「失恋した生徒に一郎先生が選曲しました。」

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2021年7月16日(金)PM 10:00まで




山口「いやー……ROCK IN JAPAN中止になりましたね。」

職員(カヲル先生)「出る予定だったんですよね?」

山口「最終日のヘッドライナーだったんですよ。だから、大トリの大トリで。メンバー5人でステージに立つのも久しぶりだったから、そういう部分で僕ら的にも気合が入っていたのもあるし、新曲をフェスで初披露するっていうのを目標にアレンジも進めていて。参天製薬のCMソングとか、TOYOTAの曲とかね。」

職員「マジっすか。うわー……。」

山口「これを言うと、みんな残念だなってなっちゃうんですけど。茨城県の医師会が自粛要請を出して、ROCK IN JAPAN側が中止にしたっていう構図なんですよね。」

職員「はい。」

山口「僕が思ったのは、分断は良くないなと思ったんですよ。"医師会が悪い!"みたいなことを、音楽リスナー側が一方的に言うのもちょっと……。分断するんじゃなくて、理解し合うことが大事だと思うんですよね。」

職員「はい。」

山口「ROCK IN JAPANは、音楽メディアがやっているイベントじゃないですか。だから、音楽メディアとして機能するべきだなって思って。コロナ禍の音楽の事象として、渋谷(陽一)さんと医師会の対談……討論会みたいなものをやるべきだなと思って。どっちの意見も聞きながら、冷静に、分断せずに、どういうことを守っていくべきなのかっていうことをちゃんと議論していかないと、ただ単に歪み合って叩き合って許せないっていうリアクションだけで議論していくのはちょっと危険だなって気がしているんですけどね。メディアとしての機能をここでやるべきじゃないかなって思ったりはしています。ジャーナリズムを発揮して欲しいなって思いましたね。」


山口「我々のサカナLOCKS!の宿題として『夏フェス、今のサカナクションの1曲目はこれ。』っていうのを出していましたよね。中止になってしまったので、宿題を出してくれた皆さんには申し訳ないんですが、保留という形になってしまいます。」

職員「ちなみに、1曲目って決まっていたんですか?」

山口「「目が明く藍色」。」

職員「もう決まってたんだ!正解した生徒はいたかな?」

山口「いやー、いなかったんじゃないですかね?こういう時に僕らがステージに立つわけですから、1曲目に「目が明く藍色」を。あれは再生の歌ですから。コロナ禍から音楽の復興っていう意味を込めて。」

職員「そこまで読んで宿題を出した生徒はいたかな。」

山口「いたらピックをあげますよ。いらないかもしれないけど(笑)。」

職員「正解!ってね。」

山口「教頭は「モス」って言ってましたからね。教頭、ないですよ、「モス」は。あったとしたら「新宝島」です。」

職員「おいでおいでー!ってね。」

山口「そう、掴みですからね、ぐっと。だけど、サカナクションはさらにその一枚上手で「目が明く藍色」っていうね。……分からないですけど。意外とやっていたら「モス」にしようってなってたかもしれないですけど(笑)。」

ということで、『夏フェス、今のサカナクションの1曲目はこれ。』の宿題を提出してくれた生徒の皆さん、答え合わせができなくなってしまったので、この宿題の受付は終了します。ご了承ください、ごめんなさい。


山口「はい、授業を始めますから席についてください。Twitterを開いている生徒はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いている人は、 サカナLOCKS!のインスタアカウント(@sakanalocks_official)をフォローしなさい。授業が始まりますよ。今回は、"音楽で失恋は癒せるのか?"という授業をお届けします。」


失恋

一郎先生、こんばんは。
サカナ掲示板初書き込みの「みわはる」です。
早速ですが。私は2日前に失恋しました。
その人とは毎日部活で会うので、正直苦しいです。
一郎先生に質問なのですが、失恋した時はポジティブな曲・ネガティブな曲、どちらを聴けば良いと思いますか?

みわはる
女性/15歳/秋田県


山口「なるほどね。これは結構難しい問題ですね。僕的な傾向もあるんだけど、性格的なところもあるからね。ちょっと話を聞いてみましょうか。もしもし?」

みわはる「もしもし。」

山口「みわはる、失恋しちゃったんだ……これは両思いだったの、片思いだったの?」

みわはる「片思いでした。相手に彼女ができちゃって……」

山口「あー……じゃあ、別にアクションせずに恋が終わっちゃったんだ。」

みわはる「そうです。」

山口「相手は、みわはるが好きだっていうことを知ってるの?」

みわはる「知らないと思います。」

山口「じゃあ、自分一人の中だけで起きた物語なんだ。」

みわはる「はい。」

山口「はー(苦笑)。相手はどんな人なの。」

みわはる「かっこいい人です。」

山口「部活は何をやっているの?」

みわはる「弓道部です。」

山口「あー、弓道部の先輩?」

みわはる「はい。主将です。」

山口「主将なんだ。ちなみに、その主将の彼女ってどんな人なの?」

みわはる「同じ弓道部の、2年生の先輩です。」

山口「ははは(笑)。やられたなー。なんかそんな感じがするなっていうのは思ってたわけ?」

みわはる「思ってました。他の仲良い先輩が、「そういえば主将、彼女できたみたいだよ」って教えてくれて。相手がその2年の弓道の先輩っていうのも教えてもらいました。」

山口「はー。じゃあ、間接的に聞いたわけだ。自分で直接聞いたわけじゃないんだ。」

みわはる「そうです。」

山口「主将は、自分を可愛がってくれてる感じがあったの?そういうのは特にないの?」

みわはる「うーん……結構教えてくれてるなっていうのはありましたけど……」

山口「あー。みわはる的にはその度にドキドキしていたんだ。」

みわはる「そうです。」

山口「主将に彼女がいるって知った時はどんな気持ちだったの?」

みわはる「やっぱり、ガーンって感じです。落ち込みました。」

山口「部活は今はどうなの?毎回会うわけでしょ?」

みわはる「うーん……集中してやっています。弓道に対して、ひたすら練習っていうか……」

山口「弓道自体は楽しい?」

みわはる「楽しいです。」

山口「それは救いだね。」


山口「質問にある、失恋した時に聴く曲はってことなんだけど、普段はどんな曲を聴いていたの?主将のことが好きで、主将に彼女ができる前の普段の自分は。」

みわはる「明るい曲……J-POPを聴いていました。」

山口「失恋してから、みわはるの中で聴く曲は変わった?」

みわはる「変わりました(笑)。」

山口「どう変わったの?それが知りたいんだけど。」

みわはる「しっとり系の曲っていうか……」

山口「ってことは、分析するに、自分の失恋したっていう感情に寄り添う音楽を探しているってことか。求めているってことだよね。今の自分に素直に沁みてくるものを探しているって感じなんだ。」

みわはる「そうです、はい。」

山口「なるほどね。いやー……僕も両パターンあるのよ、過去の経験上。失恋して、失恋した気持ちを増幅させて、失恋した自分に酔う……浸れる曲を聴くときもあったし、むしろ、「はい次!」って、忘れて前を向くために明るい曲を聴くっていうこともあったんだよね。でも、それはね、失恋の度合いなのよ。今までの失恋の度合いでいうと、重さは何番目くらいなの?」

みわはる「うーん……軽い方というか、あんまりショックは受けなかったというか……」

山口「それはなんで?」

みわはる「その、(好きな人と)付き合った女性の先輩は、そういう関係なのかなって思うことが何回かあったりして。あと、まず、一目惚れしてから失恋するまでが短かったっていうのもあるんですけど。」

山口「あー。じゃあ、気持ち的には、少し時間が経てばまた前を向けそうだなってところがあるわけ?」

みわはる「そうですね。」

山口「今回の恋愛に関して、忘れたいのか、しっかり自分の中に残したいのかによって聴く曲のセレクトが変わってくると思う。みわはるはどっちなの?」

みわはる「後者ですね。」

山口「あ、主将を好きになったってことを、自分の中にしっかり残しておきたいってこと?」

みわはる「そうです。ああいうことがあって、弓道を頑張れたなって。弓道にちゃんと向き合えたなって。」

山口「あー……なるほどね。じゃあ、次の質問だけど、歌詞がある歌と歌詞がないインスト。僕が選ぶ上で、どっちかを選ばなきゃいけないんですけど。歌詞がある曲は、歌詞の内容に自分の気持ちを投影していくわけじゃん。自分の感情の拠り所が具体的になると。でも逆に、歌がないインスト曲って、旋律によって自分の感情を自由に動かせるのよ。どっちの方が失恋した自分に合いそう?」

みわはる「うーん……歌詞がある方。」

山口「分かりました。じゃあ、山口先生が、失恋したみわはるにおすすめする1曲を発表します。」

山口「その曲は……SUPER BUTTER DOGの「サヨナラCOLOR」っていう曲です。」



みわはる「おー。」

山口「え、みわはる知ってる?」

みわはる「知らなかったです。」

山口「この曲はね、"サヨナラからはじまることが たくさんあるんだよ"っていう歌詞なのよ。サヨナラって、その瞬間は辛いけど、そうじゃなくて、ここから始まることってもっとたくさんあるよねって……すごくポジティブにもなれるんだけど、サウンド面はすごく落ち着いていて、自分の気持ちをしっかりと抱擁してくれる曲なんだよね。主将のことを好きになって、自分の気持ちを伝えることもなく実らなかった。だけど、その気持ちを自分の中にしっかり残して次の自分に進んでいきたいって思うみわはるには、一郎先生的にはこの曲がぴったりだと思う。」

みわはる「ありがとうございます。」

山口「この曲を、夜寝る時に電気を消して、布団に入りながら聴いてみて。聴いてみてどうだったかをまた書き込んでほしい。」

みわはる「分かりました。」

山口「万が一、違うなって思ったとするじゃん。ちょっと今の私じゃないなって思った時の保険にもう1曲おすすめします。歌詞とかじゃないかもしれないって思った時のために、Bibioっていうミュージシャンの、「The Ephemeral Bluebell」っていう曲。」

みわはる「え……」

山口「今ね、リモート会議アプリのチャットのところに曲名がアップされているから。」

みわはる「分かりました、ありがとうございます。」

山口「ぜひ聴いてみてください。「サヨナラCOLOR」が、みわはるの気持ちに寄り添えなかったら、歌がないインストなんだけど、夕日を見ながらこの曲を聴いてみて。ぐっとくると思うから。」

みわはる「はい。」

山口「どう?参考になったかな?」

みわはる「なりました。ありがとうございます。」



山口「せっかくこうして直接お話ししているわけだから、何か聞きたいことはある?何でもいいよ。」

みわはる「えっと……今まで一郎先生が一番心に残っている恋愛って何ですか?」

山口「あー……心に残っている恋愛……いや、全部残ってるよ。全部残っているけど、一番辛い振られ方をしたのはよく覚えてる。」

みわはる「あー……」

山口「僕、北海道出身なんだけど、札幌の地下鉄で一緒に学校帰りに帰っていて。その地下鉄の中で全然会話してくれなくて、様子がおかしかったんだよね。突然だけどね。どうしたんだろうって思って、「怒ってるの?」って聞いても何も答えてくれなくて。で、僕が先に降りるんだよ。だから、じゃあねって言って降りて、まだ地下鉄に乗っている彼女を、その場を立ち去らずに見送っていたの。そしたら、ドアが閉まる直前に「もう別れよう」って言われたの。で、ドアがプシューって閉まって、地下鉄が行っちゃったっていう……。もう、トラウマになるレベルの振られ方をしたっていうね(笑)。」

みわはる「わー……」

山口「でも、その時はすごい辛かったけど、今思うとこうやって笑って話せたりするじゃん。で、大人になってからの恋愛と学生時代の恋愛って種類が違うと思うんだよね。大人になると、結婚とか、そういうことも考えたりするし、相手の仕事と自分の仕事のバランスとか、そういうのも関係してきたりして。同じ高校で、同じルーティンで、将来のことをそんなに深く考えずに、その時のエモーションで付き合っていくのとは違うものだから、今は今しか体験できない恋愛をしているって思うと、失恋も、うまくいくものも、もっと自由に楽しめるようになるんじゃないかなって思うけどね。」

みわはる「はい。」

山口「……どうだ?参考になったか?」

みわはる「なりました。」

山口「ただ、みわはるに1個言っておくぞ。サカナLOCKS!の掲示板に恋愛相談するっていうのは、非常に参考にならない掲示板No.1のところに恋愛相談しちゃってるからな(笑)。サカナクション先生には恋愛の歌がないから。だから、今日先生が話したことが、みわはるにとってどうプラスになるかは分からないけど、おすすめした2曲は抜群に良い曲だから聴いてみてください。」

みわはる「はい。」

山口「じゃあ、遅くに話してくれてありがとうね。」

みわはる「いえ、ありがとうございました。」

山口「じゃあ、また会いましょう。さよなら。」

みわはる「ありがとうございました。」


今回の授業も終了の時間になりました。

山口「学生時代の恋愛って、今の僕にとってどんな影響があるのかっていうのを感じられているのかは分からないけど、ただ、恋愛をしてうまくいっているときのエネルギーも、失恋して悲しい時のエネルギーも、どっちもすごくスペシャルなものなんだっていうことを分かってくれるといいなって思う。うまくいかないからネガティブなんじゃなくて、うまくいくからポジティブなんじゃなくて、両方にちゃんとエネルギーがある。それを感じてくれると、恋愛はもっと楽しくなるんじゃないかなって先生は思っています。"サヨナラからはじまることが たくさんあるんだよ"って良い歌詞ですよね。恋愛をしている方も、恋愛していない方も、この曲を聴いてみてください。」

今回の授業、いかがでしたか。一郎先生に選曲してほしい、自分に合う曲を探して欲しいという生徒の皆さん、[サカナLOCKS!掲示板]に、いまどんな状況なのか、どんなシチュエーションで聴きたいかなど、できるだけ詳しく書き込んでください。一郎先生が曲を選んでくれるかもしれません。

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