対談:古舘佑太郎(The SALOVERS) - 後半


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今回は先週に引き続き、サカナクション山口一郎先生と、The SALOVERS古舘佑太郎先生による "ミュージシャン" 対談をお送りします。(先週の様子は⇒コチラ)


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山口「よろしくお願いします。これを機に、お友達になってね。」

古舘「もう、是非! サラバLOCKS!の方でも、待ってるんで(笑)。」

山口「えぇ〜……、メンバーも居るの? それ。」

古舘「ははは!(笑) はい、しょうもないメンバーが。」

山口「なんかそれ……カツアゲされる感じ?」

古舘「カツアゲされるかもしれないっすね(笑)。」

山口「マジで……怖いわぁ。」


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山口「あ、そうだ。古舘君、本が好きだって聞いたんだけど、結構読んでた?」

古舘「そうですね。10代の頃は、かなり読みましたね。」

山口「それはどういう影響で読むようになったの?」

古舘「僕、もともとは文化的なものよりも、スポーツが好きだったんで、真逆に居たんですけど、真逆に居たからこそ、最初は、その真逆な俺が隅っこで本を読んでいたらカッコイイかな、みたいなノリで(笑)。図書室とかに行って、本を借りて読んでいたんですけど、高校に行って、失恋をした時に、デートをしていた時間とかがぽっかり空いてしまって。僕も結構女々しく引きずってしまって、「淋しい……」ってなっていた時に、本を読んでいると、小説の世界にすっぽり逃げ込めたんです。」

山口「小説を読んでいたんだ。」


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古舘「はい。一番好きだったのは村上春樹だったんですけど、村上春樹作品の中に入り込むと、忘れられるから、それがすごく居心地が良くて。でも、最後まで読み切ると追いて行かれちゃうじゃないですか、現実に。それがすごい嫌だから、また次の本を読んで……って。」

山口「昔のものを読んだりはしていなかったの? 昭和文学とか。」

古舘「めちゃくちゃ読んだわけじゃないですけど、例えば、三島由紀夫の『 金閣寺 』が有名だからって読んだりとか、アメリカの、J・D・サリンジャーとか、ジャック・ケルアックとか、ビートニク(ビート・ジェネレーション)の時代のものは好きでしたね。」

山口「カットアップばりのやつだ。」

古舘「はい。あの時代のものって、村上春樹とかにその後、受け継がれていったものだと思うんですけど、焦燥感とか、そういうものが好きだったので。」

山口「ふーん、なるほどね〜。自分の書いている歌詞に、読んできた本が影響していると思う?」

古舘「初期の頃のはめちゃくちゃ影響受けていましたね。「夏の夜」もそうですけど、村上春樹さんの表現がかなり入っているように思います。喪失感みたいな……。でも今は、本当に、本が読めないんですよね。」

山口「本が読みたくないってこと?」

古舘「いや、面白いものに出会えていなくて……。むしろ、一郎さんにおすすめを聞きたいなって思うくらいで。」

山口「小説ね〜……。僕、小説はあまり読まなかったんだよね。」

古舘「そうなんですね。」


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山口「うん。……唯一自分の中に残っているのは、安部公房の『 カンガルー・ノート 』っていうのがあるんだけど、それ。安部公房っていう人は、すごく面白いよ。『 カンガルー・ノート 』にはすごく衝撃を受けた。すごく理系な感じだけどね。」

古舘「へぇ〜。そうなんですか。」

山口「あとね、パウロ・コエーリョっていう人が書いている、『 アルケミスト 』っていう本があるんだけど、それは、前のバンドをやっていたときに、メンバーがやめたいって言って、一人になったんだよね。その時に本を読んで、すごい救われて、サカナクションを結成するきっかけになったんだよ。」

古舘「マジっすか!」

山口「一人の少年の話なんだけど、その少年がいろんな人とであって、どんどん成長していく様が書かれていて、生きていくってどういうことか、どんな影響があって自分が今ここにいるのかっていうのがよく分かる本。」

古舘「じゃあ、今の自分に合うかもしれないですね。」

山口「本当?」


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古舘「はい、かなり。僕、幼なじみとバンドを組んでいて、4才とかからずっと一緒にいるメンバーなんですね。ずーっとただの友達だったんですけど、こうやって22になると、それが逆に足かせになっちゃったり、面倒くさいことだったりしていて、それまではずっと、メンバーっていうのは……メンバーって言うよりただの友達、幼なじみだったんですけど。去年一年間とかは、本当に、難しいなって思う時期で……。だから、「サカナクションを作るきっかけになった」っていう言葉じゃないけど、そういう自分が今救われたいって思ってるんです。」

山口「なるほどね。なんかさ、自分が生きてきて、いろんな人と出会ったり、いろんなことをしてきた中には、古舘君なら、古舘成分っていうのがあるわけじゃん。その古舘の中には、いろんな成分があるわけじゃん。それが、出会ってきた人だったり、読んできた本で自分が構成されていって、何か忘れて、また新しい物が入ってきてって繰り返していくわけじゃん。俺がさっき言った、『 アルケミスト 』って本は、それを感じる本っていうか……。いらない物は捨てても良いし、知らないうちに忘れていったものはもういらない物だし、今やっている無駄だと思うことも、実は10年後、20年後にはすごく意味があるものになるんじゃないかって思えてくる。だから、読んでもハマるか分かんないけど、何か引っかかるかもしれないね。」

古舘「はい。」


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古舘「あの、僕、聞いても良いですか?」

山口「うん。」

古舘「今、僕は22才で、ここから20代が始まるんですけど、30才になるまで、この10年間をどうしようかってすごく思ってるんですね。で、一郎さんとは同じで、若い頃からずっとやっているっていうところに自分を重ねるわけじゃないんですけど……。振り返って、その10年間で、すごい挫折とか……あったのかなって……。」

山口「もう、めちゃくちゃありましたよ。」

古舘「うっ……それって……大丈夫なんですかね、乗り越えられるんですかね?」

山口「なんかその……、どんなことがあっても、結局音楽をやるしかないんだよね。実は、俺、札幌出身なんだけど、札幌でバンドをやっていたときに、バンドを辞めようって思って、就活をしたことがあるの。」

古舘「えっ、マジっすか?」


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山口「うん。結婚式のカメラマンの仕事。正社員で募集していて、それの面接に行った事があって(笑)。初めての面接だったんですよ。そういう就職活動とかのね。その時に、「俺は、こっち側の人間じゃない! こういう世界で生きていける人間じゃないし、こういう人と会話ができない。……やっぱり俺には音楽しかない。」って思ったの。そこから、どんだけ苦しくても、バンドをやり続けましたけどね。バイトで、月8万円の収入で、家賃3万円で、スタジオは週5回。スタジオ代は、当時、俺は一人だったから、サポートメンバーの分も出したりしていたから、お金がなくて、電気止まるわガスは止まるわで……。バイト先の賄いだけがご飯っていう時期が3年くらいあって。でも、そういう経験があって……それは挫折って言うと思うんだけど、デビューできずに。」

古舘「一回、音楽とは違う道に行こうとしたってことですか?」

山口「そうそう。」

古舘「いや、なんか、僕も、3日前に、なぜか株の勉強を始めようかなって思って、ネットで「株 初心者用」って検索して、サイトを一通り読んだんですよ(笑)。そしたら、なんか違うなって思って……」

山口「違うよ、絶対(笑)。絶対違うと思う。」


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古舘「そうなんです。で、不安になって……30才までに自分はどうなるんだろうって。音楽で自分を表現するのはすごい好きなんですよ。自分っていうのを人に見てもらって、自分が輝いていたいって思うんですけど、やっぱり、そういう自信を失った時、逆に自分を全否定しちゃうタイプなんですよね。」

山口「でもそれってさ、今、音楽しか無いからだと思うけど、例えば、表現する先が、役者だったり、映像だったりとか、そういうところに別の表現を見つけたりすると、逆に音楽に良い影響があるかもしれないね。ってか、役者やったら良いんじゃない?」

古舘「そうですかね……。」

山口「俺、パッと会った瞬間に、思ったけどね〜。」

古舘「マジっすか。」


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山口「多分、段々感性が変わってきている歳だし、いろんなことにチャレンジしてみて、最終的に、自分がどういうもので自分が表現するのが楽で、何が表現しやすいのかっていうのが分かってくると思うんだよね。俺は本当に不器用で音楽しかなかったから、ニュアンスだけで言うけど、古舘君は音楽以外のことも、表現としてできそうな気がするから、いろんなことにチャレンジしてみて、またその年齢の最強の曲を作ったりすると良いんじゃないかな。ただ、ミュージシャンだっていうことが自分の本職であって欲しいって思うけどね。」

古舘「そうですね……はい。」

山口「まあ、僕はデビューが遅かったし、18の時にこんな曲は書けなかったから、才能にすごく嫉妬するし、音楽業界とか、シーンの中で、古舘君の存在に期待してる。これから頑張って欲しいし、引っぱって欲しいなって思いますけどね。テレビとかも、出ていった方が良いと思うよ。今の日本のメディアは、この音楽を表面に流してるんだって、これで洗脳してるんだって思うと、本当にがっかりするから。だけど、一回その挫折を味わった方が良いよ。」

古舘「そうですね……。」

山口「そういうのを聞いている人たちに、自分の曲ってどう届くんだろうっていう考えを持った上で、「俺らはこれに合わせない。」とか、「俺らは、これを聴いてもらうために合わせられる。」とか、自分の裁量が分かってくるはずなんだよね。もっと違うところでこの人たちと勝負したいって思うかもしれないし。違うジャンルでね。」

古舘「はい。」

山口「そういう曲、書く自信ある?テレビで勝負する曲。」

古舘「あ……、でも、やりたいっすね。」

山口「そしたら、全然。出て行けるんじゃない?」


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古舘「僕、FUJI ROCK FESTIVALの、GREEN STAGEのトリを務めるっていうのが夢で。」

山口「うわ〜!(笑)」

古舘「はい。バンドを始めた時の夢がそれだったので。」

山口「FUJI ROCK、出たことある?」

古舘「ROOKIE A GO-GOはあるんですけど、本ステージは無くて……。」

山口「全然叶うでしょ。人生何があるか分からないから。俺らだって紅白(歌合戦)出たけどさ、まさか紅白に出るなんて思ってもいなかったからさ。」

古舘「そうですよね(笑)。」

山口「22才の頃なんか、本当に、釣りしかしてなかったもん(笑)。釣りか音楽しかしてなかった。」


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古舘「そうか! 22才の時、そんなこと思ってもいなかったんですよね。」

山口「思ってないよ! だから、22才の頃の俺に、「おい、お前。11年後に紅白出るぞ!」って言っても、「バカじゃないの?」って言われると思う。それに、「紅白とか出んなよ! そういうバンドじゃねーだろ!……変わったな、お前。」って言うと思う。22才の俺(笑)。」

古舘「ははは! そうっすね。」

山口「バンドってね、面白いんだよ。だって、自分で曲を作っているけど、メンバーが居て、アレンジして、それぞれのストーリーがあって生きていて、人生があって。」

古舘「ドラマがありますもんね。」


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山口「それを、歌っているわけじゃん。そんな音楽って無いからさ、バンド以外に。この文化はもっと日本の音楽の中で上位にあるべきだって思うのね。だけど、バンドはテレビにでない方がカッコイイって風習が1990年代とか、2000年代にあったから、そのせいで俺らはテレビに出るってことだけで叩かれたりしたけど、今はそういう時代じゃないって思っていて、戦って行ってるんだよね。バンドをもっと知ってもらいたいの。特に、古舘君とか、OKAMOTO 'Sのハマ君とかもそうだし、赤い公園も、ねごとも、KANA-BOONもそうだけど……あの辺の世代が、ちゃんと評価されて、日本の今の表面の音楽だっていう風になってほしいんだよ。それができるのって、俺らみたいなポップにもなり得るバンドだけなんじゃないかって。そういうことを考えてやっている人はあんまり居ないと思うけどね。」


M グッドバイ / サカナクション


ということで、そろそろ授業終了の時間です。
2週に渡って、ミュージシャン対談をお届けしてきましたが、山口先生はどんな感想を持ったのでしょうか。


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山口「古舘君、22才であんな風に僕と……僕、33才ですからね(笑)。33才の、ベテランの先輩のミュージシャンと、あんな風に堂々と話ができるなんてすごいなって思ったし、書いてきた曲のクオリティもそうだけど、自分が作るっていうことに対する向き合い方みたいなものも、ハンパじゃない才能だと思いますね。あと、対談の中でも言っていましたけど、音楽こだわらなくても良いかもね。もちろん、本職はミュージシャンだとしても、いろんなことにチャレンジして、それを音楽に転嫁していくというか……、そういうことができる人のように感じました。小出(祐介)君とかからはそういう感じはしなくて、特に古舘君には、オーラがあるね。人間として。なんでだろうな……。だから羨ましいと思ったけど、今後はどんな曲を彼が書いて、どんな音楽を作って行くのか、本当に楽しみです。連絡先交換したんでね、飲みにでも行ってみようかな(笑)。声、かけてみようかなって思います。」

そして、ここでサカナLOCKS!からお知らせです。
サカナLOCKS!は、3月1ヶ月間休講になります。
その1ヶ月間、毎週木曜の授業を担当するのは、SCHOOL OF LOCK! の "科学の講師" BUMP OF CHICKEN先生!
BUMP LOCKS!が、限定復活します!!


山口「悲しいですが……休講になります。くぅ〜……。1ヶ月間だけ、サカナLOCKS!はお休みすることになりました。また、4月にサカナLOCKS!の授業は再開しますので、生徒の皆さんは、その間に、宿題をよろしくおねがいします。」
現在、出ている宿題は⇒コチラ!

サカナLOCKS! 放送後記

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    LiSA

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