対談 (w/写真家・映像作家 奥山由之) - 前編

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山口「はい、授業を始めますから、席に着いて下さい。マンガを読んでいる生徒は、マンガをしまいなさい。Twitterを開いている生徒は、Twitterを閉じなさい。Instagramを一度閉じなさい。授業が始まりますよ。」



■ うおおおおお!!!!
一郎先生!! SAKANAQUARIUM2015-2016武道館公演当たりました!! 人生初サカナクション!! ずっとずっと夢みてたことだったのでもうめちゃくちゃ嬉しいです!!!! サカナクション先生の音を全身で感じられると思うと涙が…( ;∀;)これで10月まで色んなこと頑張れます!ひとり参戦で緊張しますが笑 楽しみにしてます!!
鳥目のねこ
女/18/埼玉県




「鳥目のねこ、初めてのサカナクションツアー、来てくださるということで。本当にありがとうございます。10月から始まるサカナクションの全国ツアーですが、これは、10月の3日から、札幌の北海きたえーる……これは、札幌の大きいアリーナですね。ここから始まり、3月までホールも交えてアリーナ&ホールツアーです。みなさんの近くの街にも多分行くと思うので。今回は細かく回るので、詳しくはサカナクションのホームページを見ていただけたりすると書いていますので、よろしくお願いします。サカナクションのツアーに行きます!という書き込みがたくさん届いています。チケットはずれちゃったって人も現時点ではいるみたいだけど、これからいっぱいチケット出るので、皆さん、ぜひ足を運んでください。」

サカナクション Official Siteは[⇒コチラ]

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今回は対談の授業。ゲスト講師に、写真家・映像作家の奥山由之先生をお迎えします。先日終了した、サカナクションがオーガナイズする複合イベント「NIGHT FISHING」のメインビジュアルを撮影したのが奥山先生。更には音楽雑誌「MUSICA」の記念すべき100号の表紙巻頭を飾った山口一郎先生……この表紙巻頭の撮影を担当したのも奥山先生なのです。

山口「こんばんは!」

奥山「こんばんは。奥山由之です(笑)。」

山口「ははは!(笑) なんか、変な感じするね。よろしくお願いします。」

奥山「よろしくお願いします。」

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山口「僕たちサカナクションと奥山君の関係は、『NIGHT FISHING』。NFでいっしょに仕事というか、遊んだっていう感じですけど。そのNFのメインビジュアル、そして、「写真を纏う」というテーマでエキシビジョンをやったときの写真を担当してくれたわけですね。」

奥山「はい。ありがとうございました。」

山口「で、先生と一緒に2回、船で夜釣りに行って写真を撮ってきたりしましたけど(笑)。」

奥山「そうですね(笑)。」

山口「奥山君って、今いくつですか?」

奥山「今24(才)ですね。」

山口「何才の頃から写真家としてプロデビューしたんですか?デビューというか、プロ活動。」

奥山「最初は19とか……。大学2年生のときで。」

山口「19才。在学中に写真の仕事をしていたんだ。」

奥山「そうですね。」

山口「それ、すごいね。」

奥山「いやいや、いろんな方に助けていただいて……(笑)。」

山口「ふふふ(笑)。」

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山口「そして、現在発売中の音楽雑誌『MUSICA』の、創刊100号の表紙を私山口一郎が務めているのですが、その表紙巻頭の写真も奥山君にお願いしています。これね、僕、奥山君がスケジュール合わないって言われたら、表紙を断ろうと思ってたんですよ。」

奥山「本当ですか(笑)。」

山口「いや、本当に。」

奥山「いや、もう……嬉しいです。」

山口「サカナクションなのに、僕1人で表紙になるのってなんかちょっと自分的にも結構複雑だったんだよね。久々にサカナクションが表紙になるのにさ。」

奥山「あー……。」

山口「だけど、奥山君とのストーリーがNFであったし、もし奥山君が撮ってくれるんだったらって。でもさ、これ、今目の前にあるんですけど……すごいよね。音楽雑誌じゃないみたいな表紙だよね。」

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奥山「そうですね。今までの『MUSICA』の表紙とかと比べると、ちょっと……」

山口「異質だよね。違和感があるというか。」

奥山「そうですね。」

山口「これ、中の写真も……僕は、奥山君の写真を何度も見てきているからあれだけど。なんか、奥山君節というか。素晴らしいなと思います。」

奥山「ありがとうございます。」

山口「みんなにも見てもらいたいです。」

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山口「さらに、8月5日にリリースする、カップリング&リミックス集アルバム『懐かしい月は新しい月 〜Coupling & Remix works〜』では、「スローモーション」のミュージックビデオのディレクションも担当しています。奥山君って、写真家だけじゃなく、映像作家もやっているんですよね。」

奥山「そうですね。たまに映像も撮らせていただいています。」

山口「これ以外にも、The SALOVERSとか。」

奥山「The SALOVERSの最後のアルバムの中から1曲PV作ったりとか。」


■The SALOVERS「シンセサイザー」(Dir. 奥山由之)


山口「もともと、僕たちの出会いは、奥山君が2013年5月のSAKANAQUALIUM 2013 "sakanaction" 幕張メッセ公演に来てくれたところから始まったんですよね。」

奥山「そうですね。初めてお会いしたのが。その後ご挨拶させていただいて。」

山口「え、その時って大学生?」

奥山「ギリギリ大学生でした。確か。」

山口「おー!……存在は知っていたけど、なかなか一緒に仕事をする機会はなかったよね。」

奥山「そうですね。」

山口「NFの前に、1回ご飯食べたんだよね。深夜、中目黒の寿司屋で(笑)。」

奥山「12時くらいから朝5時半くらいまで(笑)。」

山口「もう……ずっと話してたよね(笑)。」

奥山「お茶だけ飲んで、ずっと話してた(笑)。」

山口「ほとんど食べずにね(笑)。」

奥山「そうそう(笑)。」

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山口「なんか、あそこから、僕は奥山君って自分がイメージしていたよりも、もっと野心もあるし、写真っていうものをたくさんの人に知ってもらいたいんだとか、そういった部分が強い、熱い人なんだなっていうのを知って。もっとスカしていて、あんまり自分の気持ちとかをしゃべらないひとなのかなと思っていたけど。」

奥山「あー。でも、なんかあの時ちゃんと初めてがっつりお話したじゃないですか。あんまり僕、人に対してすごく思っていることをいろいろ話せるタイプじゃないんですけど、自分がまさに今思っていることを一郎さんがしゃべっていたりして。音楽と写真ってジャンルは違うんですけど。この人なら自分が言うこともいろいろ考えて聞いてくれそうな気がする……みたいな感じで。どんどん話したいことが出て来て。あれだけ、5時間も(笑)1人の人とずっと話したことってなかなか無いから。」

山口「はは(笑)。でも、あの時いろいろ話したことって、実はNFに繋がることだったりするよね。」

奥山「まさに。」

山口「例えば、僕にとっては音楽、奥山君にとっては写真だけど。その、音楽ってものをもっとたくさんの人に知ってもらいたいっていう僕の話と、奥山君が、写真っていうものの面白さだったり、深さだったり、表現っていう部分を、もっと若者たちや一般の人たちに知ってもらうにはどうしたらいいんだろうって。そういった部分の議論があって。」

奥山「そうですね。」

山口「僕もあの時、煮詰まってたじゃん。」

奥山「あ、歌詞……。」

山口「そうそう(笑)。例のあの、映画の主題歌のやつ。だから、実はあの時の話がヒントで、NFっていうものをスタートさせようと思ったんだよね。だからこの僕らがオーガナイズしたイベント『NIGHT FISHING』ですけど、奥山君がメインビジュアルや「写真を纏う」というテーマでエキシビジョンをするって決めたのも、絶対に奥山君と一緒に何かひとつ表現したいと思ったし、来てくれたみんなに奥山君の写真を見てもらいたいっていうのが実はあったわけですね。一番の動機は、一緒に何かしたかったっていうのが強かったんですけど(笑)。」

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山口「一緒に釣り行ったじゃないですか、夜釣り。」

奥山「いやー、もう……僕自身、釣りに行ったこと自体がほとんどないから、まずどういう感じなんだろうっていうところから入って。で、嵐だったじゃないですか。」

山口「やばかったよね。」

奥山「やばかったですね。」

山口「『NIGHT FISHING』のイベントだから、釣りをしている写真を撮ろうってことになって、一緒に実際に釣りに行こうって、スケジュールを合わせたんだけど、その日が大荒れの雷雨だったんだよね。」

奥山「もう、雷も。」

山口「で、船長さんも、普段なら絶対に船を出さない(天候)って。でも、この日に撮らないとダメなんです!って無理矢理、船を出してもらって。釣り竿を立てておくと雷が落ちるから寝かせてくださいって言われるくらい(笑)。」

奥山「なんで釣り行ってるんだっていうね(笑)。」

山口「そんな、ブワーッて、波もすごいし雨もすごくて、二人ともビタビタになってるんだけど、奥山君はカメラを覗きながら、にやにやしてるっていう(笑)。」

奥山「(笑)」

山口「奥山君って、シャッター押す時とかカメラを覗く時、絶対にやにやしてるよね。」

奥山「いや、まあ、うーん……(笑)。」

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山口「無意識?」

奥山「もちろん無意識ですし、なんかもう……状況がよく分かんな過ぎるじゃないですか(笑)。」

山口「ははは!(笑)」

奥山「その中で撮っているっていうこと全体に対しても、ちょっとにやにやしてしまうというか。こう……何が写るんだろう、みたいな。」

山口「ずっと船の上で、合い言葉のように言っていたのが、「この日のこと、一生忘れないよね」って(笑)。」

奥山「実際、あれは忘れないでしょうね。」

山口「でも、あれでカメラ一台途中で壊れたよね(笑)。」

奥山「そうです(笑)。途中で、多分いろいろ雨とかいろんなことで壊れちゃって。」

山口「そういうふうに実際に写真を撮って、それが『NIGHT FISHING』っていうイベントで、バッハ(『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』)の監督をやってくれた田中(裕介)監督もアートディレクターで入ったりして、ひとつの服になったわけじゃないですか。あれ、やってみてどうでした?」

奥山「当日、LIQUIDROOMの周りとか会場内とか、駅から会場とかを歩く人たちの中で自分の写真がプリントされているものを着ている人たちを見かけるっていうこと自体が、何て言うんだろうな……すごく不思議な気持ちで。やっぱり今までなかったから。雑誌で写真を見てもらうとか、写真展に来てもらうとかは当然ありましたけど、服を着るってかなりその人に近いものに写真がなっているから。その人たちの一部に自分の写真がなっているんだなって思うと、きっかけがどうであれ、単純に嬉しかったですね。」

山口「来ている人たちも、写真を纏ってるっていうイメージを持っている人もいるけど、服を着るっていうか、オシャレな服を着るっていうイメージで写真を纏っているわけじゃん。その……騙しているわけじゃないけど、無意識のうちにアートの中に入っているっていうのって、一緒に朝まで中目黒の寿司屋で話をしたときの……そこに到達はしていないけど、あの時話し合っていたことの、始まりとしてはいい結果だったんじゃないかなって、僕はやってみて思いましたけどね。」

奥山「そうですね。」

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山口「でも、俺ね、あの『NIGHT FISHING』の撮影で夜釣りを撮っていて、初めて一緒に写真を撮る現場だったからさ、なんか大丈夫かなって……誰もが思うと思うんだけど(笑)。ぐわーって揺れている中で、片手がこんなになりながらカシャッて(シャッター)押して、ピカっと光った、みたいな(笑) ……だし、ザーって降ってフードを被って糸を結んでいる時に、いきなり俺の顔の前にカメラを近づけてバシャ!みたいな(笑)。で、一郎さん、写真あがりましたって、それを見た時に、俺、本当にもう……ビックリしたの。こんな風に奥山君は見ていたんだって。俺はもう……自分の主観しかないわけじゃん。でも、奥山君はこんな風に見ていたんだ、色をこんな風に感じていたんだって。」

奥山「はい。」

山口「狙っていなかったとしても、撮ったのは奥山君なわけじゃん。それは紛れもない事実なわけで。なんか、もう一個目があるんだなと思ったよ。」

奥山「あー……。」

山口「奥山君自体も見えていないのかもしれないけど、誰も見ることのできない、奥山君の想像でしかない、もう一個の目を持っている人なんだなって。その写真を初めて見たときに。しかもそれをセレクトするわけじゃん、自分で。セレクトするってことは、良し悪しがあるわけでしょ。どれが好きでどれが嫌いかって基準があるわけじゃん。それがあるってことは、やっぱり本当に、感覚として(シャッター)切っている時に、無意識なのかもしれないけど、ちゃんと狙っているんだろうなって思ったよ。」

奥山「はい。」

山口「僕も音楽であるんですよ。曲を作っていて。何かに向けて作っている瞬間ってそんなに面白くなくて。ちょっとそこから脱線したりとか、適当に言葉を並べて紙に書いて、それを、ぱっぱっぱっ……て並べて意味が分からない文章になっているのを、接続語を変えたりして。それって自分で作った言葉の組み合わせだけど、自分の思った通りじゃないわけじゃん。偶然なわけで。でも、それって自分の言葉なわけでしょ。カットアップって方法なんだけど。なんかそれをね、奥山君の写真を見た時に思い出して。なるほどなって思ったし。あと、ヘアメイクの人もそうだけど、スタイリストの人もそうだけど、奥山君みたく、もうひとつ目がある人がいるよね。特にきゃりー(ぱみゅぱみゅ)ちゃんのヘアメイクとかをやっている小西(神士)さん。」

奥山「あー、同じ事務所です。」

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山口「あ、band……奥山君と同じ事務所の。小西さんとかって、一緒に撮影すると何か違和感あるじゃん、自然に見ていると。その場で肉眼で見ているとなんでこんなに髪の毛がもやっとしているんだろうとか。寝癖みたいになっているけど大丈夫かなって思うけど、写真で撮られてあがってきたのを見ると、それがすごい自然な寝癖だったりさ。ナチュラルになるわけじゃん。ってことは、それは、そこを想像できてそうしているわけでしょ。そういうもうひとつの目をもっているってことは、やっぱり経験と感覚なわけだから。でも、奥山君ってまだ24才で、19才からやっているとしても、まだ全然若いのにさ、それができているっていうのが本当にすごいなって思うし、なんか……悔しいよ。」

奥山「ははは(笑)。」

山口「だって、僕が24才の頃なんて、毎日バイトのまかないが楽しみでしたもん(笑)。お金なさすぎて。それくらい何もまだ世界のことを知らなかったのにね。でも、それができているのが天才なんだと思うよ。」

奥山「そうですかね……。っていうか、この番組を今聞いている方々が、急に出て来て、なんかこんなに褒められて、こいつ誰やねん!みたいな感じが(笑)。ちょっと怖いです(笑)。」

山口「ははは!(笑)大丈夫、大丈夫(笑)。」

奥山「大丈夫かなぁ……(笑)。」

対談はまだまだ盛り上がっていますが、今回の授業はここまで。
来週も引き続き、奥山先生と山口先生の対談の授業をお届けします。
奥山先生が監督を務めた「スローモーション」のMVについても伺います。
お楽しみに!


■サカナクション「スローモーション」(Director, Camera & Edit: Yoshiyuki Okuyama)

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