<サカナクション・江島啓一 × SUPER BEAVER・渋谷龍太>
「山下達郎 ニューアルバム『SOFTLY』の魅力を語り合う(前編)」

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2022年7月22日(金)PM 10:00まで




江島「はい、授業を始めますから席に着いてください。Twitterを開いている生徒はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いてる……Instagramを開いている人はサカナLOCKS!のインスタアカウント(@sakanalocks_official)をフォローしなさい。授業が始まりますよ。」

江島「……サカナクションのドラム、江島啓一です。さて今週も副担任の僕が、このサカナLOCKS!をお届けしたいと思います。」

渋谷「(黙って聞いている)」

江島「えー前回ね、ひとりで……やらせてっ(笑)、いただいたんですけども(笑)」

渋谷「ははは(笑)」

江島「ちょっと待って、ちょっと待ってよ(笑)、あっはっは。」

渋谷「なんすか?なんすか?(笑)」

江島「まだだから!まだ紹介してないから!(笑)」

渋谷「まだですか、ちょちょちょ、我慢します(笑)。分かりました。」

江島「そうそうそう(笑)。ひとりでやったんですよ、前回。ね。それでまあ……大変だなと、これを毎週やっていくのは。だからもう、誰かの手を借りたい!」

渋谷「……はやっ、早くないすか。1週だけでしょ?」

江島「誰かの手を借りたいから、ちょっとお友達を呼ぼうかなと思って、今日来ていただきましたー(笑)。」

渋谷「ふふ(笑)」

江島「SUPER BEAVERの、渋谷龍太先生です!」

渋谷「はい(笑)、よろしくお願いします、お世話になります。」


渋谷「……どうしたんですか?お酒が入ってないとエジさんはそんな感じになっちゃうんすか?」

江島「いやー(笑)、いつもこうなんですよ。」

渋谷「いつもはこうなんすか?じゃあ俺が亜流のエジーさん(江島先生)を見続けているってこと?」

江島「うーん……どっちが本当かは分からないけど(笑)。」

渋谷「怖い怖い!そうなったら怖いでしょ(笑)」

江島「でもね、素面で渋谷くんに会うの……2回目ぐらいかな?2回、3回くらい。」

渋谷「そうかも。でも、一番最初に挨拶させてもらった時とかは、結構俺はガチガチで……うわ、やばっ!サカナクションの江島さんだって……」

江島「え、ちょっと待って。若干うろ覚えなんだけど、出会いってどんな……?」

渋谷「嘘でしょ!?最初は、それこそサマソニ(SUMMER SONIC)の深夜に……」

江島「はぁー、思い出した!!」

渋谷「思い出したじゃないですよ。それが一番最初です。僕らは昼間に出ていて、深夜の時間帯にサカナクションがやるって (『NF in MIDNIGHT SONIC』)。その時に、エジさんに頼んで深夜まで残らせていただいて、そのお礼というかご挨拶も兼ねて、出番後のエジさんに今日はありがとうございましたって言ったのが最初です。」

江島「思い出しました。」

渋谷「覚えてたんですか、本当に。」

江島「うん。普通に客席にいたわけじゃない?で、『あ、渋谷さんだ!』って(周りが)わーってなってったじゃん。」

渋谷「そんな大騒ぎではないですけど、ちょっと声をかけていただいて。」

江島「羨ましいなーって思ってその写真に混ざらせてもらった記憶がある(笑)。」

渋谷「先輩でしょ?(笑) ねえ先輩でしょ、ほんとに。そうです、それが最初で、そこから共通の知り合いの方を通して飲ませていただいたりとか、主にね。一緒に飲んだっていう記憶が僕の中では9割5分なんですけど、あの時の萎縮した空気っていうのは僕の中には全く存在していないんですよね。」

江島「あ、そうなんですか。」

渋谷「もう、散々な醜態をやっぱ見てきてるから、先輩の……(笑)」

江島「え?僕のですか?(笑)ああー、醜態を。」

渋谷「そうですそうです。だから、酔っ払ったら僕はちょくちょく、あのー……エジさん……エジ……エジ!ってちょっとだけ差し込むようにしてるんですよ。それも、お気づきですか?」

江島「あー……『江島ッ!』って言われたことある。」

渋谷「そう……1度……ならず、2度3度(笑)。そう、酔っ払ってね、もちろんすごく優しい先輩ですから、甘えている部分はすごくあるんですけど。今日もこうやって呼んでいただいたりとか光栄ですよ。」

江島「こういうちゃんとした場で共演するのって初めて?」

渋谷「わ、そうかもしんない。それこそフェスの現場とか、サカナクションとご一緒させていただくことっていうのはもちろんあったすけど……確かに、これが初めてかもしんない!……うわ、大変だ。」

江島「おー、よろしくお願いしますー。」

渋谷「なんすかそれ(笑)」

江島「(笑) いや、ちょっとね……お酒入ってないとちゃんとしゃべれるか心配になってきたんだけど……」

渋谷「下向かないでください(笑)。ラジオじゃ伝わんないけど(笑)。下向いて喋らないでくださいよ。」

江島「いや、ちゃんと授業します!」

渋谷「はい!」

江島「そんなSUPER BEAVERの渋谷さんと、今回は、山下達郎さんの話をしようかなと思っています。はい、よろしくお願いします!」

渋谷「はい、よろしくお願いします(笑)」

SCHOOL OF LOCK!



ということで、今回のサカナLOCKS!は、江島先生の希望でゲストにSUPER BEAVERの渋谷龍太先生が登場!
江島先生と渋谷先生は、以前、山下達郎先生の音楽が好きだという話で盛り上がったそう。そこで今回は、山下達郎先生が6月22日にリリースしたニューアルバム『SOFTLY』について2人で語り合っていきます!

江島「先月6月22日に発売された、山下達郎大先生の、11年ぶりのアルバムを聴きながら語ろうかなと思っています。」

渋谷「11年……すごいっすねー。」

江島「11年ってすごいよね、まず。」

渋谷「11年待つ人がいるってことでしょ?」

江島「僕らもね、(アルバム)出す出す詐欺をやって6年出さなかったことがあるんだけど(笑)」

渋谷「6年!?6年怖いっすねー……出来ないなー。」

江島「SUPER BEAVERって結構コンスタントに出してる?」

渋谷「かなりですね。一番空いていても2年空いてないんじゃないかな……ずっと出してます。」

江島「インディーズ時代から?」

渋谷「そうそう。だから、新しい盤(CD)を出して、全国回ってラジオに出させてもらって、よろしくお願いしますっていうのをずっとやってましたね。」

江島「やらないと表に出られないっていう危機感があったってこと?」

渋谷「そうです。だって、フェスとかも全然出たことなかったし。結成して今僕らは18年目なんですけど、結成して10年はフェスとかは出たことないです。」

江島「あ、そうなんだ。そもそも、今年結成18年?」

渋谷「はい。18年目ですね。」

江島「先輩じゃないですか?」

渋谷「あ、やばい。裏返る(笑)。」

江島「僕ら今年で15年目なんですよ。」

渋谷「あー……そうなんだ江島"くん"(笑)。ちょっと、ごめんなさい(笑)。いやいや!関係なく大先輩っすから!サカナクションは。」

江島「そうなんだねー。」

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江島「そんな11年ぶりの達郎先生のアルバムです。」

渋谷「いやー……やっぱり、ここまで引っ張られると期待しちゃうじゃないすか。めちゃめちゃハードル上がってたから、自分の中でも若干怖いところもあったっすよ。」

江島「あー。がっかりしたくないみたいな?」

渋谷「もちろん大好きだし、大ファンだから、信用・信頼は絶対しているんですよ。ただ……前回の方が良かったらどうしようとか、ちょっと考えちゃいました。」

江島「なるほどね。」

渋谷「やっぱ、平気で上回ってきましたね。名盤でした。びっくりしちゃった。」

江島「名盤だったね。最初僕は、サカナクションの映像チーム……ミュージックビデオとかライブの演出をしているクリエイティブディレクターみたいな人がいるんだけど、その人が山下達郎さんのミュージックビデオを作ってるみたいな話を聞いて、ぜひ見たいなって思っていたんだけど、その時はまだYouTubeとかにも出ていなくて。見られないし聴けない。どうやったら聴けるんだろうって。」

渋谷「いち早くね。」

江島「発売前にちょっと焦らされていた部分があるの。で、発売して、これはもう買うしかないと。CDを買って聴いたら、なんか……すごいダンスミュージックだったの。」

渋谷「いやー……ね。思った。」

江島「まず、2曲目かな。」

渋谷「ミュージックビデオになってるやつですよね。「LOVE’S ON FIRE」。」

江島「あれにびっくりして。」

渋谷「びっくりしたっす、俺も。」



江島「新しい。」

渋谷「本当そう思いました。もちろん時代を作ってきた人だから、ずっと我流でいいと思うんですけど、やっぱり最新の曲も聴いてるんだなっていうのがすごく分かった。全然ぶれてないのに、サウンドメイクの点とかに現代っぽさもあるじゃないですか。」

江島「あるある。」

渋谷「俺、これは本当にエジさんと同じで、びっくりしました。ここくるか!みたいな。」

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江島「なんだろうね……シンセ主体で、ひとつのリフをずっとリフレインして展開していく感じとかって、どちらかというとクラブミュージックとかハウスミュージックの手法で。でも、山下達郎さんっぽいっていうか。」

渋谷「なんですかね……なんでなんですか?これ。」

江島「なんでなんでしょう?」

渋谷「めちゃくちゃ考えたんですよ、自分も。ブレる余地がないくらい達郎さんが詰まってますよね。何なんでしょうね。メロなのかな?」

江島「前、僕らは「忘れられないの」っていう曲を作る時に、めちゃめちゃ研究したんですよ、山下達郎さんを。いわゆるAORよりの達郎さん。で、今回この曲は、どちらかというと僕らが今までやってきた感じに近いから……僕らは山下達郎さんに影響されて、研究してそっちに寄ったのに、達郎さんがこっちに寄ってきたみたいな気持ちになって(笑)。ちょっと嬉しかったんだよね。」

渋谷「はは(笑)。逆輸入みたいなね。この感じは俺もドキドキしましたね。すごいなって思いました。」

江島「これちょっとね……まだ消化できていないっていうのが本音かな。」

渋谷「エジーさんの中で?」

江島「これでなんでこんなに山下達郎さんなんだろうって。いろんな記事とか見ていると、最新の技術みたいなのは常に取り込むっていうのを意識されているらしくて。」

渋谷「機材とかもね。新しいのをバンバン取り入れるっておっしゃってますよね。」

江島「そもそも多分、音マニアみたいな部分もあるし。だけど、音色とかは……なんというか、なつかしいサウンドの部分もあって。それがうまい具合に混ざっているこのバランス感覚なのかな……とか。」

渋谷「そうっすねー。MVも昔のコーラのCMみたいじゃないですか?そういう時代感であったりをちゃんと取り入れつつも、現代の音になっているっていうのが……すごいなーって。」

江島「ねー。」

渋谷「しかも、エジさんって音のプロじゃないですか。」

江島「いや、お互いお互い(笑)。」

渋谷「僕、技術的なこととか機材的なことはあんまり詳しくないから。エジさんはそういうのめちゃくちゃ詳しい人なのに、エジさんでもちょっと分かんないっていうレベルで。」

江島「いつも写真で例えてるんだけど、例えばチェキとか写ルンですみたいなフィルムっぽい感じが、音楽でいうとアナログっぽいというか、昔の手法。質感的に、レコードだったりとか。で、ガッチガチの高解像度のデジカメで撮った写真が、音で言うとハイレゾとかデジタルのデータだとしたら、多分、今回のアルバムっていうのは、外側はめちゃめちゃ高解像度なの。なんだけど、中身に置いてある要素ひとつひとつは、チェキでとった質感を持ったものが散りばめられているって感じで……それが新しくもあり懐かしくもありな音像になってるところなんじゃないかなって思ってるってくらい。今は。」

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渋谷「一個ずつを取り上げて説明しづらいくらいのバランス感ってことっすよね。すごいなー。」

江島「特にこの曲(「LOVE’S ON FIRE」)ね。」

渋谷「顕著ですよね。」

江島「それもありつつ、例えば「CHEER UP! THE SUMMER」。5曲目。」

渋谷「俺もこれめっちゃすごいと思っちゃって。」

江島「この曲は、どちらかというと今までの達郎さんを踏襲した……」

渋谷「そうそう。もろ、そうっすよね。これイントロから勝ちじゃないっすか、もう。で、この曲ってちょっと不思議じゃないすか? Aメロの部分ってめちゃくちゃ夏を感じさせる、夏の明るい部分みたいなのがずばーんと出ているのに、この後にやってくる部分がBメロだと思ったんすよ。」

江島「うん、Bメロと言ってもいいんじゃないか?」

渋谷「その後サビにいくんだと思っていたら、でも、実はもう1個あって。それが結構衝撃的で。A→B→C→サビみたいな。このBとCが夏特有のセンチメンタルさみたいな……急にコードがこっちにいくんだって。それがなんかドキドキしちゃって……!すごいなこれって思っちゃって。」

江島「夏って感じするよね。」

渋谷「さっきのループミュージックのところに通ずるかもしれないんすけど、サビの前の部分以外、ずっと同じドラムのリズムとベースのリズムが続いているじゃないすか。」

江島「うん、続いてる。」

渋谷「この一貫性と、歌詞。ちょっと僕歌詞をメモってきたんすけど……"永遠を探してる"とか"僕たちの夏はまだ終わらない"とかの、ずっと続いている感じとかが、サウンドメイクからもずっと続いてるんだなっていうのを感じちゃって。」

江島「確かに。」

渋谷「で、この曲のアウトロ……僕、この曲のアウトロが大好きなんすけど。」

江島「アウトロ?」

渋谷「あの……ちょっとアウトロの方まで飛ばせます?」

渋谷「フェードアウトなんすけど、フェードアウトの差し込み方もめちゃくちゃ乙だなって思っていて。」

江島「え?フェードアウトの差し込み……?」

渋谷「ちょっと聴いててください!……きますからね!」

(※「CHEER UP! THE SUMMER」4'07"〜の部分)

江島「……はぁーーー!」

渋谷「かっこよ!!ここ!?って。しかも、イントロに返ってくるような空気感があるっすよね。それが、イントロからずっと続いている……"終わらない"とか、"永遠"っていう言葉に。この曲が終わってすぐイントロにループもできるような感じがすごい緻密……!って思って。差し込み方が気持ちいいなーって。」

江島「確かに。歌詞にも連動してるんだね。」

渋谷「しかも、ちゃんと表の拍じゃなくて、食って入ってくるんですよ。グンって。無理矢理入ってきちゃうような……」

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(♪ もう一度「CHEER UP! THE SUMMER」のアウトロが流れて…… )

渋谷「これ、何度聴いてもいいんですよねー。」

江島「何回でも聴けちゃうやつなんだね。」

渋谷「本当だったら、ちゃんと小節を待って入りたいところなのに……あいっ!って。」

江島「ははは(笑)。」

渋谷「えー!ここでくるの!?って。ドキドキしちゃって。」

江島「裏切りもあるんだね、ちょっとした。」

渋谷「そう!はっとさせる感じとか。これはまんまとやられたなと思いました。」

江島「すごい細かい技術が……」

渋谷「さっきもエジさんが言ったみたいに、測れない部分とか、なんでこうなっているのかちゃんと説明できないけどドキドキしちゃったりとかっていうのが、すごい構築されているんだなって。」

江島「確かに。」

渋谷「僕はドキドキしましたよ。なんか、一個ずつ取り上げていったらキリがないくらい、このアルバムには詰まってると思うんすよ。」

江島「詰まってるね。」

渋谷「まだ発売されてからそんなに日にちが経ってないじゃないすか。バチバチに聴き込めているかって、1年2年ずっと聴いてるかっていったらそうじゃないのに、これだけ出てきちゃうっすよ。」

(♪ チャイムの音)

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江島「……あ。」

渋谷「……あれ?」

江島「もう今週終わり?」

渋谷「なんで?なんでですか?」

江島「短い……あれ?授業短かった?」

渋谷「いやいやいや……ちょっと、伸ばしてくださいよ。来たんだから、僕。」

江島「僕、臨時講師みたいな……副担任なんで、あんまり力ないんですよ(笑)。」

渋谷「あ、そうか。力無いんですね(笑)。すいません、変なところで頼っちゃって(笑)。」

江島「でも、ちょっと足りなかったので、来週もいいですか?」

渋谷「え!逆にいいんすか?来て良いんですか?」

江島「あと、本当はさ、渋谷くんのソロの曲とか。」

渋谷「あ、エジさんが褒めてくださった僕のソロの曲ね。」

江島「それをかけたいんですよ!今回は時間が足りなかったので、是非来週はそっちの曲も聴いて、一緒に感想を言いたいなと思います。」

渋谷「嬉しい。お願いします。」

江島「来週も、よろしくお願いします。」

渋谷「よろしくお願いします。」


ということで、今回の授業は終了です。
実は繋がりの深い2人の関係性がよく分かる対談でした。
来週も、山下達郎さんの最新アルバム『SOFTLY』をテーマに、時間の限りお届けします。

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