<サカナクション・江島啓一 × SUPER BEAVER・渋谷龍太>
「山下達郎 ニューアルバム『SOFTLY』の魅力を語り合う(後編)」

SCHOOL OF LOCK!


この後記の放送を聴く

聴取期限 2022年7月29日(金)PM 10:00まで




江島「はい、授業を始めますから席に着いてください。Twitterを開いている生徒はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いてる人は、イン……サカナLOCKS!のインスタアカウント(@sakanalocks_official)をフォローしなさい。授業が始まりますよ。」

江島「サカナクションのドラム、江島啓一です。今週も副担任の僕が、このサカナLOCKS!をお届けしたいと思います。」

渋谷「(黙って聞いている)」

江島「さて今夜は、先週に引き続きまして、SUPER BEAVERの……」

渋谷「ふふふ(笑)」

江島「ちょっと待って(笑)。ちょっと待って!(笑)」

渋谷「ちゃんと紹介してくださいよ!後輩がこの場にいるんだから、それはもう、私のことを先輩は立ててくれないと!しっかりと紹介して。」

江島「ちょっと不安な目で俺を見てたよね。」

渋谷「だって、前回も『Instagramを開いている人は……』のところでつまずいてるんすよ。同じところでつまずくなって(笑)。」

江島「インスタアカウントって文字があるんだけど、それがゲシュタルト崩壊するの、毎回。」

渋谷「うん……?」

江島「……いっか、この話はね(笑)。」

渋谷「くくく(笑)。自分で言っといて(笑)。」


江島「先週に引き続きまして、SUPER BEAVERの渋谷龍太先生に来ていただきました。」

渋谷「お世話になってます、本当に。いつもありがとうございます。」

江島「よろしくお願いします。山下達郎先生の11年ぶりのニューアルバムの『SOFTLY』の魅力を、まだまだしゃべりたいこともあるので、今週も山下達郎先生の曲を聴きながらくっちゃべっていこうかなと思っています。」

渋谷「くっちゃべっていきましょう。」

♪ うたのきしゃ / 山下達郎

江島「今回思ったのは、山下達郎先生自らが打ち込んだリズムの曲が多いなって。この曲もそうだし、先週聴いてもらった「LOVE’S ON FIRE」もそうだし。今まで名だたるドラマーとやられているんですよ。例えば、YMO(YELLOW MAGIC ORCHESTRA)の高橋幸宏さんとか、村上"ポンタ"秀一さんとか、ライブだと青山純さんとか……そうそうたるレジェンド級の人たちといろいろやった挙句に、最新作がこんなにも打ち込みなのかっていうこの……なんというか、ギャップというか。こうくるんだっていうところもあったんだよね。」

SCHOOL OF LOCK!


渋谷「エジさんはもちろんドラマーだし、リズムのこととかめちゃくちゃ知識あるじゃないですか。」

江島「まあまあ……それなりに(笑)。」

渋谷「ちょっと、照れた顔しないでください(笑)。あの、大きく何が違うっすかね?」

江島「なんかね、インタビューでも見たんだけど、打ち込みする人って本当に機械的なリズムを打っても味気ないリズムになっちゃうから、自分の好きなようにずらしたりするんですよ。ちょっと人間味を出すというかね。それが逆に、山下達郎先生は嫌いらしいの。」

渋谷「えー……!!」

江島「だから、全ジャスト※なんだって。」(※規則正しく並んでいる)

渋谷「めっちゃスクエアでいってるってことっすか?」

江島「そう。」

渋谷「マジ!?」

江島「だけどさ、一見してそんな感じしないじゃん?」

渋谷「場所によってはもたってる(遅れている)ように聴こえるところとか、すっげーあるっすよ。」

江島「あるよね?」

渋谷「あります、あります。」

江島「ジャストらしいの、これ。そんなジャストな打ち込みに感じないよね?」

渋谷「それは知らなかった。結構あまりにもスクエアすぎたりすると、人工的すぎて逆に気持ち悪くなったりするのがあったりするんですけど、全く感じない。やばいっすよ。」

江島「ここにも相当な研究と技みたいなのが入ってるんだろうなって思う。」

渋谷「いやー……マジか。エジさん、面白い話をしてますよ!」

江島「でもちょっとマニアックかもしれないね。」

渋谷「いや、いいですよ。"オン" で、決まった拍でリズムをとり続けることと、ちょっと後ろでとることと、前でとることって、そういう耳でバンドの音を聴いてみたりすると……このバンドはこの曲ではちょっと走ってる……前で拍をとることを "走る" っていうんですけど、走ってるって思ったりとか、このバンドはずっと後ろの方でとってるのかなとか、違う聞こえ方するかもしれない。面白すぎますね。」

SCHOOL OF LOCK!



江島「っていう曲もありつつ……あれ、何曲目だったかなー。声だけで……9曲目かな?」

渋谷「あ、9曲目は俺が次に選ぼうと思っていた曲。」

江島「あ!じゃあそれいこうよ。」

渋谷「いいんですか、9曲目の「LEHUA, MY LOVE」。」

♪ LEHUA, MY LOVE / 山下達郎

渋谷「多分エジさんが思った曲じゃないかもしんない(笑)。」

江島「じゃない(笑)。」(※江島先生が言っていたのは、8曲目の「SHINING FROM THE INSIDE」のことでした)

渋谷「でも、この曲でも俺びっくりした部分があって。ギターがツインボーカルみたいなところにいるんすよ、ずっと。」

江島「歌に近いところにいるってこと?」

渋谷「歌に近いところにいて、追っかけるみたいな形で鳴きギターがずっと入るんすよ。それが気持ち良すぎて。……くるんですよ、ここから!」

(※「LEHUA, MY LOVE」の0'38"〜)

江島「いるねー。」

渋谷「ずっとこの鳴きギターがこの曲を支配しているんですけど、1番のAメロの1周目で我慢しているところが気持ち良すぎて(笑)。2周目の半拍くって入るような感じ(笑)。俺も出して!みたいな感じで、超気持ちいいの。」

江島「ははは(笑)」

渋谷「それとこの曲ですごく特徴的だなって思ったのが、サビになったりすると、カッティングギターのチャカチャカいう音とかも入ったりするんですけど、すごく歌の間をそのために作ってるみたいな曲だなと思って。ずっと気持ちいいところで鳴っているギターとか……そっちも聴いてねっていう曲に聴こえちゃって。すごく間が絶妙だなって。歌が詰め込まれすぎてない。」

SCHOOL OF LOCK!


江島「あー、なるほどね。」

渋谷「そこがすごく、音でも気持ちいい部分もちゃんと教えてくれているような感じ。」

江島「歌だけじゃなくね。」

渋谷「この鳴きギターが気持ち良すぎちゃって、たまんねーなって。出たり入ったり……出したり引いたりみたいなのがすごく絶妙なバランス。めちゃくちゃオケが分厚いわけじゃないのに、すごく緻密に組み立てられているなっていうのがめっちゃ気持ちいい。この曲にももちろんコーラスがしっかり入っているんですけど、コーラスで担っている部分みたいなものもこのギターが俺に任せとけ!みたいな。ツインボーカルでずっと展開されているようなこの曲が気持ち良すぎちゃって。これが乙だなーって思ったっすよ。音楽家っていう一面が強い。で、この後にすげーブレイクが入るんすよ。」

(※「LEHUA, MY LOVE」3'45"〜の部分)

渋谷「……うおー!これこれ!!」

江島「うおー(笑)」

渋谷「何度聴いてもドキドキしちゃって(笑)。こんな引っ張るか!みたいな。こういうところもたまんないっすよね。」

江島「たまんないねー、今のブレイクね。」

渋谷「ドラムが……ドドドンって。」

江島「うおーいってなるやつね。」

渋谷「たまんないっす。」

江島「良い曲ですねー。」

SCHOOL OF LOCK!



江島「で、いろいろ聴いてきたんですけど、渋谷くん。」

渋谷「はい。」

江島「今週は、渋谷くんの曲も聴きたいの。」

渋谷「わ!いいんですか?私ソロでも、澁谷逆太郎という名前でやっているんですけど。その曲、エジさんすごい褒めてくれたっすよね。」

江島「あれ2020年だっけ?」

渋谷「2020年かな。」

江島「2020年で1番聴いたかもしれない。」

渋谷「いやー、マジで嬉しい……マジで嬉しい!」

江島「一緒に飲んでいる時に、この曲いいねって話をして、シティポップ好きなの?って話をしたじゃん。」

渋谷「それきっかけですよ。山下達郎さんの名前が出てきたのも。」

江島「そうだよね。」

渋谷「あの曲って……ってエジさんが言ってくれて、そうです、僕(シティポップ)大好きなんですっていうところから、それがめっちゃ伝わってきたってエジさんが言ってくれたんですよ。」

江島「そうそう、そうなのよ。」

渋谷「あれ、めっちゃ嬉しかったっすもん。」

江島「絶対好きなんだろうなって思って。においを感じてさ、あの曲から。確かめずにはいられなかった。」

渋谷「それこそ、自分で打ち込みをしてみたりとか。もともとソロでやる時に、自分たちのSUPER BEAVERっていうバンドをもっと多くの人に聴いてほしいなって思った時に、ちょっと違うベクトルから自分が音楽のアプローチをやったら聴いてくれる人、興味を持ってくれる人が増えるんじゃないかなって思って、そもそも弾き語りから始めたんですよ。でも、弾き語りって割とバンドを聴いている人の層と近かった気がして。なんとなく。なので、バンドとは全然違うところから攻めてみたいなって思って。自分がこういう音楽が好きで、こういうルーツがあって……っていうのをもしも体現したら、そこから興味を持ってSUPER BEAVERっていうバンドの音楽を聴いてくれるきっかけになったりもするんじゃないかって思って。じゃあもう振り切ってめっちゃ好きなことをやってみようと思って作ったんですよ。その曲を本当に手探りで作っていたから、エジさんが1年で1番聴いたって言ってくれた時に、やったぜ!!と思って。」

SCHOOL OF LOCK!


江島「聴いた、聴いた。めちゃめちゃ聴いた。」

渋谷「プロから褒められたぜ!と思って。」

江島「いやいや、あなたもプロ(笑)。」

渋谷「その……なんつーんですかね……その道のプロっていうか。めちゃくちゃサウンドメイクこだわったり、音の点でもすごく博識な方にそういうことを言っていただいたっていうことがすごく嬉しくなっちゃって。やったぜって気持ちでした。」

江島「だから、是非、山下達郎さんの魅力を存分に語った後に、渋谷くんのこの曲をみんなに聴いてもらって、僕と同じ感想を抱いてほしいの。」

渋谷「ははは!(笑)本当っすか?嬉しい。」

江島「なるほどねって。やっぱこう、80年代くらいから出てきたシティポップみたいな文化が海外で再評価されたみたいな流れがあって。歌を大事にしつつ、こういうアレンジみたいなものが今またきてる。そこをいち早くキャッチして2年前にリリースしていたっていうこの流れを皆さんに。」

渋谷「ふふふ(笑)」

江島「いいなって思ったんですよ、本当に。」

渋谷「ありがとうございます。めっちゃ嬉しいです。」

江島「じゃあ、曲紹介を渋谷くんにしてもらってもいいですか?」

渋谷「いいんですか?じゃあ、紹介させていただきます。澁谷逆太郎で「the curb」。」



江島「新曲の予定とかないんですか?ソロの方で。」

渋谷「エジさんとやろうと思ってるから、ちょっとまだあっためてます(笑)。」

江島「え!やりたいっす!やりたいっす!」

渋谷「本当にやりたいっす。俺はもう、エジさんとやるために……この曲とこの曲をエジさんとやりたいなみたいなのが自分の中にあったりするので。」

江島「あるの?」

渋谷「次出すならエジさんとやりたいって思ってるんで。」

江島「お!めちゃめちゃ楽しみ!」

渋谷「お願いします!!」

江島「ありがたい!こちらこそです。」

渋谷「絶対やりたいんすよ。そんな言ってくれた……というか、エジさんと曲作ったら絶対楽しいだろうなって思うから。」

江島「あ、本当?」

渋谷「めちゃめちゃプロだから!そういう人と一緒にやってみたいっすね。」

江島「これからも仲良くしてください。」

渋谷「是非です。こちらのセリフですよ。お願いします。」

SCHOOL OF LOCK!



ここで、今回の授業もそろそろ終了の時間になりました。

江島「ありがとうございます、渋谷先生。2週にわたって。」

渋谷「こちらこそですよ!ちゃんとこういう場所で、エジさんとお仕事っていう形で一緒にやらせてもらうのは初めてじゃないですか。」

江島「初めてです。」

渋谷「隣の隣くらいでベロベロになっている人っていう印象しか僕の中にはもう……(笑)。」

江島「飲み屋でね(笑)。」

渋谷「ベロベロになってるか、ステージの上でかっこいい人っていう印象の2つしかなかったから。こういうただおしゃべりするエジさんみたいなのを間近で見ることができて嬉しかったっすよ。」

江島「よかったです。勝手に渋谷くんちに行って、ソファーで寝て、そろそろ帰れって言われているだけの先輩じゃないっていうことが。」

渋谷「そうですね。僕が人生で初めて先輩に向かって帰れ!って言った日のことですよね(笑)。」

江島「でも帰らなかったっていう(笑)。」

渋谷「だって、朝10時っすよ!?(笑) 俺仕事だっつってんのになんで朝10時までいるんだと思って(笑)。良い思い出ですよね、でもね。」

江島「はい、良い思い出です(笑)。」


江島「最後に、渋谷先生から何かお知らせあったりしますか?」

渋谷「そうですね、9月28日にドキュメンタリーの映像作品がリリースされます。初めてなので、ドキュメンタリーっていうのが。是非みていただきたいっていうのと、アリーナツアーがあります。この間ホールツアーを21本完走しまして、今ライブハウスを回ったりしているんですけど、10月から12月にかけて4都市8公演アリーナツアーをやらせていただきますので、来てほしいなって思ってます。」

江島「まだチケット買えるんですか?」

渋谷「売り切れちゃっているところもあったりするんですが、まだチケット買えると思いますので、是非お願いします。」

江島「WEBサイトの方でチェックして、近くにSUPER BEAVERが来た際にはみんなで遊びにいきましょう。」

渋谷「是非です。お願いします。」

江島「僕も遊びに行っていいですか?」

渋谷「もう、あったりまえじゃないですか!来てください、エジさん!」

江島「是非是非。……あ、そうだそうだ。」

渋谷「ん?」

江島「これもらったんですよ、渋谷先生に。『都会のラクダ』っていう、バンドのあれやこれや書いている本を読ませていただきまして。まだしゃべってもいないのに他のメンバーが若干友達になったくらいの気持ちになってるのさ。」

渋谷「ははは!(笑) 嬉しい、そういう風に言ってくれて。」

江島「だから、ちょっと他のメンバーにもお会いしたいなって。」

渋谷「是非!ちゃんと紹介させてください。お願いします。」

江島「よろしくお願いします。ということで、今回の授業はここまで。サカナクションの江島啓一と、」

渋谷「SUPER BEAVER ボーカル、渋谷龍太でした。」

■SUPER BEAVER Official Web Site [→ コチラ!]

この後記の放送を聴く

聴取期限 2022年7月29日(金)PM 10:00 まで


サカナLOCKS! 放送後記

もっと見る

LOCKS!SCHOOL OF LOCK!の講師陣

  • ミセスLOCKS!

    Mrs. GREEN APPLE

  • アイナLOCKS!

    アイナ・ジ・エンド

  • Saucy LOCKS!

    Saucy Dog

  • 宮世琉弥

    宮世琉弥

  • 乃木坂 LOCKS!(賀喜遥香)

    乃木坂46(賀喜遥香)

  • 乃木坂 LOCKS!(井上和)

    乃木坂46(井上和)

  • ビーバーLOCKS!

    SUPER BEAVER

  • ヨビノリLOCKS!

    ヨビノリたくみ

  • SEVENTEEN LOCKS!

    SEVENTEEN

  • INI LOCKS!

    INI

  • 景井LOCKS!

    景井ひな

  • 新しい学校のリーダーズLOCKS!

    新しい学校のリーダーズ

ページトップへ戻る