東日本大震災から8年。東北に住んでいる君に、会いに行きます。

SCHOOL OF LOCK!

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『 8年経った 』

とーやま校長「本日が、2019年の3月11日。
8年前の今日、3月11日、お昼の2時46分…。
俺も、今日の2時46分に黙祷をした。
基本的に非科学的なことってあまり信じていないんだけど、例えばスーパーの中でも"みなさん黙祷しましょう"って流れると、みなさん買い物の手を止めて、目を瞑って黙祷をされていたりとかして。
いろんなところで国民のみんなが目を瞑って(亡くなった方のことを)想った時に、"届くんじゃないかな?"って思ったの。
人それぞれ『黙祷』ということに対する捉え方は違うとかもしれないけど、8年経った今日、俺はそんなことを思って1日を過ごしました」

SCHOOL OF LOCK!


あしざわ教頭「僕は3年ぐらい前から、『黙祷』の代わり…と言ったらアレですけど、毎年絵を描いているんです。
"海辺に立っている女の子"の絵を描いていて、"その日に卒業式だったらその子は今いくつなのかな?"とか考えながらその風景を描くようしてるんですよ。
今年もまたこの日が来たなって思いながら、僕が想像で描いてる女の子なんだけど、今回は"彼氏と来ている女の子"を描いて。
"新しい彼氏ができて一緒に海とかに遊びに行ったりしてるのかな"とか、想像の中なんですけど、毎回絵を描く時にだけ(女の子と)会う自分がいて。
頭の中でその場所を想ったりとか、その人を想うっていうことがすごく大切な時間なんだなって、毎回この時期になると思うんですよね」

SCHOOL OF LOCK!


とーやま校長「今日、新聞を読んでいたら、とある言葉が飛び込んできて。
"この2019年3月11日は、『震災後8年』じゃない、『震災が8年続いている』んだ"というようなこと。
"震災後8年"と言ったらそこで切り取られて、"はい、そこから8年経ちました!"って言葉に感じちゃうけど、そうじゃなくて。
復興して、去年、一昨年行った時よりも全然変わって所もたくさんあるけど、もちろんそうじゃない所もある。
変わったこともあれば、8年前から何一つ変わらないこともある。
今日は、東北の生徒に会いに行って、今、どんなことを思っているのかとか、みんなに伝えたいことだったりとか、そういう話をみんなに届けていきたいと思っているので、本日3月11日のSCHOOL OF LOCK!もよろしくお願いしたい!」


<生徒が集まって来る音>

あしざわ教頭「さあ、今日も生徒が集まってきました!
SCHOOL OF LOCK! 今日も開校です‼︎」

あしざわ教頭「…起立!」

あしざわ教頭「礼‼︎」

とーやま校長・あしざわ教頭「叫べ~~~~~~~~~~~!!!!!」


♪ ひかり / ASIAN KUNG-FU GENERATION


改めて…。
東日本大震災から、今日で8年が経ちました。

今、東北に住んでいる生徒が、どんな毎日を送っているのか、どんな街で暮らしているのか、どんなことを考えているのか知りたくて。
今年もSCHOOL OF LOCK!は、東北にお邪魔してきました。

とーやま校長「今年は、俺と教頭は、別の生徒に会いに行ってきました。
俺は、やしろ元教頭と一緒に、今、宮城県の仙台に住んでいる元生徒、RN エゴイストに会いに行ってきました。
なぜやしろ元教頭が一緒だったかというと…。
実は、やしろ元教頭が震災直後に、会ったことがある生徒なの。

震災直後、やしろ元教頭がいろんな職員とか、いろんな仲間に声をかけてくれて、みんなで一緒に、生徒に会いに行かせてもらったりしてたんだけど。
RN エゴイストもその一人。当時は、ご両親を亡くした直後でした。
で、俺自身も2013年に一回、エゴイストとは会ってるんだけど、当時は高校2年生。
それからまた時間が経って、今現在は23歳。

あれから、どんなことがあったのか、今、何をしているのか。
エゴイストには、エゴイストの地元、岩手県の陸前高田市を案内してもらっております。
通っていた中学校に一緒に行ったり、津波で流されてしまった、エゴイストの実家があった場所を、一緒に見に行ってきました」

あしざわ教頭「僕は、RN あつりえという、宮城県に住んでいる18歳の女の子に会いに行ってきました。
さっき聞いてもらった音声の途中で聞こえた大人の女性の声は、あつりえのおばあさんです。

あつりえには、石巻市を案内してもらいました。
市場(いちば)で一緒に美味しいご飯を食べたり、街が見渡せる公園に行ったり、あつりえが震災直後に避難していたという、おじいちゃんとおばあちゃんの家にもお邪魔させてもらいました」


というわけで、今夜は、RN エゴイストRN あつりえ
2人の生徒の声を届けていきます。

今回の旅の様子は、とーやま校長が顧問を務める部活動、【ドライ部】で映像の撮影も行いました!
You Tubeに動画が1本アップされているので、ぜひ、現地の様子を見てください。
今日は、教頭の旅をアップしています!

<⇒SCHOOL OF LOCK!のYou Tubeチャンネルはこちら


とーやま校長「今日はこれから届けていく2人の声を聞きながら、みんなが考えたことを教えてほしい!」

あしざわ教頭「学校掲示板とメールで待っています!」


東北に住んでいる君。故郷を離れてしまった君。
ニュースやネットの記事を見ながら、東北にいる仲間のことを思っている君。

君は今、どんなことを考えていますか?

みんなからのメッセージは
学校掲示板もしくはメールまで送ってほしい!

SCHOOL OF LOCK!



とーやま校長「今夜は、東北に住んでいる俺たちの仲間が、今、どんなことを考えているのか。
みんなが住んでいる場所がどうなっているのか、知りたくて。
俺と教頭が会いに行ってきた、生徒の声を届けていきます」

あしざわ教頭「今回は、校長と僕は、別々に、違う生徒に会いに行ってきたんですが…。
僕が会いに行かせてもらったのは、
あつりえ 宮城県 18歳 女性
SCHOOL OF LOCK!にこんなメールを送ってくれていました」



私は小学校4年生の時に東日本大震災にあいました。
近くの小学校ではたくさんの生徒さんが亡くなられました。
その中には私の友達も含まれていました。

小学校4年生だった私は、その事がショックすぎて、
今まであまり思い出さないように生きてきました、
でも、それじゃダメだなと改めて思い始めました。

あの頃より成長した今、もう一度あの頃を振り返って胸に刻みたいです。
ぜひ校長と教頭にお手伝いして頂けないでしょうか?
よろしくお願いします。
あつりえ
女性/18歳/宮城県





"初めまして"のRN あつりえと合流し、車で移動するあしざわ教頭。
あつりえのオススメの場所へ案内してもらいます。

あつりえ「近くに、"いしのまき元気いちば"っていう施設があって」

あしざわ教頭「すげーいい名前じゃん!」

というわけで、『いしのまき元気いちば』へ到着!
旬の鮮魚、水産加工品から、農産品、地元の物産品、三陸地域や震災復興応援地域の特産品など、美味しそうな食品・食材や飲食店が並んでいます!
食事をしながら、RN あつりえの大学や恋の話を聞かせてもらいました。

SCHOOL OF LOCK!

<いしのまき元気いちばから見える景色>


そして場面は変わり、あつりえの思い出の場所へ…。

SCHOOL OF LOCK!


あしざわ教頭「ここら辺は?」

あつりえ「小学校の時とかに公園でよく遊んでたんで、よく通りました」

あしざわ教頭「そうなんだ」

あつりえ「カフェとか増えたんで、高校の友達とかも近くのカフェに行っているのをSNSで見たりしました」

あしざわ教頭「公園に来たけど、これは?」

あつりえ「自分が小学校の時によく来て遊んでた公園なんです」

そして、子供達の遊ぶ声に混じって何やら不穏な音声が…!?




あしざわ教頭「ちょっと、最後の方全く伝わってないと思うんですけど」

とーやま校長ただおじさんが痛がってただけという…」

あしざわ教頭「(笑) あれはね、公園の滑り台で滑った音なのよ」

とーやま校長「何をしに行ったの?」

あしざわ教頭「中瀬公園っていう石ノ森萬画館とかの近くにある公園なんですけど、震災直後は大きな被害を受けた場所で。
今、子供達の声が聞こえてると思うんですけど、さっきのは、そこで遊んだ時に俺が滑り台で手をバキッとめっちゃ打った時の、"アーッ"って声ね」

とーやま校長「(笑) なるほどね」

あしざわ教頭「"いしのまき元気いちば"とかも行かせてもらったんだけど、日曜日ということもあってめちゃくちゃたくさんの人が来ていて、
そこで食べたウニのクリームパスタ、めちゃくちゃ美味かった…!!

とーやま校長「いいね〜」

あしざわ教頭「ウニもめちゃくちゃ美味しいし、あつりえが食べてた"あら〜麺"っていう、あら汁で作ったラーメンがあって」

とーやま校長「"あら〜麺"?」

あしざわ教頭「俺は食べさせてもらえなかったんだけど、一口もらえば良かったと思って!」

とーやま校長「あつりえが意地悪したみたいじゃん」

あしざわ教頭「俺も自分のを食べるのに夢中になってて、お互い"渡し合う"みたいのは一切なくて」

とーやま校長「楽しそすぎて何を言ってるのかよくわかんないんだけど!」

あしざわ教頭「(笑) 楽しく行かせていただいたんですよ!
でね、次にお邪魔したのが、あつりえのおじいちゃんとおばあちゃんの家で、地元の学校の制服を扱うお店なんですよ。
8年前に、あつりえとその家族がこの店に避難をしていたんです。
で、この日は、おじいちゃんとおばあちゃんもお店にいてくれたんです」




あつりえ「地震が起きた時には、私は小学校の授業がまだ終わってなかったので、小学校にいたんですけど。
家族はこっちの方にいたので」

あしざわ教頭「お店の方にね」

あつりえ「そのまま上の階に避難していたみたいで」

あしざわ教頭「ここ(お店)の?」

あつりえ「そうです」

あしざわ教頭「ここは、2階?」

あつりえ「3階まであるんですけど」

あしざわ教頭「1階までは水が来てたってこと?」

あつりえ「来て、もうここら辺まで」

あしざわ教頭「じゃあ、もう降りれない状態だ」

あつりえ「降りれなかったって」

あしざわ教頭「(あつりえが)そこに来た時には、もう(水が)引いてた?」

あつりえ「次の日になって水が引いてから、親に学校まで迎えに来てもらって、ここまで一緒に帰って来たんです」

あしざわ教頭「じゃあ、それまではずっと学校?」

あつりえ「学校で泊まってって感じでした」

あしざわ教頭「家族の安全は確認できてたの?」

あつりえ「何の情報もなかったので、わからないままとりあえず学校にいて、迎えに来てもらったから帰ったって感じです」

あしざわ教頭「その時のことは、どういう記憶として残ってる?」

あつりえ「とりあえず、わけがわからないまま生活してた感じかなって」

あしざわ教頭「状況もわからず?」

あつりえ「とりあえず大変なことになってるのは周りを見ればわかるんですけど、それが、どこまでその状況が続いてて、どこから無事だったのかとか、どこの建物が無事で、どこの建物が流されたのかとか、全然よくわからなかったです。
あと、電気が復旧するまでテレビとかも観れなかったので」

あしざわ教頭「そうか。もう、本当にわからないままだ」

あつりえ「世間でこれがどういう風に取り扱われてるかも全然わからないし…」

あしざわ教頭「今、このお店自体はすごく綺麗になってるじゃん?
これは、どのぐらいで戻すことができたの?」

あつりえ「うーん…詳しくは覚えてないんですけど」

ここで、あつりえのおばあちゃんが話を引き継いでくれました。

あつりえのおばあちゃん「次の日から、泥かけが始まったんです。
泥がもう、1メートルぐらい(の高さまで)。
何しろ土が混ざってるので、コンクリートみたくなっちゃうの。
だからそれを先に取らないと、もうどうしようもないと思いました」

あしざわ教頭「うわ〜…。
それを全部取るのに(どのくらいかかった?)」

あつりえのおばあちゃん「全部取るのに1ヶ月はかかりましたよ。
もう寝ないで、何しろ光がないから懐中電灯で、"今日はここまで""次はここまで"って感じでした。
ちょっと想像がつかなかったね。寝られないし…。
隣のご夫婦とおばあちゃんも(お店に)入って、お客さんもいて、全部で12〜13人でここで寝て。
あと、やっぱりおばあちゃんたちが1ヶ月弱いましたので、ここで一緒に生活して、で、トイレが一番ひどかったですね。
お水が出ないから、水洗がダメで。
どうしたもんだか寝られないし、"なんでこんな風になったんだろう"ってそういう思いだけですよね」

あしざわ教頭「お水がちゃんと戻ったのはいつ頃だったんですか?」

あつりえのおばあちゃん「うちは早かったんです。
学生服が、あと1週間で高校の発表で、その在庫がものすごくあったんですよ。
中学校のは渡すだけになってたのをダメにしてしまったので、とりあえず泥だらけになった伝票を乾かして、それで今度は学校に行って子供の名前やどこにいるかを聞いて。
それを社長だとかみんなで手分けして。
誰か来ても困るので私は店に出て。泥棒に入られるということが、度々近所であったんですね。
だから、店には誰かいないとダメなのでね。
あとは、すっかり直ったのは5ヶ月…」

あしざわ教頭「5ヶ月ぐらいかかって?」

あつりえのおばあちゃん「ただ、商売は懐中電灯で学生服を(売って)していました。
流されて、"なんでもいいからください"っていう人がいて、2階にちょっと在庫があったから、それでやりましたね」

あしざわ教頭「すごいな…」

あつりえのおばあちゃんいつまでも泣いてられないからさ。
生活していかなきゃならないから、まずなんとか踏ん張って、みんな頑張ってやってるうちに…。
ただ、1つ良いことは、ビルをここに建てれば、また人口が増えたりしてね。それを期待してます。
まあ、若い人たちにこれから継いでいってもらいたいなとは思ってるからね」


♪ 切手のないおくりもの / 羊毛とおはな


あしざわ教頭「今の話とかは、聞いたことはあったの?」

あつりえ「ないです」

あしざわ教頭「そうか。今の話を聞いて、どう思った?」

あつりえ「子供心にも大変だろうっていうのはわかるんですけど、制服とかをやってるので、そっちのメーカーさんとの関係とか、それを取り持たなきゃいけなかったんだな、とか、(話を聞いて)"やっぱり大変だな"って思いました」

あしざわ教頭「伝票を乾かしながらやってたんだもんね。
そういう話はあんまりしないの?」

あつりえ「普段はあんまりしないです。普通の学校の話とかすることが多いので」

あしざわ教頭「ちなみにさ、ここでの思い出とかってあったりする?
近くに仲の良い子とかいた?」

あつりえ「震災前に、夏休みとかで遊んでいた子がお隣にいたんですけど、その子は亡くなってしまったので…」

あしざわ教頭「そうなんだ…」

あつりえ「詳しい状況とかはちゃんと聞いてないのでよくわからないんですけど、"亡くなった"って聞いて、"ホントに?"って感じでした」

あしざわ教頭「よくわからないよね」

あつりえ「ショックはもちろんあったんですけど、"本当に亡くなったのかな"って」

あしざわ教頭「ふっとその子のことを思い出すこととかあるの?」

あつりえ「3月11日が来ると、やっぱりテレビとかで当時の映像とかいっぱい流れるので。
"あ、こんなことがあったな"とかは思い出すんですけど、やっぱり忘れないようにしなきゃなっていうのは思う」

お店の壁には、『負けねーど がんばる』と書かれたポスターが貼ってありました。

あしざわ教頭「これはずっと気になってたんですけど、『負けねーど がんばる』っていう…」

あつりえのおばあちゃん「そうそう」

あしざわ教頭「これはいつから貼ってあるんですか?」

あつりえのおばあちゃん「これはずっと貼ってます」

あしざわ教頭「これはやっぱり…」

あつりえのおばあちゃん「だって、やっぱり挫折しますよ。途中で"どうしよう"と思ったり。
学生服なんか(津波でダメになった制服を作り直すのに)倍の借金をしてしまってるもの」

あしざわ教頭「じゃあ、"ワーッ"って時は、あれを見て"もうひと頑張り"っていう」

あつりえのおばあちゃん「神戸から来た人に励まされたのは、"神戸は(震災から)10年経ってもまだまだだから、石巻はまだまだだね"って言ってました」

あしざわ教頭「なるほど。今8年経ってもまだまだこれから」

あつりえのおばあちゃん「うん。これからだね」




あしざわ教頭「おばあちゃんが話終わった後に、実はあつりえが一人誰もいない所に行って、後ろを向いて立ってて。
多分、初めてこの話を聞いたから」

とーやま校長「当時の? "どういう思いでいた"とか」

あしざわ教頭「"どんな様子だったのか"とか。
その時は小学生だったから"大変だ"ということしかわからない状態だったんだけど、(今回)詳しい話を聞いて、多分、思わず涙を流してしまったのよ。
だから、僕はその様子を見て、お互いに当時の話をすること自体が、めちゃくちゃ勇気のいることだと思った」

とーやま校長「もちろん、話をしている方もいるし、そうじゃない家族の人もいるし、向き合い方はそれぞれだと思うけど、あつりえに関してはそうだったんだね」

あしざわ教頭「だから、お店に貼ってある『負けねーど がんばるぞ』って言葉が書いてあって、その言葉の意味とか、(おばあちゃんが)どういう思いでその言葉に助けられてやっていらっしゃったかって話も、(あつりえは)その時に初めて聞いて。
だから、あつりえ自身も初めて自分の口で喋ったこともきっとあったし、手紙をくれた時も"今まであまり思い出さないように生きてきました"って言っていたので、お互いにとって特別な時間でしたね」

あしざわ教頭「そしてこの日の終わり、日和山公園
石巻の街を見渡せる場所で、改めてあつりえに、今思っていることを聞かせてもらいました」



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あつりえ「さっき祖母の話を聞いて、ちょっとずつ街が元気になってきたり人が増えてきたりしているのは、大人の人が頑張ってくれたからなんだな、と思いました。
これからは自分もどんどん"大人"って言われる立場になってくるので、"街から人が消えないように"じゃないですけど、これからも石巻が"人が来てくれるような街"だったらいいなと思います。
忘れちゃいけないし、ちゃんと口に出すことで自分でも振り返れたかなと思うので、貴重な体験をさせていただきました」


♪燈る街 / LOST IN TIME


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あしざわ教頭「今回、旅をさせてもらって、やっぱり行かないとわからないことがいっぱいあって。
もちろん街は少しずつ復興はしてきているけど、それこそあつりえとか皆さんの心の中は、まだ、全然復興してないこともいっぱいあるんだなとすごく思いました。
それは行って話を聞かないとわからないし、本人が口に出したことで何かが報われることもあるかもしれない。
僕は3年連続で日和山公園に行かせてもらってるんだけど、"また行こうかな"って思いました。
あの日和山公園から見える空の色を毎回絵で描こうとするんだけど、なかなか上手く描けない。
だから何回か行って、ちゃんとその絵を完成させようかなと思いました」

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色々貴重な話を聞かせてくれたRN あつりえのおばあちゃん、おじいちゃんとも、お別れの時間です。

あしざわ教頭「色々ありがとうございました。
思い出したくないこともあるでしょうに…」

あつりえのおばあちゃん「(震災の)映像をテレビで観て、グッときますね。
本当に、"なんで、私たちが"って思うけど、全国的にどこでもあり得ることだし、いろんな所で災害があるから、まず頑張ってやっていかないとなと思ってね」

あしざわ教頭「すいません、お邪魔しました」

あつりえのおじいちゃん「いいの、いいの!」

あつりえのおばあちゃん「ほら、『がんばろう石巻』っていうの」

あつりえのおじいちゃん「ああ」

あつりえのおばあちゃん「ずっと貼ってますって言ったの」

あつりえのおじいちゃん「もうそろそろ…取りますか」

一同笑い

あつりえのおじいちゃん「まあ、しょうがない! もう、済んだ!




あしざわ教頭「『もう済んだ』っていうの、笑って言ってるおじいちゃんの強さとかをすごく覚えてるし、本当に、また、遊びに行かせてもらいます!

RN あつりえ、そしてあつりえのおばあちゃん、おじいちゃん、ありがとうございました!

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そして、今回の旅の様子は、SCHOOL OF LOCK!のYou Tubeチャンネルにアップされています。
ぜひこちらも観てほしい!







とーやま校長「未だ見ぬきみの“こえ”よ。夜空に届け!」

とーやま校長・あしざわ教頭「きみのこえがききたい!」

10時55分過ぎからは、SCHOOL OF LOCK!と秋元康先生がおくる、10代限定! 声の甲子園!
ラジオドラマの主人公発掘プロジェクトきみのこえがききたい。

月、火、水、木の4話で完結するラジオドラマの主演をこの学校から選ばれた男女1組が、週替わりで務めます!

今日お送りする話は、<卒業編 第1話>!

今週の主演を務めてくれるのは、
RN つてる 島根県 15歳 男性
RN ひなちよ 東京都 17歳 女性
の2人!!

引き続き、ラジオドラマの主演を務めてくれる生徒を募集しています!
サイトにアップされている脚本に合わせて「Eggs Voice」というアプリから、君の声を送ってきてください!

とーやま校長「不器用でも、下手でも構わない! とにかくオレたちは…!」

とーやま校長・あしざわ教頭きみのこえがききたい!

<⇒特設サイトは【コチラ】!




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さあ、11時台は、とーやま校長とやしろ元教頭が、東北の元生徒に会いに行ってきた様子を届けていきます!

生徒の名前は、エゴイスト 23歳 男性
陸前高田に住んでいた生徒で、8年前にやしろ教頭が会った時には、震災でご両親を亡くされた直後でした。
そしてその2年後に、とーやま校長もエゴイストに会いに行っています。
<⇒その時の放送後記はコチラ!>




とーやま校長「こんにちは! お久しぶりです!」

エゴイスト「こんにちは!」

やしろ元教頭「エゴイスト?」

エゴイスト「そうです」

やしろ元教頭「うわー、こんにちは! 8年ぶりだ、俺」

とーやま校長「やしろさんは8年ぶり?」

エゴイスト「1度お会いした…」

やしろ元教頭「うん、家で。おばさんの」

エゴイスト「(笑)」

とーやま校長「もう、だって…」

やしろ元教頭大人じゃん!

エゴイスト「(笑)」

やしろ元教頭「だって、坊主の子だったよ?」

というわけで、RN エゴイストとは、とーやま校長は6年ぶり、やしろ元教頭は8年ぶりの再会。
すっかり大人になったエゴイストにびっくり!
しかもエゴイストは、なんと事業をしている知り合いからヘッドハンティングされて、転職するんだとか!
すごい!




とーやま校長「もうさ、野球やってたし、坊主のイメージがあるから」

あしざわ教頭「会った時ね」

とーやま校長「そのエゴイストから"事業"って言葉が出てくることが、"すごいな"ってずっと思い続けてた。
第一声の時からもう、めちゃめちゃ大人だなって思ったし。
だって、6年前に会ってる時が高校2年生だからね」

あしざわ教頭「そうだね」

とーやま校長「その時、エゴイストが昔通ってた中学校に、エゴイストの友達たちと一緒に行かせてもらったのね。
みんなで陸前高田に住んでいたんだけど、震災が起こって離れ離れになってしまったので、久しぶりにみんなで再会して"通ってた中学校に行こう"という話になったの。
エゴイストがいて、RN Little × Braverってヤツと、RN ヒタスラニsmile
名前から察するに、みんな、BUMP OF CHICKEN先生が大好きで。
で、ヒタスラニsmileがめちゃめちゃピアノがうまくて、いつもそのピアノに合わせてエゴイストが歌ってたりとかしてたわけ。
今回も、そこ(中学校)にお邪魔させてもらった」

SCHOOL OF LOCK!




エゴイスト「着きましたね」

とーやま校長「俺らが来たのは6年前だもんね」

エゴイスト「ですね」

とーやま校長「これはグラウンドを新しくしてるってこと?」

エゴイスト「もともと仮設住宅あったので、やっと全てがはけて」

とーやま校長「なるほどね。そういうことか」

やしろ元教頭「いつ以来?」

エゴイスト「中学校ですよね。でも…僕は、ちょこちょこ来てはいるんですけど」

やしろ元教頭「そうなんだ」

とーやま校長「学校の周りとかは、だいぶ変わってるよね」

エゴイスト「そうですね。やっと建物が建って街らしくなってきたかな、とは思っているので」

とーやま校長「すごく殺風景な印象だったけど、今日来て、"あれ、ここ初めて来た所かな?"っていう感じだった」

エゴイスト「6年も経つと」

6年前、ここで、RN エゴイストと友達たちにBUMP OF CHICKEN先生の『ゼロ』を演奏してもらいました。


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<学校から見える景色>


とーやま校長「ずっと工事はされてるんだね」

エゴイスト「そうですね」

とーやま校長「今は何をされてるとかってわかる?」

エゴイスト「今はいわゆる嵩上げが終了して、やっとお店や建物が建っていく段階に入ってるので、それこそもうちょっと中心の方に行くと、ちょっと大きい商業施設があったりするので、多分そういう作業に入ってる段階ですかね」

とーやま校長「じゃあ、ようやく、離れざるを得なかった人たちもここに戻って、そろそろ生活できるかもしれない?」

エゴイスト「そうですね。本当に、そういうタイミングになっているのかなと」

とーやま校長「今、2019年3月のこの景色を見て、どう?」

エゴイスト「当時は右も左もわからずで、自分の生活もだいぶ変わってしまったので、8年ぐらいでまさかこういう風な形で、また街が出来ているとは全く想像できなかったです。
昔のようには戻らないんですけど、また新しく自分の地元が街としてなっていくのは、言葉では表現しがたいんですけど、"形は違えど戻ってきたな"って感覚はすごくしています」

やしろ元教頭「あんまり見たくないとか、そういうのはない?」

エゴイスト「全く、見たくないとかは思わないです」

やしろ元教頭「ちょっと、想像できないな。
この作業というか、瓦礫を片して山を削って、全部、街ごと8メートル上げて、ならして。
すごいな。人って、すごいな…

とーやま校長「そうだよね。だって、ずっとやられてるわけだから」

やしろ元教頭「ずっとだよ」

とーやま校長「季節も何も関係なくさ」

エゴイスト「関係なくやってますね」

とーやま校長「そうだよね」




とーやま校長「そして、エゴイスト、僕とやしろ初代教頭は、もともと(エゴイストの)実家があった場所にお邪魔しました」



エゴイスト「多分なんですけど、今、建物が建ってるじゃないですか。
あそこの後ろらへんの土地が、もともと家があった場所になるのかなと思って」

とーやま校長「この辺り?」

エゴイスト「そうですね。今ちょっと通行止めで入れないんですけど」

すでに土地は整備され、RN エゴイストの実家のはっきりした場所はわかりませんでした。

やしろ元教頭「この辺も、震災後に全部道を新たに作って?」

エゴイスト「そうですね」

やしろ元教頭「嵩上げもされてる?」

エゴイスト「されてます」

とーやま校長「確かに、わからないですね」

やしろ元教頭「わからない。街全体を8メートル(嵩上げ)でしょ?」

エゴイスト「そうです」

とーやま校長「ここ全部ってことでしょ?」

エゴイスト「全部嵩上げされた土地になるので、もう昔の街はいわゆる"土の下"というか…」

やしろ元教頭「写真とかはないの?」

エゴイスト「写真はあるんですけど」

やしろ元教頭「ちょっとはある?」

エゴイスト「ちょっとはあります。
流されたものの、やっぱりどこかで拾っていただいて残してくれた方がいらっしゃったりするので。
それが回り回って、手元に届いたりすることもなくはないので」


エゴイスト「震災直後はさすがに下には降りれないので、あそこの裏山から見たんですけど、それこそ家の基礎しか残ってなかったので、"本当に家がないんだな"ってちょっとびっくりしたのを覚えてますね」

とーやま校長「それは何日ぐらい?」

エゴイスト「震災が起きて、2日後ぐらいには。
それこそ親がまだどこかにいると思ってたので、そういうことも含めて、ちょっと避難所を回りながら家の状況も見てみようってことで、上から見ました」




とーやま校長「今、こうやって改めてエゴイストの話を聞かせてもらっても、素直に理解できるところと、やっぱり途方もなさすぎて、受け止めきれてないところもあるな、と思いながら聞かせてもらっていて。
山を削って、その土を元の土地に積んで、嵩上げをしているということもそうだし。
新しい建物が建ってたりする場所もいっぱいあるんだけど、でも、そうじゃない場所もいっぱいある。
おそらく、戻って来ようにも戻って来れない方、"もう戻りません"という方もいらっしゃる中だったわけね。
そこにエゴイストが"また俺たちと一緒に来たい"って言ってくれたのが嬉しかったし、あそこで見た景色はちゃんと胸の中にあると思うから、まずそこが大切なことだったなと思ってます」

SCHOOL OF LOCK!



♪ Lemon / 米津玄師




とーやま校長「6年前に僕らは会いに来て、その1年後に、あれは未来新聞
文章と写真を送ってきてくれて。
それが、お父さんの車の写真かな? "ようやく見つかった"っていうのと」

エゴイスト「ああ!」

とーやま校長「あの時の文章が、みんなに向けて届けてくれている言葉で、"ありがとうって気持ちをいつ言えなくなるかもわからない"

やしろ元教頭「周りの大事な人に」

とーやま校長「そうです。"そういう気持ちがある時に、ちゃんと伝えた方がいいですよ"って言ってくれてたと思うんだけど、覚えてる?」

エゴイスト「はい、覚えてます」

とーやま校長「あの時の気持ちは変わらない?」

エゴイスト「本当に、それは変わらずで。
今、自分も社会人になって仕事をしてますけど、災害を問わず、例えば事故だったり、死ぬ可能性って誰にでもあるから、やっぱりそれだけは、震災という経験をしたからこそ忘れちゃいけないような"気付き"だと思うので。
それはもうずっと、自分の胸に思いながら、日々生きてますね」


とーやま校長「たまに(ここには)来るんだ?」

エゴイスト「そうですね。やっぱり、夏だったり冬のタイミングで行事があるので、その都度僕は帰って来ているので。
でも、なかなか改まって"ここに自分の家があったな"って思うタイミングもなく帰ってしまうので…」

やしろ元教頭「そうだよね…」

とーやま校長「今思うこととか、浮かぶこととかはある?」

エゴイスト「そうですね…。やっぱり当時の家の姿の写真とかが残ってないので、あくまで自分の記憶の中でしか残ってないんですけど」

とーやま校長「家の写真って撮らないもんね」

エゴイスト「撮らないですね(笑)
でもやっぱり、月日が経つにつれてそういう家の姿だったりもぼんやりとしてくるので、なんかそれは少し寂しかったりもするな、とは思います」

エゴイスト忘れたくはないですけど、記憶からは無くなっていくので、"どうしようもないな"って、"やるせなさ"じゃないですけど、そういうのは感じますかね」

やしろ元教頭「またいつかこの辺に住もうって思う?」

エゴイスト「"住もう"って思ってたんですけど、やっぱり今は今で、震災でいろんなことを学んだこともありますし、そこから自分の人生を無駄に生きてはいられないなってすごく思ったので、"地元に住む"とまではいかなくても、何か地元に対して貢献できればいいな、っていうのが率直な気持ちです。
"住む"ってなると、まだまだイメージが湧かないので」

やしろ元教頭「お世話になってたおばさんとも仲良くやれてる?」」

エゴイスト「もう、毎回地元に帰ったタイミングでは会って」

やしろ元教頭「一緒にご飯食べたり」

エゴイスト「お世話になってるので」

やしろ元教頭「お土産買ったり?」

エゴイスト「そうです。
おばさんには、高校3年間お世話になったことを形としてしっかり何かできればいいなと思ってたんですけど、まだちょっとそれができていないので…。
もう少し僕がお金を稼げるようになったら、例えば温泉旅行とか」

やしろ元教頭「うん!」

とーやま校長「いいね!」

エゴイスト「そういう形で"ありがとうございました"っていうのを示せればいいのかなと、漠然と思ってます」

やしろ元教頭「高級な旅行とかじゃないかもしれないけど、ちょっとした所でも、近くでも、そういうのって値段じゃないもんね」

とーやま校長「もう、こうやって仕事をして、"仕事をこっちで一緒にやろうよ"って言われてることが、どんだけ親孝行、おばちゃん孝行なのかって話じゃん」

エゴイスト「そうですね」

やしろ元教頭「温泉いいね。じゃあ、高級なの行っちゃうか!

エゴイスト「(笑) 良い所」

やしろ元教頭「良い所、行っちゃうか! そうだな、どうせならな!」

エゴイスト「そうですね、せっかくだから」

やしろ元教頭「そうだな、うん」




とーやま校長「こういう生徒がいるということを、みんなには時折でもいいから思い出してほしいし、このエゴイストの気持ちに自分の気持ちを重ねることによって、いろんな行動とか考え方も変わってくると思う。
だから、"自分には何もすることがないです"ってヤツにこそ、思いを重ねて想像をしてほしいなと思う」

あしざわ教頭「はい」

とーやま校長「結局あのあと3軒目まで呑みに行って、そんな中で(エゴイストが)突然歌ってくれた曲があって。
"この曲を歌ってくれた意味は何だったんだろう、でも、なんて素晴らしい歌なんだろう"って思った曲を、最後に!」


♪ 壊れかけのRadio / 德永英明


RN エゴイスト、ありがとう!
"おばさん孝行"ができたら、また話を聞かせてください!

そして、校長の旅の動画は、来週アップされます!
こちらも楽しみにしていてほしい!

SCHOOL OF LOCK!

RN エゴイストと後で合流したRN しっぴは朝まで付き合ってくれたぞ!



【FAXイラスト】


SCHOOL OF LOCK!

RN 愛音


SCHOOL OF LOCK!

RN 舞々子


SCHOOL OF LOCK!

RN バウムクウヘン


SCHOOL OF LOCK!

RN ハムカツ御膳


SCHOOL OF LOCK!

RN 愛音



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【オンエアリスト】
22:06 ひかり / ASIAN KUNG-FU GENERATION
22:27 ROCK-mode(横浜アリーナ Live ver.) / LiSA
22:40 切手のないおくりもの / 羊毛とおはな
22:47 燈る街 / LOST IN TIME
23:17 Tiny Baby / Perfume
23:24 無限未来 / Perfume
23:42 Lemon / 米津玄師
23:51 壊れかけのRadio / 德永英明

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家族を亡くした人、家に帰れない人、家に帰らないと決めた人、
今も復興のために動いてくれている人、こういう方達に自分の思いを重ねる事で、
他人事だった事が少しだけ自分事になると思うのです。

校長のとーやま

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来週のドライ部で校長とやしろ教頭の方の動画も上がるから見てみて。
今度は夏とか春に東北あそびにいこうかな。

教頭のあしざわ

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