2012年6月19日

6月19日「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(2)」

すでに福島県では、警戒区域の一部が解除されました。
一方、もともと避難指示は無かったものの比較的線量の高いとされる地域では、目に見えない放射線をめぐって、様々な不安、葛藤が続いています。

不安を抱える福島の方のために、福島県内や全国の避難先で活動を続けている「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク」の河崎健一郎弁護士にお話を伺いました。



◆放射線をめぐる、悩ましい現実
 健康に害があるかどうかは、今もグレーゾーン。グレーゾーンだから、子どもを芝生で遊ばせることについて「まあいいや」と考える親、「やめておこう」と考える親がいる。性格などが影響するし、人それぞれ。そこで「芝生で遊ばせるのはやめておこう」という親は、避難できるなら避難したいと考える。
 そんな背景で、2つの意味の“避難”が起きている。
 ?低線量被ばくの懸念からの“避難”
 ?この問題で地域が分断、話すことすらタブーという空気から逃げたいという“避難”
 直接の被ばくではなく、それに伴う人間関係に頭を悩ませる生活から逃げたい、という“避難”も増えてきている。



自主避難した方の数は、昨年9月の段階で約5万人。
この半年間で見ても、自主避難を選ぶ方は増え続けています。
例えば新潟県だけでも、福島県民約6000人の避難者中、約3000人が自主避難をしています。

福島から別の都道府県に避難した家族の中には、「自宅と避難先の二重生活」に苦しむ例も少なくないと言います。


◆家族を苦しめる、悲しい事態
 今年3月までは原発被害者に対して高速道路無料化措置があった。被災者なら高速道路に無料で乗ることが出来たが、これが3月で打ち切られた。典型的な自主避難例は、父親が福島に残り、週末ごとに高速道路を使って避難先の家族に会いに行くというケースだった。しかし高速道路が有料に戻り、帰るのが難しくなり苦しい状況に追い込まれているというのが事実。
 女性の方が放射線被ばくに対してセンシティブ。男性で仕事をしている人は、会社や地域の人間関係があり避難に踏み切れない。そうした中で夫婦関係が悪くなり、別居、離婚という形になる例も多い。本当に悲劇。どちらも悪くない。原発事故さえなければそんなことはなかった。
 間接的ではあるが深刻な被害。しかしこれは東電の賠償対象にはならない、やられ損。悲しい事態。




明日も、河崎弁護士のインタビューをお送りします。


【福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク Official blog】

2012年6月18日

6月18日「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(1)」

原発事故から1年3か月が経過した現在も、目に見えない放射線が生活をおびやかす状況は変わっていません。
特に子を持つ親にとって、深刻な問題です。

そんな不安を抱える福島の方のために、福島県内や全国の避難先で活動を続けているのが、「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク」です。
弁護士を中心とした集まりで、メンバーの多くは「子を持つ親」で構成されています。

メンバーのおひとり、河崎健一郎弁護士にお話を伺いました。



◆活動内容
 「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク」は、原発事故の避難者を支援する法律家の集まり。特に、政府が決めた避難指示区域の「外側」で支援を受けられない“自主避難者”を支援する。
 「高線量被ばく地域」と、ただちに健康に影響はないが線量の高い「低線量被ばく地域」があり、避難指示が出たのは高線量被ばく地域と、低線量だが年間20mSv以上の地域に限定。その外側(郡山市や福島市、いわき市など)は、それまでの日本の法律による線量基準「年間1mSv」を今も浴び続けている。健康被害は議論が分かれるが、法律で定められた基準をオーバーしている状況は事実。
 そこから避難したいという人を手助けする活動をしている。
 原発事故を起こした直接の責任は東電。法律で東電が賠償すると決まっている。しかし被害者が自分で資料をそろえて金額を提示する必要がある。一方、昨年7月まで自主避難者には全く賠償対応が無かったが、多くの人たちの声で、事故から12月末までの分で、子ども・妊婦は一人当たり40万円、大人は一人当たり8万円賠償。4人家族で96万円。
 しかし、2012年1月以降の賠償金は協議中。出るか出ないかは分からないので、我々が求めている。


◆自主避難を選ぶ人は、今も後を絶たない
 自主避難者は厳しい状況に置かれている。避難してすぐ仕事や住まいが見つかるとは限らない。地方公共団体の支援プログラムで、住居や生活物資が無償提供される場合もあるが、これにたどり着けず、路頭に迷っている人がいるのも事実。

明日も、河崎弁護士のインタビューをお送りします。


【福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク Official blog】
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パーソナリティ 鈴村健一

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