2012年5月30日

5月30日「気仙沼大島ランフェスタ」

気仙沼の沖合に浮かぶ「大島」。周囲は約22km。島民は約3000人です。

海と山の自然に恵まれ「緑の真珠」とも呼ばれる大島ですが、東日本大震災では、太平洋側からの津波と、本州からの引き波により、島を東西両面から津波が襲い、30人以上の島民が犠牲になりました。
また気仙沼湾で発生した火災が湾内の瓦礫を伝って島に上陸し、島のシンボルでもある「亀山」が火災に見舞われる被害もありました。

その大島で、5月27日(日)にマラソン大会「気仙沼大島ランフェスタ」が行なわれました。
コースは10kmとハーフの2コースで、島の美しい景観とともに震災の爪痕などもめぐる設定になっています。

◆実行委員長・白幡昇一さん - 開催に向けた想い
 島の観光の幕開けが、このマラソン大会となる。楽しむことが支援になる。
 コースの中には瓦礫を置いてある場所や、もろに被災した跡などもある。記録を争う大会ではなく、走って楽しんでもらう。それが島の支援にも繋がるということで始めている。
 私の本業は、気仙沼と大島を繋ぐ船会社の代表。(震災前に)7隻あった船のうち3隻が座礁や火災で沈没。4隻が陸に上がってしまった。船会社として船を一隻も持たず、島民の足を確保できず、責任を痛感した。全国の旅客船の仲間から「うちで船を貸すよ」というオファーがあって、船を走らすことができた。
 今回のマラソン大会を通じて、島の人間がこんなに頑張っているよという顕れになるかなという想いもあって、やってみることになった。




「気仙沼大島ランフェスタ」の参加者は約1200名。
島の自然とマラソンコースを存分に楽しんでいました。


◆「気仙沼大島ランフェスタ」参加者の声
 ・大島は綺麗で、走る気持ち良さと景色の気持ち良さがある。海沿いや山の中のアップダウンもあって、アップは苦しかったが、木漏れ日が気持ち良かった。
・1年経ったら自然は回復したけれど、人工物、灯台が傾いているのを見ると、ここは被災地だったんだと、改めて感じた。
 ・沿道の方の応援、おじいちゃんおばあちゃんが「ありがとうございます」と言ってくれたのが感動した。お礼を言うのはこっちなのに、お辞儀してくれるおじいちゃんがいて、涙が出そうになった。
 ・2年前まで気仙沼で仕事をしていた。(ランフェスタに参加するのは)今回4回目。昔、大島に来ていたことがあったので、見慣れた風景が様変わりしたという思いは正直あったが、みなさんが元気に応援してくれたので、地域の方々の力を改めて感じることができた。
 ・海は穏やかで綺麗だけど、間に山積みになっている瓦礫とか、ぺちゃんこの車が山になっていた。復興はまだまだという感じがした。長年やっていたマラソン大会が去年できなくて、でも今年復興ということで開催できたようなので、来年もやってもらえれば。また今後ゆっくりこようと思う。いいきっかけになった。





2012年5月29日

5月29日「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト(2)」

震災瓦礫を処理するのではなく、埋めた瓦礫の上に小高い丘・マウンドを作り、木を植え、防潮堤にしようという取り組み「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」
先日、細川護煕元総理を理事長とする財団法人も設立され、4月には岩手県大槌町で「森の防潮堤」のモデルケース作りの植樹祭が行われました。

このプロジェクトを指揮する植物生態学者、横浜大学・宮脇昭名誉教授は「森の防潮堤には、三陸沿岸部に昔から自生していた樹木を植えることが大切」と話します。

◆宮脇昭教授 - 防潮堤に適した樹木とは
 植えるのはタブの木が中心。常緑樹で根が真っ直ぐ深く伸びるので台風や地震、津波でも生き残る。
 シラカシやアカガシ、ウラジロガシなどカシ類。仙台平野から南はスダジイなど椎の木も入ってくる。それを支える同じく常緑樹のヤブツバキ、モチノキ、シロダモなどを混ぜて混植、密植する。



「タブの木」などは、真っ直ぐ根をおろし、マウンド深く埋まった瓦礫をしっかりとつかみ、頑丈な地面を作るそうです。
宮脇さんによれば、「土地本来の樹木は災害に強い」ということです。


4月に行われた植樹祭には、地元の方もたくさん参加。
小さな苗木にそれぞれの想いを込めていました。

◆参加された方の声 - 自分が植えたものを観る楽しみ
 大槌の仮設団地に住んでいる。地元だから大槌の復興を願って、みんなが和む森になればいい。
 山桜や紅葉もある。何年か後に、自分が植えたものを観る楽しみもできると思う。


◆参加された方の声 - もう一度立ち上がろうという気持ち
 もともと大槌に住んでいる。タブの木はうちにもあったが、津波には耐えたが全部燃えてしまった。 クルマも家も津波で流れた。きっとこのタブの木は大きくなる。
 1000年に一度の津波。一度は自然を恨んだが、やはり私たちは自然によって生かされている。
 瓦礫は世の中で邪魔扱いされているが、亡くなった人の想い、財産が入った(土地の)上に木を植えて、300キロの鎮魂の森を作る。何年もかかるが、それと共に荒廃した町が復興していくのも見られる。
 この1年で体を悪くしたが、こういうものをみると生命力が貰える。もう一度立ち上がろうという気持ちになれる。

 


大槌町の植樹祭には、細野豪志環境相も参加しました。

◆細野豪志環境相 - 生活の跡を生かすプロジェクト
 瓦礫と一言で言っても、家の跡や地域の鎮守の森が流されたりしている。
 (このプロジェクトは)生活の跡を一番いい形でやっていると思う。色んなやり方があるが、一番良いやり方。
 色んな人に関わって欲しい。全国の人に手伝ってもらえるといい。




「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」は将来的に、青森から福島までの沿岸部300?に渡る「森の長城」を作ることが目標で、政府・行政とも連携した大きな事業として、検討されています。

 
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パーソナリティ 鈴村健一

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