「"UNDERWORLD×サカナクション" ダブルヘッドライン公演の公開反省会」

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2022年10月14日(金)PM 10:00まで




音を学ぶ、音学(おんがく)の授業、サカナLOCKS!
前回から山口一郎先生がこの教室に戻ってきました。今回は、ドラム・江島啓一先生といっしょに、10月4日・10月5日に行われた "UNDERWORLD×サカナクション" 公演での、サカナクション4人のDJ Setパフォーマンスについて振り返っていく「公開反省会」を行います。

まずは、一郎先生の近況についてのお話から。


山口「サカナクションの山口一郎です。」

江島「サカナクションの江島啓一です。」

山口「本日も、副担任の江島先生と一緒にお届けしていきます。」

江島「先週から1週間経ちましたけど、一郎先生、体調の方はどうですか?」

山口「相変わらずだね。一進一退って感じ。」

江島「あー、良くも悪くもなく?」

山口「水前寺清子ですよ。」

江島「"三歩進んで二歩さがる"ですか?(笑)」(※「三百六十五歩のマーチ」の歌詞)

山口「そう。そういう感じだよ、本当に。群発性頭痛も一緒に出ているから、その薬の相性とかもあって……まあ、頭の悪いお前には分からない話をしているんですよ。」

江島「分かりませんねー、全然(笑)。」

山口「ふふふ(笑)。ただ、ちょっとずつ考え事をしたりとかし始めているよ。」

江島「ちょっとずつは良くなってきているか。」

山口「だから、水前寺清子だって言ってるじゃん。」

江島「"三歩進んで二歩下がる"(笑)。」

山口「"一日一歩 三日で三歩 三歩進んで二歩さがる"……進んでるだろ?」

江島「進んではいる!」

山口「進んでんじゃん。」

江島「進んでる、進んでる。毎日進んでるよ。」

山口「だから、大丈夫。」

江島「分かった。」


山口「今回は、先日行われました、Underworldとサカナクションのライブの公開反省会を行いたいと思います。」

江島「反省会か……。」

山口「10月4日と5日に行われた、Underworldとサカナクションのライブ。ご存知の方もいると思いますが、私いっくんくんは、療養中ということで、今回は私以外のサカナクション4人がDJセットで出演しました。」

山口「まず、Underworldが我々サカナクションにとってどんなアーティストなのかという話をしていこうと思うんです。知っている人も多いと思うけど、知らない人もいると思うので。我々の高校生時代……思春期のカリスマだよね、ある種。」

江島「そうだね。ダンスミュージックとか、テクノアーティストって言ったら、まず最初に思い浮かんでたかな、当時は。」

山口「ミュージックビデオがMTVで取り上げられるようになってきたりとか、レイヴパーティみたいなものが世界的に大きく広がり始めた時に活躍していた、往年のビックアーティストですね、イギリスの。」

江島「うん。映画の主題歌にもなっているよね、『トレインスポッティング』の。映画から知った、僕は。」

山口「その辺からDaft PunkとかThe Chemical Brothersとか……Underworldが作り上げた地盤から、そういうビックアーティストがどんどん登場していったっていう、ある種カリスマ的な存在です。しかも、ミュージシャンとデザインを組み合わせることとかも……Tomato、知ってるか?」

江島「知ってる、知ってる。クリエイティブ集団みたいなものを初めて知ったのがTomato※だった。」(※Underworldのメンバーも所属するクリエイティブ集団)

山口「(サカナクションがやっているプロジェクトの)NFって、Tomatoみたいな感じだからね。いろいろなクリエイターが集まってひとつの空間を作ったりするっていう。」

江島「チームで動くっていうね。」

山口「だから、NFのはしりだよ。」

江島「先駆者だよね、そういう意味で言うと。」

山口「もちろん、もっと遡ればヒプノシスとかいろいろあるけど、ダンスミュージックっていうジャンルで、ミュージシャンと他のクリエイターが一緒になってシーンを作っていくことをやり始めたのは、Underworldの存在がでかいよね。大きいと思う。」

江島「うん、そうだと思う。」


山口「あと、ロックユーザーがダンスミュージックを聴き始めるきっかけを作るっていうところでもUnderworldの存在が大きかったんだよね。」

江島「入りやすかったのかね。」

山口「そうそう。だから、Daft PunkとかThe Chemical Brothersとかも、バンドが好きで、UKロック大好きっていう層が入り込めたっていうのは、Underworldっていうハブがあったからっていうね。」

江島「確かに確かに。」

山口「そういう部分でUnderworldっていう存在は、われわれ松坂世代……もうちょっと前の世代もそうかな……にとって、すごく大きいんですよ。めちゃめちゃかっこいいよね。」

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山口「そんな偉大な、サカナクションに影響を与えたUnderworldとのツーマンライブで、私がいない4人で繰り広げてきたわけですけど……どうだった?2日やってみて。」

江島「いやー……めちゃめちゃ緊張したんだよね、初日。まず、4人でライブをやるっていうのが初めてで、前回ライブをやったのはメトロック(METROCK2022)か。だから、5ヶ月くらいぶりでしょ?なおかつ、Underworldとツーマンって……もう、緊張する要素しかないじゃん。」

山口「まあね。でも、俺観たよ、ライブ映像。」

江島「お、観てくれた?」

山口「ひとことも言葉を発さず、最初から最後まで観たよ。静かに。」

江島「え……どうでした?これ、もう反省会始まってる……?」


山口「まず、DJセットって何なのって話じゃん。いつも、サカナクションが5人でライブをやる時は、俺が歌って、江島がドラムを叩いて、もっち(岩寺先生)がギターを弾いて、愛美ちゃん(草刈先生)がベースを弾いて、ザッキー(岡崎先生)がキーボードを弾くっていうのがサカナクションのスタイル、ノーマルセットじゃん。DJ セットで俺がいない4人でやるっていうのはどういうものなのか、目に浮かぶように説明してあげないと。いつもと違ったんだよね?」

江島「そう、いつもと違った。"DJ" って言い方は便宜的に言っているだけで、いわゆるレコードを回すみたいなことはしていなくて。ざっくり言うと、いつものサカナクションのライブの中盤に行われている、メンバーが一列に並んで演奏する……」

山口「コンピューターおばあちゃんスタイルね?※」
(※サカナクションの5人がステージ上で横一列に並んで、パソコンを使ってパフォーマンスをするスタイル)

江島「そうそう。コンピューターおばあちゃんスタイルでやっていることを、1時間、演ったっていうことなんだけど。」

山口「要するに江島がドラムを叩かずに、パソコン触ったり、ミキサーを触ったり……愛美ちゃんがベースを弾くシーンもあるけど、基本的にはシンセサイザーだったり、パソコンをいじったりするっていう。バンドセットじゃないってことだよね。」

江島「バンドセットじゃなくて、機械をいっぱいいじりながら、ドンツクドンツク……ってやるっていうパターン。」

山口「それを1時間やったってことだ。」



山口「いつもと違うセットだし、Underworldとのツーマンだし、頼りがいのあるいっくんくんが真ん中にいないっていう。」

江島「ええ、特攻隊長が不在で。」

山口「そこはまず、感じた?俺の偉大さみたいなのは感じたの?4人でやって。」

江島「はは(笑) 偉大さっていうか……やっぱり1人少ないって感じはしたよね。元々、4人っでちゃんと成立するようなライブをやろうって考えて臨んだわけじゃないですか。いろいろギリギリまであーだこうだ、演出こうだって忙しくやっていたけど、やっぱりいつもと比べちゃうところはあるなって。準備している期間とか、現地でリハーサルをやっている時間とか、ステージに向かう途中とか……4人でやるって決めたけど、5人でやっている時と比べてしまうところはあるなって。」

山口「何が違ったの?」

江島「一郎がいつも担っている部分を常に誰かが担っていかないといけないわけじゃん。例えば、演出をチェックするとか、全体を見るとか……それはライブのステージに上がる前までの話ね。ステージに上がって、どんなパフォーマンスをするかっていうところで言うと、お客さんを煽るとか、お客さんとの繋がりをどう作るかっていうところは、結構一郎が担ってたじゃん。いつもならね。」

山口「"結構"担ってるんだ、俺?」

江島「いっぱい担ってる……たくさん担ってる。」

山口「"いっぱい"担ってる、"たくさん"担ってる?」

江島「(大きな声で)もう、ほとんど担ってる!!」

山口「ふふふふ(笑)」

江島「ふふふ(笑)。」

山口「おー、そうだろ、それが俺の役割だろ?」

江島「そう(笑)。それを、4人で分担しながらやらないといけないわけじゃん。」

山口「まあねー……」


山口「観ましたよ、私。もう、手に取るように分かったわ。なんでこうなったのかが。」

江島「……ん?ん?どういうことだ?」

山口「……だから、すごい頑張ったなーって思ったよ(笑)。」

江島「ははは!(笑)」

山口「頑張ったんだなーと思った。」

江島「あ、ありがとうございます(笑)。」

山口「すごいクオリティが高い、玄人向けの部分もありながら、後半繋がろうとするストーリーみたいなのも垣間見れて、初々しくてよかったなって思った。」

江島「おー……なんか意外。もっと罵声を浴びるかと思ったんだけど……(笑)」

山口「いやいや。そんなの、後から言うのはなんか後出しじゃんけんみたいじゃん。」

江島「うん、うん。」

山口「俺が担っていた部分を、メンバー4人で担おうとしていたじゃん?愛美ちゃんとかザッキーが、ライブで盛り上げようとしたり、動いたりしたじゃん。……回った!江島が!!みたいな。愛美ちゃんも頑張って手を挙げてる!みたいな。俺はファン目線になると、すごい頑張ってるって感じがしたから。十分演出とかでも盛り上がっているから、サカナクションを知っている人からすると、すごい頑張っているなーって感じがしちゃう。そこにキュンとするけどね、俺は。俺ぐらいになると。俺ぐらいにファンになると、そこにキュンとしちゃうんだけど(笑)。頑張ってくれてる……!みたいな。」

江島「ふふふ(笑)」

山口「あとは、序盤がちょっとダレたな。クールに行きすぎると、お客さんは緊張しているから、何をするんだろうっていう緊張感と、メンバーの緊張感が対峙しちゃっていて。すごい張り詰めた感じでオープニングから行くじゃん。中盤くらいに上がってくるところからようやくお客さんも馴染んできて、後半やっと手を上げてくれるっていう流れじゃん?」

江島「うん。」

山口「ああいう時って、頭からドーンってかまして、お客さんの緊張を1回解放してあげて、そこから音で繋がりを見つけていくっていう方がやりやすいんじゃないかなって思ったけどね。だから、すごい完成度は高いけど、お客さんのコントロールをするっていうことを考えると、もうちょっとやりようがあったのかなって気がした。逆に、4人でやるっていうことのスペシャル感を出すっていう部分で、出オチくらいの勝負感があっても良かったんじゃないかなって。勝負に出るならね。」

江島「なるほど、なるほど。」

山口「でも、中盤とか見せるシーンも結構あったじゃん?ザッキーが弾いたりとかさ。愛美ちゃんがベースを弾いたりするところとかも。そういうのがすごいいいなって思ったけど、逆にそこが引き立たなかったなって。前半のストイックな部分が長かったから。中盤のそういう見せる感じの部分は、盛り上がった上で一回落ち着いたシーンでああいうのがあると、おー!クールだね!って感じになるけど。いつくるのっていうのが長すぎたんじゃないかなって。」

江島「うん、うん。」

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今回のオンエアでは、"Underworld × sakanaction" 公演から、DJ Set の「僕と花 Remix」をオンエアしました。


山口「60代だよ、Underworld?」

江島「カール(・ハイド) さんが65歳で、リック(・スミス)さんがもうちょい年下で、63歳かな。」

山口「やばいよね。」

江島「だってそれさ、僕らからしたら高校生と対バンしているようなもんじゃん。こんな歳の差の人とツーマンすることなんてまずないじゃん。」

山口「いやいや、今後あるよ。今後あるでしょ、我々だって。やっていくでしょ。」

江島「年下の相手とね?うんうん。」

山口「桑田佳祐さんって今いくつなんだろう?カール・ハイドより上?……あ、66歳。カール・ハイドの1個上。だから、桑田さんとライブするようなもんだよね。」

江島「おー……。しかもね、(Underworldは) すーっごいパワフルだった。」

山口「俺もね、そのくらいの年齢になってもパワフルだと思うよ!」

江島「いける?」

山口「うん。パワフル、パワフル。」

江島「ニュー一郎になったら、敵なしですか?」

山口「ニュー一郎は、(性格的に)厳しいよ?」

江島「ちょっと待って、ちょっと待って……あ、そっち?(笑)」

山口「ふふふ(笑)。またやりたいって気持ちになった?」

江島「いや……機会があればやりたいけど、今はまず5人でライブやりたいね。そっちの方が強いかな。だからUnderworldと今回やらせてもらって、すごい光栄だったし楽しかったし勉強にもなったんだけど、やっぱり心のどこかで5人で、バンドスタイルでやりたかったなっていうちょっとした心残りはまだあるわけさ。」

山口「サカナクションとしてね……Underworldと。でもUnderworldは、また来日したいって言っているらしいよ。」

江島「本当、その機会があれば是非やりたいよね。」

山口「そうだよ。そう言ってもらえてるなら、俺も復帰してね。カール・ハイドとハグするわ、俺。そうなったら。」

江島「……あ!Tシャツもらったんだよ、一郎にメッセージ付きの。」

山口「もらった、もらった!メッセージ書いてたよ。"エネルギーを送るよ"みたいな感じのメッセージと、サインを書いてくれていた。」



江島「そうそう。すごい心配してくれていたし、僕らにも、楽屋で "彼の帰るスペースをちゃんと用意しておくんだよ" ってアドバイスもいただきました。」

山口「あー……帰るスペース、用意しておいてくれよ。」

江島「あります、あります!ぽっかり空いてます、大丈夫です!」

山口「ワタリドリみたく、飛んで行っちゃうよ?[Alexandros]の「ワタリドリ」みたく!(笑)」

江島「ぽっかり空いてるから、大丈夫!(笑)」

山口「気がついたら、南の島とかにいる可能性があるから、俺。」

江島「それはただのバカンスですね(笑)」

山口「ふふふ(笑)」



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