2012年12月13日

12月13日 被災地が一票に託すもの(4) 〜福島県・立花弦一郎さん

“被災地が一票に託すもの”。
かつての生活を失い、復興を強く望む有権者たちが、一票に込める想い、
そこから見える被災地の今を伝えています。

今朝は、福島県・双葉郡浪江町を離れ、家族と共に避難生活を送る、立花弦一郎さん(39歳)の声です。

◆福島の復興のために選んだ生活
元々、浪江町に住んでいたが今は郡山市に避難している。福島第一原発の事故を受けて滋賀県に避難した。もう二度と福島県に戻らない気持ちでいたが、やはり福島を復興させたいという気持ちになり1か月後に福島に戻った。妻と生後6か月の息子が一緒に郡山に暮らしている。南相馬で不動産業の仕事をしていた。郡山から南相馬まで100kmを毎日通って職場へ行っている。この暮らし、避難生活自体が不満のかたまり。毎日2時間通勤。浪江の川添というところに家を建てて1年しか経過していない。ローンは今まで通り払っている。今は住んでいるアパートは県の借り上げ。家賃を払わなくてよい。住宅ローンを払いながら狭いアパートに身を寄せ合って住んでいる状況。全てが不満。


立花さんは、どうしても福島の地に暮らしながら復興に関わりたいと、郡山から南相馬に毎日通う生活を選びました。福島に戻ると決めた時、親せきなど周囲の反対も多かったと言います。

また、立花さんの自宅がある浪江町・川添は、福島第一原発の警戒区域で、今後は、居住制限区域に再編される見通しです。

もし今後、地域の除染が進んで帰宅できても風評の懸念は付きまとい、帰宅した場合の賠償は不透明です。立花さんが、政治に求めるもの、一票に込める想いとは。

◆政府があいまいだから
ダメなものはダメで構わない。それを今の政治は曖昧にしている。浪江町の人たちと話すと、みんな迷っている。その迷いは政府が迷っているから。「賠償金、補償はこうするから、あなたたちは新しい生活をしたらどうでしょう」と、きちんと決めてくれれば、私たちも新しい生活に踏み出せる。それを曖昧にされてしまっているため、帰れるのか、帰れないのか、みんなが判断できない。決断をしてくれる人に投票してほしいと思っている。


立花さんは「自分たちの存在が、風化してしまうんじゃないかと感じている。各政党の政策も、原発のことは多いが、福島の復興について書かれているものは少ない」とも話しています。

浪江町は10月現在、21,172人が各地で避難生活を続けています。

2012年12月12日

12月11日 被災地が一票に託すもの(3) 〜福島県・宍戸慈文さん

“被災地が一票に託すもの”。
かつての生活を失い、復興を強く望む有権者たちが、一票に込める想い、
そこから見える被災地の今を伝えています。

今朝は、宍戸慈(ししど・ちか)さん 28歳。
福島県郡山市から、県外へ“自主避難”した女性です。
宍戸さんは、同じ境遇に悩む、同年代の女の子たちを繋ぐ活動を続けています。
震災から1年9か月。福島の女の子たちの今について伺いました。

◆今も悩み続ける福島の女の子たち
福島県福島市出身、去年12月に北海道札幌市に住民票を移した。今は札幌と福島を行ったり来たりしながら、ラジオのパーソナリティや、福島の女の子たちのための団体、ピーチハートという任意団体の共同代表をしている。福島から自主避難した女の子たちは、1年半ちょっと経過して、やっと自分たちが今置かれている状況に必要な情報・環境・時間が整ってきた。そして自分たちの状況を理解した段階にあるのかと思う。
そうした動きの象徴的なものの一つとして、来年の春・3月に自分たちの仕事を整理して県外へ避難を決めた子もいる。12月に機に新しく、放射能や自分たちの環境や体のことを考える女子を育成する会社を立ち上げて頑張っている子もいる。次のアクションに移れる段階になってきた子がちらほら出てきたのかなと思う。
もちろん、福島に残ることを決意して、頑張っている子もいるし、心と時間の整理、自分の状況を受容していくまでの時間はまだまだ必要な子はたくさんいる。


宍戸さん自身は、生活のことを考えて札幌に移転。選挙区は札幌です。
福島を離れて投じる一票、宍戸さんはどんな想いを込めるのでしょうか。

◆原発の有無でも、政党でもなく。
原発の有無が叫ばれている段階。個人としては、先日、チェルノブイリ原発事故から26年後のウクライナに行った。ウクライナはいま原発推進になってしまっている。私と同い年の28歳の女性が「原発の有無を語るのではなく、私たちは再生可能なエネルギーをしっかり作れるような状況を作らなければいけない」と言った。彼女の言葉が神髄だと思う。原発の有無、二者択一ではなく、第三の選択を私たちが作れるように、私たちも一緒に考えなければいけないと思っている。本当の意味で原発が安全に使えるのであれば
それは再生可能エネルギーの一つとして考えてよいわけで、それが安全でつかえないから脱原発という言葉が出てきている。いずれにせよ、原発があるかないかというまやかしではなく、あっても無くても、「安全な再生可能エネルギーってなにか」を考えなければいけないと思う。政党政治というもの自体にあまり信頼がおけない。
政党ではなく、人。人の心を読んで感じ、考えるということをして、自分の一票をしっかり入れたいと思う。


今年6月、自主避難者も含め、原発事故の避難者の生活を守る法律
『原発事故 子ども・被災者支援法』が成立しました。。
しかし具体的な内容は、まだはっきりしていません。
宍戸さんは次の政権に、「すぐにこの法律を具体化して、施策を始めてほしい」と求めています。
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パーソナリティ 鈴村健一

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