2012年12月11日

12月11日 被災地が一票に託すもの(2) 〜南三陸町・和泉博文さん

今週は“被災地が一票に託すもの”と題して、震災後、かつての暮らしを失い、一日も早い復興を求める人々は、有権者として、どんな想いで一票を投じるのか・・・そこから見えてくる、被災地の今‐を伝えていきます。

今朝は宮城県・南三陸町の和泉博文さん。
3人のお子さんを抱えるシングルファーザーで、現在は、地元漁協の臨時職員として働いています。和泉さんは今年も、ご家族とともに仮設住宅で年末を迎えます。

◆2年目の冬、子どもたちのための選択
2度目の冬を迎えるが、何も状況は変わっていない。今暮らしている仮設住宅は、自分たちの家が津波で流された近くに建てられているが、この場所からは、朝になると漁船のエンジンの音が聴こえてくる。海から1キロ離れている距離でも、その音が聴こえるほど、なにも無くなってしまったということ。復興は現実味を帯びている感覚はない。この町に見切りをつけて、隣町の利便の良いところに行こうという人も結構いる。復興にかかる時間を待っていられないという人は、慣れ親しんだ故郷を離れて違うところで
生きるしかないと思う。うちは災害公営住宅に入ろうと思っている。今まで思い出に残る土地を売る。母親と話をして移り住むと決めた。母は年を取っているから、「地元に残りたい、借金してでも家を建てたい」と言っていたが、子どもたちは高校生、中学生、小学生で今後の未来もある。地元に残って欲しい。高台移転で借金して家を建たら、それがしばりになって土地から離れられなくなり、身動きが取れなくなってしまう。それはかわいそう。子どもたちはなにも無くなった分、自由な価値観、方向性を持って進んで欲しいと思っている。だからそういう選択をした。


子供たちには家に縛られることなく、自由に将来を選択してもらいたい。
そんな想いで、和泉さんは災害公営住宅を選びました。
しかし、和泉さんによれば、災害公営住宅は、構想はあっても具体的なことはまだ進んでいないそうです。
一方、漁協の臨時職員は、雇用期間が来年3月まで。
和泉さんは新しい仕事のため、小型船舶の免許を取るなど、前向きに動き続けています。
「家族がいるから前向きになれる」そう話す和泉さんは、どんな想いを託して一票を投じるのでしょうか。

◆暮らしてきてよかったと思える街を
震災後はじめての選挙。被災地としてはやっぱりこちらにもっと目を向けて、被災者の声をくみ取ってもらいたい。寄り添う形で、政策も売って欲しい。この町で暮らしてよかった、これからも住んでいこうって思えるような方向性をつけてほしい。


「1キロ先の漁船の音が聴こえるほど、何もなくなってしまった」
和泉さんのこの言葉をどう感じますか。
なにも無くなった土地に、これから何を作るのか。
「この町で暮らして良かったと、地元の方が思える街にしてほしい」
その想いは届くのでしょうか。

2012年12月10日

12月10日 被災地が一票に託すもの(1) 〜気仙沼・畠山信さん

10日(月)から5日間は、“被災地が一票に託すもの”と題して、震災後、かつての暮らしを失い、一日も早い復興を求める人々は、有権者として、どんな想いで一票を投じるのか・・・そこから見えてくる、被災地の今‐をお届けします。

今朝は、宮城県・気仙沼市、「NPO法人・森は海の恋人」副理事長で、気仙沼市でカキの養殖業を営む畠山信さんの声です。

◆防潮堤計画、気仙沼住民の反対の声
震災からもうすぐ2年、今 気仙沼では防潮堤の問題が話題。気仙沼市の有志で「防潮堤を勉強する会」を結成、何が課題なのかを抽出して、意見をまとめて紙にするという手間を経て、要望書や意見書を(行政に)出しているが、その声が反映されることは非常に少ない。住民の意見を尊重すると言うけど、かなり無視された形で(防潮堤の計画は)進められている。それって法律違反じゃないのかという風に思う。宮城県知事や気仙沼市長に対して、しっかり住民の意向を吸い上げて反映させるように、要望書を提出した。みんなモヤモヤしています。そんな中で疲れ切ってしまい、自分たちの生活も苦しい状況なので、「もうしょうがない」「これ以上長引かせたくない」と、行政の意向を飲むしかないのではないかという“諦め”の雰囲気が漂い始めている。一方で、そうではなく、自分たちの意見を反映させるべきではないかという人たちも半数くらいいるため、そういう方たちと活動を続けている。


 気仙沼・舞根地区では、地盤沈下で出来た干潟に新たな生態系が生まれ、住民はその自然をみんなで守ろうと考えています。大規模な防潮堤は、その自然に影響を与える可能性が高く、住民はみな高台に移転するため堤防は必要ない。住民たちはそう考え、県や市に要望書を提出しています。 防潮堤はいらないという住民と、国の予算を背景に建設を推し進めたい行政。せめぎあいはまだ続きそうです。
そうした中行われる総選挙。畠山さんが次の政権に求めること、一票に託すものとは。

◆住民の意見を本気で聞く政治
新政権にいち早くやって欲しいことは、「住民の意見をちゃんと聞いてくれること」。住民の合意形成をしっかりしてから街作りのハード面の整備をしてほしいと思う。住民の意向を吸い上げるのは大変だし手間がかかると思うが、それが出来ないと、住みにくい、住民の望まない街ができる。そんな街が出来たら人はどんどん離れていく。持続可能な街づくりを進める上でも、住民の合意、住民の意見を本気で聞いてくれる政党に一票を投じたいと思う。


NPO法人 森は海の恋人

気仙沼 防潮堤を勉強する会
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パーソナリティ 鈴村健一

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