「リモート『一問一郎!』」

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2020年7月17日(金)PM 11:27 まで



山口「DOMMUNEっていう動画配信番組があるんですよ。クラブミュージックだったりをかなり昔から配信していた番組があって。先日、そこでコロナの学者さんとかライブハウスの人とかを呼んで、これからのライブエンタテイメントについて話す番組をやるのでゲストで来てくださいって呼ばれていたので行ったんですよ。前日、前々日と、潜って曲を作っていたんですよ。二徹明けで藤原(ヒロシ)さんのミュージックビデオの撮影をして、その番組に行ったんですね。

そしたら、会場着いてすぐ熱っぽくなってきて。コロナについて話す番組に出るのに発熱した状態で出るわけにはいかないじゃないですか、エントランスで体温を測ったら、37.4℃っていう微妙な熱で……37.5℃を超えるとやばいって言うけど、あれ……って。徹夜明けだし、免疫力が落ちているし、まさかって思ったんですけど、発熱した状態で出るわけにはいかないので素直に話をして。今熱があって、ちょっと無理かもしれないって。そしたら番組サイドも分かってくれて、急遽出演キャンセルになったんですよ。」

職員(カヲル先生)「あら。」

山口「考えると、僕、制作中は徹夜とかざらじゃないですか。頻繁に熱とか出ていたんですよ、熱出てない日ないみたいな。微熱がずっと続いている中制作しているとか当たり前だったんですよね。これ……コロナが収まらない限り、常にコロナの心配をしなきゃいけないなって思っちゃって。そうなるとですよ……曲書けないね、今。徹夜しないと曲書けなくなってますもん。」

職員「それは時間的なものですか?」

山口「ルーティン。」

職員「でも、多分それが変わってくるんじゃないですか?会社じゃないと仕事できないっていう人が、家で仕事するようになったように、徹夜でしか曲がかけなかった人が、9時〜17時で曲を書き始めるような時代になってくるんじゃないですか?」

山口「まぁ……だったらもう、"空が青いな"とか、"雲が綺麗だな"とか……」

職員「ははは!(笑) "すずめがチュンチュンしてるな"とか?(笑)」(※一郎先生のリモート授業のときは、よく窓の外ですずめがチュンチュンしている)

山口「そうそう。"チュンチュンが今日も来て、太陽が燦々だな"みたいな(笑)。」

職員「夜のバンドなのに(笑)。」

山口「そういう感じになり得る……それはあり得る……それを果たしてリスナーは求めているのかっていう不安はありますね。でも、そんな恐ろしい思いをしたっていう話です。あと、キャンセルするときの公表の仕方みたいなものもすごいデリケートですよね。」

職員「今はね。でも、番組とかでも "○○さんはちょっと体調が悪かったので、念のためお休みさせていただきます" っていうのは、今、よく聞くので。ちょっとでも体調が悪いと、人がいる番組とかには来ないっていうのが今ルールになってる。」

山口「念のためね。」

職員「そう。"念のため" 休んでるんです。そんなに悪くないんです。でも、こんなご時世なんで、"念のため" です。……みたいな。」

山口「いやー……念のためとかで休んだことないなー、本当に(笑)。」

職員「ははは(笑) でも、今はそうなのよ。念のため、休むの。じゃないとだめな世界に僕らは生きていますから。」

山口「そういう世界線ですか、今。」

職員「そういう世界線。2メートルくらい先に副担任'sがスタンバイしてますからね!」

山口「ははは!(笑) でも、サカナLOCKS!とかを仕事と思わずにやれているのはいいことだなと思いますね。楽しい。」

職員「まあねー。」

山口「楽しい仕事っていうのは大事だってことですね。」

山口「はい、授業を始めますから席に着いてください。Twitterを開いている生徒はTwitterを閉じなさい。Instagramを開いている生徒は、 サカナLOCKS!のインスタアカウントをフォローしなさい。授業が始まりますよ。先生は今日、ちょっと体調不良……念のため体調不良の微熱ボーイなので、ちょっと元気がないって感じる人もいるかもしれないけども……授業が始まります。今日は、生徒から届いた質問に答える『一問一郎』の授業です。これは、リモートだから行える、念のため体調不良一郎だからね。リモートでお届けしたいと思います。」

ということで、今回は一郎先生が生徒の質問に答えていく『一問一郎』をリモート環境で行います。音楽のこと、音楽以外のこと、どんな質問でもOK、タブー一切なしです。

「何でも答える。大盤振る舞い!年はずれの福袋……っていうね。あー……あまり面白いことも出てこない、念のため体調不良で具合が悪い一郎ですが、リモート授業もつらいよ。面白くないことを言って、愛想笑いもしてもらえなくなるから怖いよ(苦笑)。」

「それでは、リモートバージョンの一問一郎……僕が、数字の1から6の中からひとつ選ぶと、あらかじめ用意されていた質問がオンライン会議の画面共有機能を使って現れるということで、早速質問を選んでいくよ!じゃあ……一郎だから、1番!お願い致します……さあ、こい!」

"最近の洋楽は聴きますか?(神奈川県 19歳 じんこうクラゲ)"

「あー……最近の洋楽ってなんだ……?どういうのを指しているんですかね?自分が好きな最近の洋楽は聴きますけど。Billie Eilishとかは、触ります。なぶる程度かな。あー、こういう感じ、ふーんって。分析するまではいかないかな。先生はやっぱり変態だから、民族音楽とかになっちゃうんですよねー。

ついこの間までは、北アフリカの方の音楽を探ってましたね。どこか日本の雰囲気……盆踊りとか、民謡の感じがあるので、なぜそれがそう感じるのかっていうのを研究していました。そういったことを日々やっているので、最近の洋楽を聴く上では、ミックスはどうなのかなとか、マスタリングはどうなのかなとか、そういう観点で聴くことはありますが、ごはん食べながら聴こうとか、車の中で聴こうとか……そういったことはないですね。ガッと、研究のために聴くっていう感じしかないかなって感じで、それは、日本の最近のJ-POPも同じように聴きますね。なので、最近の洋楽は、ダンスミュージックとか、先生の好きな範囲では聴くけど、他のものはなぶる程度ですね。鮭とばを柔らかくするためにちょっと炙る程度っていうかね(笑)。」

「じゃあ、次行きましょう。一郎の、6番!」

"アコギを弾くんですけど、おすすめのピックの硬さはどれくらいですか?(東京都 14歳 Kzk)"

「これは、それぞれのストロークの強さによるな。あと、アコギを弾く上で、ジャカジャカ弾くのか、細かくアルペッチョ(アルペジオ)っぽく弾くのかによる。先生は、家ではミディアムの硬さのピックを使っているんですが、ライブでは一番やわらかいピックを使ってるぞ。家では比較的、弾くものが決まっていないから、どっちにも対応できるようにミディアム。ライブでは、ニュアンスを出したいケースが多いし、弾くものも決まっているから、やわらかいピックを敢えて使って、1弦から6弦までしっかりとなぶれるようにすることが多いですね。

で、先生はやわらかいピックを黒にして、ミディアムのピックを白にしてライブで使っています。色分けしていますね。よく、マイクスタンドにピックがちゃーっと並んでいるでしょ?あのちゃーって並んでいる中で、黒はやわらかくて白は硬いっていうのが見た目で分かりやすいように色で分けていますね。べっ甲のピックもあるかな。

先生、ライブが終わると、リハーサルの時に弾いたピックをポケットに入れる癖があって、ライブから帰ってくるといつもポケットに10枚くらいピックが入ってるんだな。だから、家にどんどんピックがたまっていくという。洗濯するとポケットの中にピックがたくさん入っているってことがよくあるね……これはミュージシャンあるある。タクシーでピック落としがち。ポケットからこぼれがちっていうのもミュージシャンあるあるだぞ。」

「家にはピックがいっぱいあるから、交換するってことはないんだけど……先生は昔、奥田民生さんのピックをアマチュア時代にずっと使っていて、使いすぎて丸くなったことがあったな。それくらい同じピックを使っていたことがありましたよ。だから、弾きにくくなったなとか、アプローチしにくくなったな思ったら換えればいいと思いますけど、ピックって、弾いていくうちにそのピックの丸さだったりにも慣れた弾き方になっていくので、それに慣れちゃったりすると新しいピックになった時に弾きにくくなったりもするので、ちょっと角が落ちてきたら新しいピックに換えていったほうがいいかもしれないですね。常に同じテンションで弾けるようにピックを保っていくほうがいいのかなって気はするかな。」

「次!じゃあ……2番!」

"ベースの草刈愛美さんは東京生まれだと魚図鑑で知ったのですが、一郎さんはどこで草刈さんと知り合ったのですか?(東京都 14歳 みかん)"

「これは、生まれが東京ってだけで。愛美ちゃん、育ちはゴリゴリのどさんこなんで。よくあるじゃないですか。生まれた場所は違うけど、育ちは北海道って。愛美ちゃんは、出身地が東京ってだけで……東京に住んでいたことはあるのかな?何歳まで東京にいたとか、そういう話はしたことがないですけど……普通にどさんこだと思いますよ。メンバーの中で一番北海道弁を使うのは愛美ちゃんかな。

愛美ちゃんは、北海道にいた時に僕がよく対バンしていたバンドのベーシストだったんですよ。何度か対バンしていて、愛美ちゃんがやっていたバンドが解散だか活動休止になった時にちょうど僕らがベースを探していて。噂になっていたんですよ、うまいベーシストがいるって。あと、大泉洋さんのバンドのサポートとかもやっていたのかな……で、たまたま活動休止しているっていうから、僕らのバンド手伝ってくれない?ってお願いして、サポートで入ったのが正式メンバーになったっていうのが愛美ちゃんとの出会いですね。

愛美ちゃんは、前のバンドでバンマスだったんですよ。バンマスっていうのは、バンドをリードしていくリーダーみたいな感じですよね。で、僕は今のバンドのバンマスだったので、新しいバンマスが入ってきたって感じでしたね。だから最初はぶつかることもありましたけど、自分がしっかりしなきゃっていうところから、任せられるところが出てきたっていうのはすごく大きかったかなと思いましたね。」

「じゃあ、次いってみましょうか……3番!」

"サカナクションに解散危機はありましたか?(東京都 18歳 夏バテには塩分)"

「あー……解散しよっかって話し合ったことは1回もないですね。ただ、やりきったなーっていう時は、僕個人的にはありましたけど。メンバーそれぞれあると思いますけど。ただ、解散しようかとか、どうする?って話し合いになったことは1度もないです。各々にはあったかもしれないけどね。やっぱり13年やっているので、いつまでも和気あいあいっていうわけにはいかないですからね。波もありますし。解散の危機っていうのはないですね。」

「じゃあ次は4番いってみましょう。」

"CDとサブスクでアーティストのみなさんは収入の差はあるんですか?再生数によって変わるのでしょうか?(長野県 15歳 十月の彗星)"

「これは非常に難しいお話ですね。まず、CDっていうのは、例えばアルバムだと3000円だとするじゃないですか……いろいろあって、もっと細かくいろいろあるんですけど、簡単に言うと、3%が著作権印税なんですよ。作詞1.5%、作曲1.5%。この3%で、3000円だと著作権印税が90円になりますよね。90円をメンバー5人だとすると、5で割るわけですよ。だから、1人頭いくらだ……18円とか。1人20円くらいになるんですね。それが著作権印税になるわけです。

それは、正直アルバムを3000円で販売していても、そこからパッケージのお金だったり、流通のお金も引かれるので、正確には2千いくらとかなんですけど。そこの3%がミュージシャンの著作権印税として入ってきます。

あと、アーティスト印税っていうのがあるんですね。著作権印税っていうのは法律で決まっているんですけど、アーティスト印税っていうのは、各ミュージシャンの契約内容によって決まるんですよ。でも、大抵5%から……10%いく人ってそういないんじゃないかな?分かんない。そんな話他のミュージシャンとしないし、マネージメントともそんな話はしないので。

で、売上枚数が上がっていくと、パーセンテージが上がっていくっていう、いっぱい売れると上がっていったりする契約ですね。なので、CDの売上に対して、5%だったらメンバー1人1%だから、3000円だと30円。だから、アルバム1枚の売上に対してメンバーに入ってくるのは50円くらいだっていう風に考えてもらえたらいいかな。けど、サブスクだと、1曲単位。例えば、SpotifyとかApple Music、LINE MUSICとかいろいろあるじゃないですか。それによって、パーセンテージがちがうんですね。厳密に言うと。

あと、ミュージシャンとの契約による。CDを作るお金、レコーディング費用を出した人が原盤権っていうのを保持するんですけど、例えば、ミュージシャンが制作費を出したら、原盤権はミュージシャンが保持できるんですよ。契約によるんですけど。
サカナクションの場合は、HIP LAND MUSICとビクターが半分ずつ持っているのかな。だから、原盤権を持っている人がCDの売上の大多数を持っていくと。だから、インディーズの人たちは自分たちでレコーディングをして自分たちで販売するじゃないですか。だから、売上の持っていくパーセンテージっていうのがすごく大きいんですね。著作権印税、アーティスト印税っていうもの以外に、原盤権っていうものがあるから。なので、メジャーより売れなくても結構ちゃんと収入になると。

それはサブスクでも同じで、サブスクリプションを自分で曲を作って自分で配信して……って、自分たちでやっていたら、全然食べていけちゃう……みたいな。だけど、僕らみたいに原盤権を持っていなくて、中堅だったりすると、サブスクでの収入はほぼないですね。サブスクでちょっと今月楽だなーって思ったことは正直ないです。そう感じている人は多いんじゃないかな?ただ、インディペンデントでやっていたり、サブスクメインで活動している人たちには、サブスクはすごい未来があるんじゃないかなって思いますけどね。

あと、ビッグアーティスト。誰もが知っているような、大量に再生されている人たちはすごい収入があるだろうなって思いますね。これは、僕個人的な主観ですけどね。主観的な意見、サカナクションとしての意見です。」

「じゃあ、ラストは5番かな。」

"好きなものを突き詰めていると、もしかしたら本当は好きではないのかもしれないという気持ちになることはありませんか?(東京都 20歳 ごっちゃん)"

「まず、そういった感情になることはありますけど、好きじゃなかったら突き詰めないですよね。それはどんなものでもあると思う。ただすごく重要なのは、達成感っていうものがないと……飽きるっていう言い方になっちゃうのかもしれないけど、続かなくなるんじゃないかなって思います。

「作曲してみたいです!作曲のやり方を教えてください!」っていう質問がよくくるんですけど、とにかく自分で完成させてみるっていうところまでいくといろいろわかることがあるんですね。途中でやめるんじゃなくて、自分が思う曲っていうところまで突き詰める。自分の力で……自分で調べてみたり、周りの人に助けてもらいながらでもいいんですけど。1回形にすると達成感があるんですよ。それに対して、自分の好きな曲と何が違うのかっていう分析に入れるんですけど、大抵の人は途中でやめてしまったり、納得のいくところまでいかずに終わってしまうというか。完成させないっていうことが多いんじゃないかなと思う。突き詰めずに途中で辞めるっていうことは、そんなに好きじゃないことなのかなって気はしますけどね。

僕は今曲を作っていますけど、今でも、「嫌だなー、やりたくないなー」とか、「なんでこんな思いをしなきゃいけないんだ」とか、「寝たいよ」とか、いつも思いますけど、それはやはり出来上がった時の達成感だったり、自分が頭の中にあるものをちゃんと形にできた時の喜びを知っているから、そこに向かう上での苦労だっていうことはよく分かっているので。嫌いだって思うけど、"嫌い嫌いは好きのうち"みたいな(笑)。そんな気持ちかなと思いますけどね。

もちろん、僕は音楽が"好き"っていうか、もう"愛してる"っていう言い方のほうがいいかなと思いますけど……生活の一部というか、人生の一部なので、好きも嫌いもなくなるっていうのが一番言い方としてはいいのかなと思います。そういう気持ちになることはもちろんありますよ。でも、突き詰めたっていう事実があれば、それは好きだからってことなんじゃないかなって気はします。

でも、突き詰めたって安易に使わないほうがいいような気もしますけどね。本当に突き詰めたのかなっていうのは自問自答だと思うんでね。向き合い方は人それぞれだと思いますけど、完成させたり、一度自分が納得いくところまでやってみると……何かものを作る人限定の話ですけどね。さらにその先のことが分かってくるんじゃないかなと僕は思います。」

今回の授業も終了の時間になりました。

「今日は『一問一郎』を答えていきましたけど、権利の問題とか、売上のこととかって、今までミュージシャンの口からいろいろ語られることがタブーっていう雰囲気があったんですけど、今配信とかオンラインライブとかも始まっていて、リスナーもいろいろ知るべき時代がきたのかなって。あと、ミュージシャン自身もそういったところから離れたところでクリエイティブしていたいっていう気持ちがもちろんあるんですよ。気にしないで。

ただ、命を削って作っている分、その対価みたいなものがどういうものなのかっていうのを知りたくなるときはあります。その上で、自分は音楽とどう向き合っていくのかっていうのを考えざるを得ない時があったりすると思うんですね。ただ、サブスクリプションに関しては、一度授業でやってもいいかなっていう気もしていますね。サブスクによって音質は違うのかっていうのをやってみてもいいのかなって気はしています。」

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聴取期限 2020年7月17日(金)PM 11:27 まで

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