2012年6月21日

6月21日「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(4)」

東京電力福島第一原発事故の後、国から避難指示が出なかった地域から、自分の判断で他の地域への避難を選んだ“自主避難者”。
その数はこの半年間でも増え続けています。
ただ、自主避難者への東電のお金の補償は今後どうなるか分からない、という話もあります。

しかし、自主避難された方へのサポートは、全くないわけではありません。
例えば「災害救助法」です。
「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク」の河崎健一郎弁護士に伺いました。


◆避難者へ、各地のサポート
 災害救助法は原発事故、津波、地震などの際に国が宣言、適用する。避難者を受け入れる自治体がサポートする。自治体の裁量が広く、何かをしてもいいし、しなくても良い。
 原発事故の避難者受け入れも、地方自治体によって千差万別。北海道、山形、新潟、愛知、京都、岡山、沖縄などは自主避難者に対しても暖かい手を差し伸べたという。公営住宅や雇用促進住宅など、自治体の持つ住宅に空き家があれば、無料で提供。空きがなくても民間賃貸住宅を借り上げて、避難者の住所費用負担を無くす。赤十字と組んで、生活家電セット(洗濯機、冷蔵庫、テレビ、炊飯器、電子レンジ、電気ポット)を無償で提供。これはどの地域でも共通して行われている。
 沖縄では、福島から避難する交通費、住居が決まるまでのホテル滞在費、被災者支援カード「ニライカード」「カナイカード」で、被災者支援をするお店で物が買えるなどの支援がある。
 新潟は高速の無料化措置が打ち切られたが、独自に県としてお金の支援をする取り組みをしている。期間は地方自治体の裁量によってだが、一度受け入れたものをすぐに切るという話にはならないので、今から自主避難をしても、こうした支援は受けられると考えてよい。


今年4月現在、民間の賃貸住宅の借り上げを実施している県は以下の23県です。
岩手県、秋田県、山形県、茨城県、千葉県、新潟県、石川県、山梨県、長野県、愛知県、三重県、兵庫県、鳥取県、島根県、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

借り上げ住宅の入居は、多くの県が2年までとしています。
また、自主避難者への対応は、都道府県によって違います。
詳しくは、自治体のホームページの「東日本大震災の被災者向け情報」でご確認ください。



明日も、河崎弁護士のインタビューをお送りします。


【福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク Official blog】

2012年6月20日

6月20日「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(3)」

今週は「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク」の河崎健一郎弁護士のインタビューをお送りしています。


国から避難指示は出なかったものの、比較的線量が高いとされる地域では、住民の間で“自主避難”を巡り、様々な葛藤が続いています。

河崎弁護士をはじめとした「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク」は、ある考え方を提唱、国に働きかけています。

◆避難する権利、残る権利
 避難は義務ではなく一人一人が判断する権利。残るという判断があっても良いし、避難する選択も十分に合理的なもの。それに対して「逃げるのか」「風評をまき散らすな」というプレッシャーが加わる現状があり、それは間違っている。避難する権利について、日本の法律に直接的な規定はない。ただし憲法が定める「健康で文化的な最低限の生活」という意味では当然認められる権利。
 国会に働きかけ、チェルノブイリで作られた避難の権利、日本版チェルノブイリ法案が国会に提出されている。チェルノブイリ原発事故5年後、「一定の放射線被曝以上の地域に関しては、避難の権利がある」と明確に認め、避難をする権利と、そこに残る権利両方が認められていた。避難を選んだ場合は相応の住宅、雇用、生活支援を受けられるという法律。これと同じものを福島でも作るべきだと動いている。


お話にあった“日本版チェルノブイリ法案”=「原子力事故による子ども・被災者支援法案」は、警戒区域などの国の避難指示の有無に関わらず、“避難する権利”を認めるものです。
この法案は今日にも衆院本会議で成立する見込みです。



◆被曝と付き合っていく
 避難を選ばない人、選べない人が相当数多い。こうした方々も被曝という共通の問題と向き合っている。ここになんらかの手当をしなければならない。
 避難を選ばない人からの要望で多いのは、給食のこと。
 給食による内部被曝を避けるため、調理場に線量検査キットを国のお金で設置しようというのが法案に盛り込まれている。うまく被曝と付き合っていくという発想の転換が必要。被曝手当という考え方もあり得る。




明日も、河崎弁護士のインタビューをお送りします。


【福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク Official blog】
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パーソナリティ 鈴村健一

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