対談『音楽とファッション』 (w/ ANREALAGE 森永邦彦) - 後編 -

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山口「はい、授業を始めますから、席に着いて下さい。マンガを読んでいる生徒はマンガをしまいなさい。Twitterを開いている生徒はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いている生徒はInstagramも閉じてください。授業が始まりますよ。」

「明日11月6日、恵比寿LIQUIDROOMで、サカナクションがオーガナイズするクラブイベント、『NF #02-SEN-』が行なわれます。今回はなんといっても……Akufenが海外から初参加です。」

(♪ Deck The House / Akufen が流れて……)

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「これはCDの音が飛んでいるわけではないぞ。こういう曲なんだぞ。このAkufenがついにきます。これはね……NF、赤字が必至です(笑)。赤字イベントなんでね、皆さん遊びにきていただけたらと思います。今回のNFのテーマは“SEN”。数字の1,000ではないぞ。ライン……日本語で言うと、“線”ですね。これをテーマにしています。インスタレーションもそれに伴って、レーザーとか、線を使ったファッションとかね。トークイベントでは、パリコレの演出家、金子(繁孝)さんに来てもらって、パリコレの演出とは一体どういうものなのかとか、そういう話も聞けたりすると思うので、是非皆さん、足を運んでいただけたらと思っています。もちろん一郎先生もDJしますし、この番組に来てくれたAOKI takamasa先生も登場します。パリコレで、AOKI先生とやったあのセットをNFで披露するぞ。ストリーミング配信も予定しているので、生徒諸君も見られるので是非楽しみにしていてください。」

■ NF Official Site[⇒コチラ]

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先週に引き続き、今回のサカナLOCKS!では、山口先生がパリコレでサウンドディレクションを務めたブランド、ANREALAGEのデザイナー、森永邦彦先生をお迎えして、ファッションと音楽についての授業をお届けしていきます。

この授業の「前編」放送後記は[⇒コチラ]

山口「こんばんは。今週も先週に引き続き、いろいろお話聞かせてください。よろしくお願いします。」

森永「よろしくお願いします。」

山口「ANREALAGEとはどういうブランドなのかを人に説明する場合、何て言うことが多いですか?例えば、サカナクションなら、「ロックとダンスミュージックの融合で、ある種良い違和感を求めています。」みたいなことを、分かりやすく伝えなきゃいけないときは言うんですけど。」

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森永「ANREALAGEは、ブランド名が表す通り、「リアルとアンリアルという、日常と非日常を洋服で表現していくブランド」ですかね。」

山口「なるほど。過去にはどんな作品があったんですか?」

森永「すごく分かりやすいのは、真っ白い洋服が、外に出るとすごくカラフルになって……」

山口「それは、家で着ているときは白い服なんですか?」

森永「真っ白です。」

山口「それが外に出ると?」

森永「それが赤になったり……」

山口「それはどういう仕組みなんですか?」

森永「これは、光に反応する原料をそのまま糸にして、それで洋服を作っているんですけど、コレクションをやることによって、色も流行するんですよ。今年は赤が流行るとか青が流行るとか。たくさんのブランドが青を使えば青が流行りだすんですけど。それが半年に一回起こっていて、色でさえも消費の対称になっちゃうんですね、ファッションだと。であるならば、洋服自体が白でもあって青でもあってっていう、なかなか固定した色を持たないっていう発表が出来たら、流行色でさえも覆せるんじゃないかっていう洋服なんですけど。それを東京で発表して、サカナクションのプロデューサー、野村さんに見てもらって。面白いって言ってもらって。」

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山口「あ!そうだ、その時の!」

森永「あとはですね、洋服自体が温度を調整してしまうような、常に32℃くらいの快適な温度を保つ洋服とか。あとはサイズですね。人の体ってたくさんあると思うんです、いろんな形が。でも、洋服はそれをS、M、Lの3分割とか、XM、XLとかも入れて10分割くらいで区切るんですけど、それは結構ナンセンスな話で、サイズが自動に調整できる洋服があったらいいなと思って。Sの人も着られて、Lの人も着られる。」

山口「どういう風に?」

森永「ダイヤルがついていて(笑)。」

山口「服に?(笑)。」

森永「そう(笑)。ダイヤルを回すと、少しずつ服が縮まっていくっていう(笑)。」

山口「なんか、ドラゴンボールみたいな(笑)。」

森永「(笑)」

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山口「今いろいろお話を聞いていくと、常にファッション界でのルールみたいなものに対してアンチテーゼとしてカウンターを打っていくっていうような印象がありますね。ルールを破っていくというか。」

森永「そうですね。基本的にはファッションで決められた当たり前のことに対して、どんどん疑いをかけていくっていう姿勢のブランドですね。」

山口「すごいパンクですね。」

森永「うん(笑)。」

山口「(笑) 僕は森永さんと同い年なんですけど、同じ80年生まれで。森永さんにすごく共感する部分っていうのがいくつもあって、ひとつ挙げるとすると、森永さんってすごくミュージシャン的だなって思うんですよ。カウンターとして今あるものの中で壊していく作業だったり、工夫していく作業だったり、裏返していく作業だったり。あと、森永さん自体すごいピュアで、恋愛がすごく服に影響していく部分とか(笑)。」

森永「あはは!(笑)」

山口「センチメンタルを表現に変えていく作業って、すごくミュージシャン的だなって。めちゃくちゃ共感できるんですね。音楽とファッションって自然にひとつになるものなんだなっていうのが森永さんを通じて感じ取れたんですね。だから今回一緒にパリコレでお仕事を出来て、本当に貴重な体験をさせてもらったし、繋がれたってことで、自分の中でもすごく成長できたところもあったので、本当に感謝ですね。」

森永「いやー、こちらこそ。」

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山口「ちなみに、初恋っていつですか?」

森永「初恋は……中学。正確には中2ですね。遅いんだと思う。」

山口「それはクラスの人?」

森永「そう。」

山口「どんな子だったんですか?」

森永「その子は……そうっすね……」

山口「(笑) 言いにくい?」

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森永「結構クラスの中心的な子で。……いやー、好きになりましたよね。すごく好きで、服を作ったこともあります。」

山口「え、その子に?」

森永「いや、正確には、大学時代に好きだった子が好きで好きで仕方が無くて、その子にはすごい洋服を作っていました。」

山口「恋愛の気持ちがファッションに向いていた、転化されてたってことですよね?」

森永「そうですね。好きな子が自分が作った洋服を着ているって、結構すごい感覚で、その子の24時間中の多分10時間くらいを、自分が作った洋服を着て生活しているんです。もう……異常ですよ、この感覚は。味わってみると。ただ、その子は自分とは付き合わない、みたいな。この謎……。でも、自分の服を着ている、みたいな。」

山口「それヤバいっすね。……なんかね、すごいよく分かりますけど、多分変態だと思います(笑)。」

森永「(笑)」

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山口「僕もね、好きな子によく曲を作っていたんですよ。詩を書いたりして、曲まではいかなくても、ラブレターじゃないけど……詩を書くんですよ。それを、ノートを破って「読んで」って渡して。読まれて、感想とか無いんだけど、読んでくれたっていうことで。その子に対した気持ちを隠喩して書くから、その子は気づかないんですよ、その気持ちに。だけど、自分はラブレターを送った気持ちだから、気づかれなかった……安心、みたいな(笑)。どこまで分かりやすくするかっていう加減を手紙の中で工夫するっていうところで僕は文章力が磨かれたと思います(笑)。伝えたいことを伝えないように伝えるっていう。そういうの、ありますよね。」

森永「ありますねー。」

山口「そういうところが森永さんのすごく信用できるところだと思います。」

森永「僕、レディースをずっとやっているのは、そういう原風景からだと思うんですよね。」

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山口「好きな人が出来たら、やっぱり今でもその好きな人に自分の服を着てもらいたいって思いますか?」

森永「あるある。すごいある。」

山口「その人に向けて作ったりすることもあります?」

森永「それはないですけど……根っこではちょっとあるかもしれないですね。」

山口「例えば、自分の好きな人が違うブランドの服を着ていたら?」

森永「もう、めっちゃくちゃ嫉妬する。本当に嫉妬しますね。」

山口「(爆笑) それね、めちゃくちゃ分かりますよ。自分の好きな人が、自分がちょっとライバル視しているバンドとかの音楽聴いていると、……もう!!!ってなる。洋楽とかだと、まあ、うん、ってなるけど。」

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森永「あ、でも分かるかもしれないです。」

山口「分かります?チッ、ってなります?」

森永「うん。」

山口「とくにメンズがデザイナーだったりすると……」

森永「そうっすねー。」

山口「分かる、分かる。めっちゃくちゃ分かるそれ。」

森永「なんか、一緒にご飯を食べているのに、その人がそのブランドの洋服を着ているだけで、とてつもない敗北感が僕を襲ってきますね。」

山口「(笑) それはよく分かるなー。」

森永「それくらいやっぱりあるんですよ、影響力というか。」

山口「確かに。似てますね、音楽とファッションって。」

森永「うん。」

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森永「ファッションにはたくさん見えないルールがあるように思うんですけど、着崩す、着崩さないも含めて、何を着なくちゃいけないとか、みんながこれを着ているから自分もそれを着なくちゃいけないとか、本当はそういうルールはなくて、別に襟が今僕が着ているような三角の形である必要も無いし、別にボタンが自分の真ん中に着いている必要もないし。本来はそのくらい自由なものだと思うんですね。ボタンでシャツを止めなくても良いだろうし。本当は、その自由をすごく楽しむっていうことがファッションにはできると思っていて。選ぶ自由もあるし、作る自由もあるし、買う自由もあるし。でも、毎日必ず洋服は選ばないと、この国では裸では生きられないですし、決まっているわけです。朝食べなくてもいいけど、洋服は絶対着なくちゃいけないってされたときに、本当にそこで自分がしっかりと選択をして洋服を着たり洋服のことを考えたり、またはその先にどんどん洋服が好きになって、自ら着たい服を作ろうって思う子が出てきても良いと思いますし、または、自分のすごい好きな人に、洋服を作ってみようっていう人が出てきてもいいでしょうし。そのくらい、毎日着ている物から世界は広がっていくと思っていて。少し違った視点から見るだけで、すごく洋服が大切な物になってくると思うので、何かいろんな角度から洋服のことを考えたり見たりしてくれたらいいですね。」

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山口「ファッションってある種、勇気が必要じゃないですか。いつもしている格好と違う格好をしていくとみんなに何かを言われるんじゃないかとか、注目を浴びたくないとか、そこを一個打破すると、そこにまた新しい自分のフラットができる気がするんですね。だから、そういった部分で、今の森永さんのお話っていうのは、今ファッションに興味があるけどなかなか踏み出せない子とか、これからファッションに興味を持ち始める年代の子たちにとってはすごく嬉しい言葉だと思いました。ありがとうございます。」

森永「はい。」

山口「『SWITCH』っていう雑誌でサカナクション特集をしてもらって、その中でも、パリコレの様子だったり、森永さんと僕の対談だったり、森永さんのインタビューとかも入っているので、是非それも見てもらえたらなと思います。そうするとね、森永さんの強面がね(笑)。」

森永「ふふふ(笑)。」

山口「見た目怖いけど優しいピュアな森永さんの姿とかも載っているので是非見てもらえたらなと思っています。」

森永「はい。」

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山口「今回は、2週に渡っていろいろなお話をお伺いしましたけど、ありがとうございました。」

森永「こちらこそ、ありがとうございました。」

山口「前回僕がね、パリコレの話をサカナLOCKS!でしたら、ZOZOTOWNでちょっと服が動いたっていう話で(笑)。」

森永「そうそう、本当にそうなんですよ(笑)。」

山口「なので、今回も生徒諸君、このラジオを聴き終えた直後には、ZOZOTOWNを見にいくんだぞ(笑)。先生もね、よくANREALAGEの服をZOZOTOWNで買っているんでね(笑)。」

森永「(笑)」

山口「買わなくてもね、そこで服も見られるので。」

森永「そうですね。」

山口「今回はどうもありがとうございました。」

森永「ありがとうございます。」

森永邦彦先生、ありがとうございました!森永さんのブランド、ANREALAGEの活動や服を、生徒の皆さんも是非チェックしてみてください。

■ ANREALAGE Official Site[⇒コチラ]

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サカナLOCKS! 放送後記

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