9月1日、来週の火曜日から、
標識がない区間の生活道路の制限速度が、
時速60kmから時速30kmに引き下げられます。

今週は「生活道路の新たなルールと交通安全」の後編。
先週は変更になる交通ルールを伝えました。

今回お話を伺った一般財団法人 全日本交通安全協会 総務部長の布施 賢而さんによると
生活道路は日常生活に密着していて歩行者や自転車、車が混在する道。
道幅が狭く、歩道や横断歩道がないため、重大な交通事故に直結する危険性があります。
自動車が狭いカーブを走行中、歩行者の発見が遅れたために死亡事故も発生しています。
また、見通しの悪い交差点で自転車が停止せずに自動車に跳ねられ亡くなった事故もあります。
そこで、クルマ、歩行者、自転車、それぞれの安全な利用についてお伝えしました。

生活道路の特に危険なポイントは、まず学校や公園の近辺。
友だちとふざけ合っている子供が隠れているかもしれません。
そして、見通しの悪い交差点。いきなり歩行者や自転車が出てくるかもしれません。
こうした場所には一時停止の標識が設置されているので、ドライバーはしっかり停まりましょう。

ドライバーの生活道路走行時の心がけとしては、
いつも通っている道路だから、同じ時間帯だからと油断しないこと。
歩行者や自転車はいないと思い込まず、道路環境は常に変化していることを認識して
「だろう運転」は NG。もしもの事態を想像した「かもしれない運転」をします。
夜間はスピードが出がちなので、速度超過に気をつけて下さい。
幹線道路と違って暗く、視界が悪くなるので、ヘッドライトを上向きにして
なるべく先を見ながら歩行者などを早めに発見することが重要です。



そして、事故に遭ってしまう確率が高い高齢の方をはじめ、
歩行者も、自分が交通弱者、守られる立場ということに胡座をかいてはいけません。
その姿勢が危険を呼び込みます。

歩行者は交通ルールを守ることが命を守ることに繋がります。
歩行中のスマートフォンの操作やイヤホンで音楽を聴くことは、注意力が散漫になり危険。
そして、見通しの悪い交差点では絶対に飛び出さない。
車が来ていないか、よく確認するようにして下さい。
小さな子供がいる方は繰り返しこの点を伝えるようにしましょう。
そして、夜間に交通事故に遭わないために反射材は身につけること。



自転車利用時は、4月から、いわゆる青切符制度がスタートしたものの
布施さんによると、まだまだイヤホンを両耳に挿している自転車利用者を見かけるとのこと。
自転車は道路交通法で定められた車両。
信号のない交差点での一時停止など、こちらも交通ルールをしっかりと、まずは守ること。
また、登校時の交通事故が多く発生しているので、
ヘルメットの着用や自転車のブレーキが効くか、自転車の整備にも気を配ってください。


「クルマがあまりスピードを出せない」という油断から生まれる
生活道路での事故に気をつけましょう。

法律用語ではないので、明確な定義はありませんが、
地域住民の日常生活に利用される住宅街や商店街などの道幅が狭い道路「生活道路」。
一般的に車道の幅が5.5m未満で中央線や中央分離帯がない道路を指し、
その名称の通り、生活に密接した道。
歩行者や自転車に乗る人が多く利用します。

その生活道路を通行するクルマのルールが、9月1日の改正道路交通法施行によって変わります。
速度標識のないところでは、8月までは最高速度は60km/hですが30km/hに変更されます。

背景にあるのは、生活道路で歩行中や自転車利用者が亡くなる人の割合が、高いこと。
特に住宅街や通学路のようなクルマと歩行者、自転車がともにいる道路での事故は多い。
こうした事故を減らそうという施策です。



車道の幅が5.5m以上の道路と5.5m未満の生活道路では、
交通事故で死傷した人の、状態別の割合が、かなり異なります。

自動車乗車中    64%
オートバイ乗車中  7%
一般原付乗車中   4%
自転車乗車中  16%
歩行中   9%

これが5.5m未満になると・・・

自動車乗車中  40%
オートバイ乗車中  7%
一般原付乗車中   6%
自転車乗車中  33%
歩行中   14%

自転車に乗っている人が16%から33%に、歩行中の人が9%から14%に増加。
それだけ生活道路には、歩行者や自転車利用者がいるということ。



でも、どうして引き下げられた最高速度が「時速30km」なのかというと
クルマの速度と交通事故の致死率は比例していて、
時速30kmを超えると、急激に致死率は高くなります。
      
国土交通省のデータによると
時速 0km – 20km → 0.6% / 時速20km – 30km → 0.9%
それが時速30km – 40kmだと3.0% / 時速40km – 50kmで8.4%
時速50km – 60kmになると17.0%にまで上昇します。
歩行者や自転車利用者を守るため、時速30kmまで速度引き下げしたのです。


お盆シーズン。クルマの移動が多い時期です。
今年は明日の土曜日と明後日の日曜日が、
Uターンラッシュ上りのピークと予測されています。
そんな状況の中で気をつけたいのが車線変更。
今回はモータリング・ライター 藤田竜太さんにお話を聞きました。

まず、車線境界線が黄色の実線の区間では車線変更が禁止。
さらに、進路変更禁止の標識や表示がある場所です。
ちなみに道路交通法では「車線変更」の表現はなく、「進路変更」についてのみ記述があり
第26条に「車両はみだりにその進路を変更してはならない」と書かれています。

まずは、むやみな車線変更は避けましょう。
少し古いですが、2015年の車線変更時の交通事故を道路形状別に見ると
速度が出やすい「直線(一般単路)」が最も多く
次が交差点より30m以内の「交差点付近」で全体の約2割。

交差点の手前で慌てて車線変更をしている様子が想像できます。
黄色の実線に気づいた時に余裕がなく、
急な車線変更になっているのかもしれません。


そうしたこともあってか、5年前に新たな道路標示ができました。
“この先に進路変更禁止の規制区間がありますよ”知らせるもの。
30m手前に黄色の波線がペイントされています。


車線変更を安全に行うため、
大切なのはドアミラーの事前のセッティング。

まずはシートに奥深く座り、背中をシートに密着させ、ハンドルの一番上の部分を握って
肩がシートから離れずに、腕が伸びきらず、肘に余裕がある位置になるよう
シートスライドと背もたれの角度を調整します。

その上でドアミラーの上下方向を合わせていきます。上下方向の角度は、
ミラーの下半分に路面、上半分に空が映るのが基準です。次に左右方向ですが、
自分の車の車体が1/4ほど映り込むようにするのが基本です。

ボディが全くミラーに映らない角度だと他者との距離感がつかみにくくなりますし
反対にボディが見えすぎるのも死角が増えて危険です。
運転席側のミラーを調整したら、助手席側も同じように合わせてください。



その上で安全な車線変更の手順。

まずは周囲の状況を確認


ドアミラーとルームミラー、さらに目視でクルマの流れを確かめつつ
安全に車線変更できるスペースがあるかを確認します。

ウインカーを出す


車線変更できると判断したらウインカーで周囲のクルマに車線変更の意思を知らせます。
少なくとも3秒以上点灯させ、その時にあらためて周囲をチェック。
特に後ろから追い越そうと近づくオートバイに注意して下さい。

クルマの流れに合わせて移動


ゆっくり余裕を持って車線変更を行います。
周りの車と速度を合わせながらハンドルを切り始め
車体が真横に並行移動するようなイメージで移動しましょう。
この操作は、高速道路では走行スピードが速いので
しっかり車間距離をとった上で行って下さい。


ウインカーを早めに出す事と、ミラーと目視できちんと後方を確認する事は同じですが、
もう1つ、これから入ろうとしている車線のスピードに合わせることが肝心。

隣の車線との速度差や車間距離の判断を誤ると接触事故につながるので気をつけて下さい。
ドアミラーでは見にくい斜め後方の死角にいる車両をミリ波レーダーなどで検知して
知らせてくれる「ブラインドスポットモニター」が搭載されているクルマであれば
十分活用するといいでしょう。


ただ、今の夏休みの帰省するクルマが多いタイミングは、
高速道路は渋滞している場合も多いでしょう。
その際の車線変更は、みんなのためにも、自分のためにも、やらないほうがいいようです。

渋滞学の研究で知られる東京大学先端科学技術センターの西成活裕教授が調査したところ
高速道路での渋滞時の車線別平均速度は、左端の走行車線が最も速く、
追い越し車線が最も遅い、という結果になりました。
それは、誰もが先を急ごうとして、渋滞直前に約4割の車が追い越し車線に集中するから。
つまり、渋滞の最後尾に付くときは走行車線を走るのがベストです。

道路が渋滞しがちな夏休みシーズン。不要な車線変更はやめる。
必要な時は、しっかりゆっくり、安全を確認して行なって下さい。
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