元気と健康のため
実行委員は、私・近江と、ラジオ石巻の今野雅彦さん、マッキャンヘルスコミュニケーションズの西根英一さん。西根さんが石垣島に旅行に行った際、現地の小学生の向けに製作された、島の方言を忘れないため、健康維持のための島の方言のラジオ体操を知った。それを受けて、被災地の人たちの健康を守るための道具として、方言を使ったラジオ体操はどうだろうかという持ちかけがあった。これは、被災地の人たちを励ますことができるのではないかと感じた。

こうして生まれた「おらほのラジオ体操」。そのDVDには、石巻で暮らすたくさんの人たちが、笑顔でラジオ体操をする、楽しげな映像が収められています。

◆「おらほ」の笑顔
「おらほ」とは、“うちの”とか“僕らの”、“私たちの”という意味。震災後、コミュニティが壊れていく中、まず地元を励ますために、親近感のある言葉でやりたいと思って作った言葉。ラジオ体操の音と方言は、みんなを笑わせ、元気にしたという声をよく聞いた。映像は9月11日に録音したのだが、被災した魚市場や街中で野菜を売るお母さん、サッカーをやっている子どもたち、田んぼで稲作の準備をするお父さん…いろんな場面、色んな人たちが収められている。どれも笑顔。DVDの冒頭では、録画した石巻の人たちの画像が大勢出てくるが、全て綺麗な驚くほどの笑顔だった。今でも会社の始業や仮設のおばちゃんたちの朝の運動に利用されている。

おらほのラジオ体操


おらほのラジオ体操 フェイスブックページ
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パーソナリティ 鈴村健一

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