「検証:人気楽曲のテンポ(BPM)を落としたらどう聞こえるのか?」

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2021年10月1日(金)PM 10:00まで




音を学ぶ「音学(おんがく)」の授業、サカナLOCKS!。今回は、音楽における曲の速さ、テンポ、BPMについての授業です。曲のスピードの違いによって印象はどう変わるのか、山口一郎先生が検証していきます。


山口「はい、授業を始めますから席に着いてください。Twitterを開いている生徒はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いている生徒は、サカナLOCKS!のインスタアカウント(@sakanalocks_official)をフォローしなさい。授業が始まりますよ。」

「今回のサカナLOCKS!は、"BPM"にまつわる授業をお届けしていきたいと思います。BPMは、簡単に言うと曲のテンポですね。速さ。例えば、BPM「60」の場合── 1分間に4分音符を60回鳴らす速さの曲となります。つまり、1分間で60回=秒針(1分間で「60」秒)と同じ速さってことね。BPMは曲の雰囲気を決める上でめちゃくちゃ大事なことなんですよ。僕らがレコーディングでよくやることなんだけど、フリーで演奏したBPMを測った上で、もうちょっと速い方がいいよねって、1単位刻みとか、下手したらもっと細かく刻んでBPMを調整することがある。それによって全然印象が違うんだわ。だから、BPMってすごい大事なわけ。」

「今回は、いろいろな曲のBPMを下げて……つまり、遅くしてみて、曲の印象がどう変わるのかみんなで検証していこう。BPMを落としたことで曲の中にどんなものが隠れているのかというのを一緒に見ていきましょう。まずは、この曲いってみようよ。この曲は僕も聴いてみたい。Adoの「うっせぇわ」。まず原曲を聴いてみよう。原曲のBPMは178。これは速いよ。」



「BPM 178っていったら、ギターロックと言われるバンドの気持ちいいBPMっていうのが178〜180、……KANA-BOONくらいだね(笑)。ギターロックはだんだん速くなっていったのよ、それはアニソンとかそういう兆候があったのかな。このBPM 178を、半分の89に下げるとどう聞こえるのかを検証してみようと思う。でも、普通にBPMを落とすとキー(曲の音程)が下がるわけよ。ゆっくりになるわけだから、キーも下がっていく(音が低くなる)。逆に、BPMを上げるとキーが上がっちゃうわけ。それを変えないようにする機材っつーのがあるんだ。今回はそれを使って、BPM 178を半分の89にして聴いてみよう。」

♪ うっせぇわ / Ado (BPM 89)

「ふふふ(笑)。あれ……ちょっと山口百恵を感じるね。「プレイバック Part2」の。もちろん、トラックメイキングは現代的なシンセサイザーとか打ち込みのものがあるけど。……ちあきなおみだ。……あれ?椎名林檎も感じるね。ちょっとこれをもうちょっと速くしてみようか。BPM 100くらいまでいってみる?」

(BPMを100くらいまで上げてみる)

「おー、歌詞が入ってくるね。ハードロックの要素もあるね。あと、メロディーがすごく美しいなっていうのが、ゆっくりにすると分かる。ヒットした要素が分かるよね。あと、歌詞もこう聴くと昭和歌謡に使われるような……カルメン・マキのような……みんな知らないと思うけど(笑)、そんな時代感あるっていうのが伝わるね。なるほどねー……ゆっくりにするといろんなものが見えてくるな。」

「どんどんいってみよう。続いては、YOASOBIの「夜に駆ける」。これを聴いてみよう。まずは原曲を聴いてみよう。BPM 130で、サカナクションでいうと「ネイティブダンサー」といっしょ。」



「原曲は、切なさの中に可愛らしさもあり、今の王道感が溢れてるよね。これを、BPM 90まで下げてみよう。」

♪ 夜に駆ける / YOASOBI (BPM 90)

「あ、昭和!バブルの匂いがプンプンするぞ! My Little Lover感あるね。なんか急に平成初期の頃のど真ん中な曲に聞こえるね。当時のヒットソング感があるよね。つまり、この曲がヒットしている要素っていうのは、サビのメロディーの美しさがあるからこそ、曲としての性能が高いっていうことが言えるね。テンポを落とすことでメロディーの良さが際立つっていうのと、歌詞の世界観が入ってくる。あと、時代感が変わるっていうのも分かるよね。おもしろい!Aメロのメロディーの乗せ方とかは今の感じだけど。すごい。」

「さあ、どんどんいってみよう。続いては、WANIMAの「ともに」。この曲は、もともとのBPMが、なんと254!BPMの速さがオリンピック級ですよ(笑)。こんな速い曲あるんだ。サカナクションでいったら一番速い曲は……164とか?「Aoi」とかね。倍くらいあるからね。」



「あー、ど真ん中だね。速い必要性があって速くなっているのが分かる。じゃあこれを、BPM 174まで下げてみよう。マイナス80。」

♪ ともに / WANIMA (BPM 174)

「おー、テンポ的にはKANA-BOONくらいまで下がったよ。……アジカン感じるね。あと、テンポを落とすことでジャンル感が変化するよね。ミクスチャーな曲調から、ギターロックとしての機能性が出てくるよね。ちなみに、アジカンの有名な曲「リライト」は、BPM 179なんですよ。だから、ギターロックとしての機能性が感じられるギリギリのBPMが180いくかいかないかくらいなんだと思う。やっぱり、テンポを落とすことでサビのメロディーの良さが分かるのは一貫してるね。だから、BPM 254で機能していたWANIMAの曲を、BPM 170台まで落とすことで、ミクスチャーというジャンルからギターロックという要素が増えてくると。そうなることによって、WANIMAのメロディーの良さが際立ってくることが分かるね。でも、どの曲もテンポ落としてもいい感じだね。それは一貫して言える。」

「次は、BTSの「Butter」っていう曲。BTSつったら、世界で売れちゃってる曲ですからね。これは元々BPM 110っていうテンポです。」



「流行る、売れている要素がいっぱい詰まっているよね。例えば、シンセの使い方もそうだけど、フレンチテクノとかフレンチハウスからの系譜で使われてきたコンプの使い方もちゃんと入っているし、今っぽい、ブレイクビーツとしての要素もしっかり入ってる。それに、メロディーの美しさもある。あとね、すごく絶妙なんだけど、オケに対しての歌の立ち位置がすごい上手なんだよね。これがBPM 110なんだけど、BPM 90にしたらどう聴こえるかな?」

♪ Butter / BTS (BPM 90)

「あー、印象はそんなに大きく変わらないけど、曲が持っていた性質が浮き彫りになるよね。マイケル・ジャクソンだね。ディスコという要素がすごくあるんだなって感じるし、この曲には、実はいろんなヒット要素が詰まってる。サウンド面で、ディスコだったり、ファンクだったり、ソウルだったり。で、ちょっとロックの要素もあったりするんだよね。」

「じゃあ、最後。この曲はどうだろう?ウマ娘の「うまぴょい伝説」!これは今大ブームだね。この曲はBPM 170、KANA-BOONラインには到達している。」



「おー(笑)。よくできてるね。すごいねー、めっちゃよくできてるね。音楽的なことを言うと、ルール違反がいっぱいあるけど、音楽にそんなルールなんてないんだよ!それを思い出させてくれる……我々を自由にしてくれるね「うまぴょい伝説」は (笑)。普段、ゴリゴリの理論のなかで武装されている我々ミュージシャンの感覚を自由にしてくれる。翼を与えてくれるペガサスだ!「うまぴょい伝説」はペガサスだよ!(笑) すごい自由にしてくれるなー。」

「この曲、BPM 170なのを、すごいグルーヴがよく出るBPM 120……この速さにするとどう聴こえるか聴いてみよう。」

♪ うまぴょい伝説 / ウマ娘 (BPM 120)

「ははははは!(笑) (Aメロを聴きながら) めちゃかっこいいじゃん!なんだろうこれ……」

「(サビまで聴いて) あー……これは速い方がいいな。すごい丁寧に解説すると、普通は、イントロがあって、AメロがあってBメロがあってサビがあるわけです。この曲も、全体的な構成でいうと、Aメロ→Bメロ→サビみたいな構成なんだけど、この曲って、AメロもBメロもCメロも、全部違う曲なのよ。アニソン的な要素ってそういうところがあるんだけど。それいっちゃうの?って感じでつなぎ合わせるんだけど、Aメロの要素が結構おしゃれなんだよね。で、Bメロですごいアニソンの安心感が出て、サビでアニソンとしての高揚感があるメロディーがくるわけ。で、裏切られ続けているわけ。裏切られ続けて、またサビでも裏切られるの。ずーっと裏切られているから、気持ちよくなってくるんだよ。」

(♪「うまぴょい伝説」(BPM 170) が、もう1度流れてきて……)

「ふふふ(笑)。この曲の良さを、感情論で話すと……(イントロ部分で) アニソンっぽいな……(Aメロに入って) おっと、すごい展開だね。まあ、こういう風にきたら次はああくるだろうな……(Bメロになって) あ、そっちいく?……じゃあここでループするのかな……あ、ループしない?!メロディーがループしないぞ……どんどん展開していく……まだいくの?この後どうなるんだろう……(サビに入って)ど直球きたーーーーーー!!!直球なメロディー!え、ここからAメロ戻れんの?どうなんの〜?……みたいな(笑)。」

「これはね、音楽を作っている側からしても幅を広げてくれる曲だね。普段五線譜に縛られているんですよ……ぐるぐるに、我々は(笑)。もっと自由になりたいんです。もっと翼を持って、空高く、音楽という空に羽ばたきたいのにそれができないでいる私たちに、「うまぴょい伝説」は……翼を与えてくれる天使です……!

「(「うまぴょい伝説」がもう1度流れてきて……)うー、うまだっち!うー、うまぴょい!うまぴょい!……わはははは!(笑) ちょっと!やらせないでくださいよ(笑)。いやー、おもしろい。テンポを落とすことで曲の構成がより分かりやすくなった。だからひょっとしたら、アニソンを聴いている人たちって、曲を聴く時にすごい頭の回転が速いのかも、速読しているみたいに。よくできた曲だなと思う。基本的にアニソンってよくできてるんだけどね、そういう意味では。」


今回の授業も終了の時間になりました。

「みんな、分かったかな?曲のテンポによって、曲の雰囲気もジャンル感も変わると思う。テンポっていうのは、ある種ジャンルを確定させる要素として大きいんだろうなと思う。自分の好きな曲のBPMがいくつかっていうのを調べるスマホのアプリとかがあるので、それで調べてみて自分がこういうテンポが好きなんだなって分かったりすると面白いと思います。あとね、年齢を重ねていくと、だんだんゆっくりな曲が好きになるから気をつけてね。ふふふ(笑)。ということで、今回の授業はここまで。」

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