2012年4月4日
4月4日「岩手県釜石市の防災教育に携わる片田敏孝さん(3)」
子どもたちの自発的な避難行動により、小中学生・約3000人が大津波から逃れて無事だった岩手県釜石市。
群馬大学大学院教授で、広域首都圏防災研究センター長・片田敏孝さんは、8年に渡り釜石の防災教育に携わってきました。
◆「奇跡」ではない
「釜石の奇跡」という言葉に、私自身は違和感を持っている。
子供たちは「僕らはずっと勉強してきてやるべきことをやった。だから『釜石の実績』なんだ」と言っている。
釜石では99.8%の小中学生が無事だったが、市民は1000人、子供も5人亡くなっている。それを考えると、防災の取り組みとしては失敗だと思う。
3000人の子供たちが懸命の避難をした。下級生やお年寄りを世話しながら避難した子供たちの行動は褒めてやりたい。
◆逃げることを信じる
(防災訓練の)授業の最後に、「君たちはちゃんと逃げると思うけど、お母さんたちはどうすると思う?」と問いかけた。すると子どもたちは「お母さんが迎えにきちゃう」。「お母さんが迎えにきたらどうなるだろう」と聞くと、「お母さんに逃げてねとお願いする」と言うから、僕はもっと効果的な方法があると子供たちに教えた。
「君がちゃんと逃げることだ。君がちゃんと逃げるということをお母さんが信じてくれれば、お母さんは迎えにこないだろう。だから勉強したことをお母さんにちゃんと伝えなさい」
今回の震災の後、お母さん方に「逃げましたか?」と聞いたら、お母さん方が「うちの子は逃げるなっていっても逃げる子ですから、わたしは逃げましたよ」とあっさり言った。その言葉を聞いて、子供たちが日ごろ家庭で何をどう伝えていたのか、手に取るようにわかった。
僕は心の中で「でかしたぞ!お母さんたちの命を守ったのは君たちだ!」と思っていた。子供たちは本当に実効性の高い防災行動をとってくれたと思う。
明日も片田敏孝さんのインタビューをお届けします。
群馬大学大学院教授で、広域首都圏防災研究センター長・片田敏孝さんは、8年に渡り釜石の防災教育に携わってきました。
◆「奇跡」ではない
「釜石の奇跡」という言葉に、私自身は違和感を持っている。
子供たちは「僕らはずっと勉強してきてやるべきことをやった。だから『釜石の実績』なんだ」と言っている。
釜石では99.8%の小中学生が無事だったが、市民は1000人、子供も5人亡くなっている。それを考えると、防災の取り組みとしては失敗だと思う。
3000人の子供たちが懸命の避難をした。下級生やお年寄りを世話しながら避難した子供たちの行動は褒めてやりたい。
◆逃げることを信じる
(防災訓練の)授業の最後に、「君たちはちゃんと逃げると思うけど、お母さんたちはどうすると思う?」と問いかけた。すると子どもたちは「お母さんが迎えにきちゃう」。「お母さんが迎えにきたらどうなるだろう」と聞くと、「お母さんに逃げてねとお願いする」と言うから、僕はもっと効果的な方法があると子供たちに教えた。
「君がちゃんと逃げることだ。君がちゃんと逃げるということをお母さんが信じてくれれば、お母さんは迎えにこないだろう。だから勉強したことをお母さんにちゃんと伝えなさい」
今回の震災の後、お母さん方に「逃げましたか?」と聞いたら、お母さん方が「うちの子は逃げるなっていっても逃げる子ですから、わたしは逃げましたよ」とあっさり言った。その言葉を聞いて、子供たちが日ごろ家庭で何をどう伝えていたのか、手に取るようにわかった。
僕は心の中で「でかしたぞ!お母さんたちの命を守ったのは君たちだ!」と思っていた。子供たちは本当に実効性の高い防災行動をとってくれたと思う。
明日も片田敏孝さんのインタビューをお届けします。