2012年7月25日

7月25日「福島県浪江町・鈴木酒造店(2)」

福島県双葉郡浪江町では原発事故の影響により、全住民の避難が続いています。

浪江町で酒造りを行なってきた「鈴木酒造店」。
震災当日の昨年3月11日は、酒造りのシーズンを締めくくる、お祝いの日となるはずでした。
鈴木酒造店の鈴木大介さんにお話しを伺いました。

◆3月11日は締めくくりの日だった
 ちょうどその日(震災の日)が、シーズン最後の仕込みの日だった。ワンシーズン休みなく働いて、一つの区切りとして皆で打ち上げ、お祝いをやろうとしていた。3時前、“晴れの魚”というとアンコウなので、お袋がアンコウをさばき始めたころに、地震が起こった。
 本震で母屋が倒れた。家族は無事だったので、消防団の活動に移った。
 酒蔵から堤防を挟んですぐ海で、堤防から海が一望できるが、そこから10m近い津波が崩れるのが見えたので、それを見て「これは何も残らないだろう」と思った。
 震災後(自宅や酒蔵を)見に行ったら、更地のような状態だった。


◆震災直後の大きな喪失感
 実際のところ、震災の一晩目はもう(再開は)無理だろうと思った。
 自分達はその後すぐ町を離れたが、自分のところの酒米を栽培している農家さんの一つが、津波で家族全て犠牲になった。原発の事故でひと月捜索もできなかった。
 ゴールデンウィークの前にお父さんとお孫さんが見つかって、火葬をやるから来てくれないかということで行った。ひと月経っていることもあって遺体の損傷も激しくて、腐敗した匂いも本当に同じ日本なのかと思った。
 犠牲になった人たちもみんな知った人ばかり。
 モノづくりをやることは情報を出すこと。自分はこの人たちのために酒造りをやらなきゃと覚悟した。



震災後、全国に避難している浪江の人たちから鈴木さんのもとに「ふるさとの酒を造り続けてほしい」という声がたくさん届きました。
その声にも答えようと、酒造りの再開に向けて動き出したということです。

事業の再開を心に誓った鈴木さんが、どうやって再び酒造りを始めたのか。
その様子は、明日ご紹介します。


【鈴木酒造店 長井蔵】
■住所:〒993-0015 山形県長井市四ツ谷1-2-21
■電話:0238-88-2224
■FAX:0238-88-3503




★クロノス×ISHINOMAKI2.0東日本大震災復興支援ツアー第2弾!★
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今年3月にTOKYO FM「クロノス」とNPO「石巻2.0」のコラボレーションで実施した
東日本大震災復興支援リスナーツアーの第2弾が決定!!

今回は、アーティスト「GAKU-MC」さんが参加!


石巻最大の夏祭り「石巻川開き祭り」で灯篭流しや花火大会を鑑賞するほか、
フットサルの「2on2」を通して現地の方々と触れ合いながら、被災地をめぐる2日間の旅です。

日程は、7月31日出発、8月2日早朝 東京発着。
詳しくはTOKYO FM「イベント80」のページをご覧ください。

パーソナリティ・高橋万里恵も参加します。

2012年7月24日

7月24日「福島県浪江町・鈴木酒造店(1)」

日本有数の米どころで、おいしい日本酒の産地でもある福島県。
双葉郡浪江町で代々酒造りを行ってきた「鈴木酒造店」も、そんな福島の地酒を守り続けてきた酒蔵の一つです。
江戸時代・天保年間には酒造りをしていたという記録があり、酒蔵だけでも200年弱の歴史があるといいます。

鈴木酒造店の鈴木大介さんにお話しを伺いました。

◆鈴木酒造店の代表銘柄「磐城壽(いわきことぶき)」
 磐城壽は福島・浪江の請戸(うけど)という漁師町でずっと作られてきたお酒。漁師さんたちの祝い酒で、ひとことで言うと米の旨味がぎゅっと詰まったお酒。ぬる燗で味がのびるお酒。
 風習として、船が20万、30万という水揚げをしたら、漁協からうちの酒がご祝儀として船主に贈られていた。「魚が獲れたか」という挨拶が、言葉を変えて「酒になったか」と言ったりしていた。


◆季節と自然の恵みを、原発事故で失った
 浪江は海、山があり、海の幸、川の幸、里のもの、山菜、きのこなど、季節の恵みがあってとってもいいところ。
 自分の酒を扱ってもらうときは、酒販店さんに必ず浪江まで来てもらって、取引をしてもらっていた。地酒が出来上がってくるまでの環境を感じてもらって、地元の風土を売りにして商売をしていた。
 米作りにしても、水もきれいで、天候も温暖で、四季の移ろいの中で生活していた。地のものを食べて、酒も生活に関わりながら、お互い鍛えあいながら育ってきた味なので、それを外に出せる喜びを持っていたが、原発の事故でそれがすべて無になった。
 自分は何もできないんじゃないか、やってきたことも全て無くなって、その喪失感は津波よりも大きかった。



鈴木酒造店は東日本大震災による津波で、海岸沿いにある酒蔵や自宅が流され、さらに震災翌日には原発事故により、ふるさとを離れることを余儀なくされます。

震災後の喪失感からどのように酒造りを再開したのか、その道のりは明日ご紹介します。


【鈴木酒造店 長井蔵】
■住所:〒993-0015 山形県長井市四ツ谷1-2-21
■電話:0238-88-2224
■FAX:0238-88-3503




★クロノス×ISHINOMAKI2.0東日本大震災復興支援ツアー第2弾!★
【「GAKU-MCと巡る 石巻川開き祭り」 supported by 「白元 どこでもアイスノン」】


今年3月にTOKYO FM「クロノス」とNPO「石巻2.0」のコラボレーションで実施した
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フットサルの「2on2」を通して現地の方々と触れ合いながら、被災地をめぐる2日間の旅です。

日程は、7月31日出発、8月2日早朝 東京発着。
詳しくはTOKYO FM「イベント80」のページをご覧ください。

パーソナリティ・高橋万里恵も参加します。
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パーソナリティ 鈴村健一

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