2012年12月3日
12月3日 旅館サポーター制度『種プロジェクト』(1)
旅館サポーター制度 『種プロジェクト』
寒さが日増しに厳しくなるこの季節。恋しくなるのが「温泉」です。
東北地方は日本でも有数の温泉地が点在するエリア。でも、震災の影響で、集客が伸び悩む温泉宿も少なくありません。
そんな被災地の温泉宿を支援する取り組みが、旅館サポーター制度「種プロジェクト」です。被災地の温泉宿に「復興の種をまく」、そんな思いが込められています。
「種プロジェクト」を運営する丹羽尚彦さんに伺いました。
◆旅館サポーター制度「種プロジェクト」とは?
−「種プロジェクト」は、サイトに登録してある宿の中から、応援したい宿を選び、サポーターになっていただいて、その将来の宿泊を約束する、というもの。
−一口5000円。そこに応援メッセージを添えて、サポーターになっていただく。自分がその宿に泊まりに行くときに、サポーター料として払ったものを、宿泊料金の前払いとして使うことができる、という仕組み。
−現在、福島で6軒、宮城で5軒の温泉宿が登録し、サポーターは280名を数える。
−「種プロジェクト」を始めたきっかけはというと、昔から温泉宿が好きで、全国の温泉宿を回り、「タビエルの宿」というサイトで宿泊のレポートを書いていた。
−そんな中で、震災の後、東北の宿のお客さんが激減していると聞き、まずは、その現状を皆さんに知っていただきたいと考えた。
−また、被災者であるお宿さんも、例えば炊き出しをやったり、お風呂の無料開放をしたりと。復興活動を積極的にやっていることを知った。その活動を伝えたいという思いもあった。
◆「種プロジェクト」をきっかけに、さまざまな交流が生まれています。
−「種プロジェクト」に関するいくつかのエピソードを紹介すると、サポーターになった方が、本来は2口10000円でサポーターになれば、宿に泊まりに行ったとき、それを10000円のクーポン券として宿泊代に使えるが、「これは記念にとっておきます」と言って、正規の料金を払って宿泊したとか・・
−また、徳島や九州など遠隔地の方がサポーターになってくださっているケースもあり、その方たちは(差し当たっては)その宿に行く予定すらないのに、「いつか必ず泊まりにいきます」「泊まりにいくまでは、これで勘弁してね」と徳島特産のお菓子を送って、そこでお宿さんと交流が生まれたり・・
−震災は本当に大変な出来事だったが、それがきっかけでお客さんとの関係をもう一回見直して、お客さんにどういう存在であったらいいかを改めて問い直したというお宿さんが何軒かあった。それは本当に印象的だった。
「必ず泊まりに行きますよ〜!」という「思い」が、被災地の温泉宿の方たちにとっては、一番心強い「支援」なのかもしれません。
丹羽尚彦さん
こういったクーポン券がお宿さんから直接届きます。
旅館サポーター制度 『種プロジェクト』