MURAKAMI RADIO
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こんばんは、村上春樹です。村上RADIO、11月もそろそろ終わろうとしています。なんのかんの言いながら、秋もそろそろ終わろうとしています。いかがお過ごしでしょうか? 鍋焼きうどんが美味しい季節がまた巡ってきました。さて、今日の特集は温かい鍋焼きうどん……、じゃなくて、口笛入りの曲です。うちにある口笛入りの曲をせっせと集めてみました。けっこう数があります。どうして口笛入りの曲なのか? うーん、とくにこれという理由はありません。あるときふと思いついただけです。次は口笛でいってみようか、ってね。でも秋の終わりにしみじみと口笛を聴くのも、なかなか良きものではないでしょうか?

<オープニング曲>
Donald Fagen「Madison Time」

僕がまだ大学生で、三鷹の草深い田舎のアパートに凶暴な雄猫(おすねこ)と2人で暮らしていた頃、夜のだいたい同じ時刻に、必ず口笛を吹きながらうちの前を通りかかる男の人がいました。姿は見たことがないんですが、その口笛がなにしろやたらうまいんです。音色(おんしょく)も鮮やかで、音程もしっかりしている。で、最初のうちは感心して聴いていたのですが、毎日のようにそれが続くとだんだんうっとうしくなってきました。口笛って、なんかそういうところがありますよね。最初は「うまいなあ」と感心するんだけど、だんだん「うるせえなあ」とか思うようになります。どうしてだろう?

でも今日おかけする口笛入りの曲は、どれもきっとすんなり楽しんでいただけると思います。腕によりをかけて選曲しました。鍋焼きうどんでも食べながらほっこり聴きたいものです。
The Stranger
Billy Joel
The Stranger 30th Anniversary Edition
Sony Music Japan
口笛入りの曲と言えば、否応(いやおう)なくっていうか、何はともあれっていうか、弱ったなあというか……、まずこれが頭に浮かんできますね。ビリー・ジョエルが歌う「The Stranger」。口笛を吹いているのはジョエルさん本人だということです。

哀愁の口笛イントロが、がつんと印象的です。でも途中からがらっとアップテンポのロック・ミュージックに転換します。そしてまた最後に口笛入りの哀愁のアウトロ。構成が凝っています。一筋縄(ひとすじなわ)ではいかない。ちなみに僕とジョエルさんは同じ年の生まれです。僕の方が4ヵ月ほど年上ですが。
NO IMAGE
Love Letters In The Sand
Pat Boone
10 BIG HITS・PAT BOONE
Dot Records
次はがらりと変わってパット・ブーンです。彼の1957年のヒット・ソング、「砂に書いたラブレター」。全米ヒット・チャートの首位に五週間も留まっていました。すごいですね。もともとは1930年代に流行った古い流行歌なんですが、パットがリバイバルさせ、こちらがむしろ定番になりました。途中の間奏部分で口笛が入ってきます。この口笛はパットご本人が吹いているということです。なかなか上手です。 パット・ブーンは僕が10代の始めの頃は、ずいぶん人気がありました。エルヴィス・プレスリーと人気を分け合っていたくらいです。ちょい悪のティーンエイジャーたちはエルヴィス方向に流れ、よい子のティーンエイジャーたちはパット・ブーン方向に流れていたんです。僕はもちろんエルヴィス派だったけど、それでもこの曲なんか、なかなかグッドな出来ですよね。よい子になった雰囲気で聴いてください。パット・ブーン「砂に書いたラブレター」、Love Letters In The Sand。
And I Love Her
Gary McFarland
Soft Samba
Verve Records
Daydream
The Lovin' Spoonful
Daydream
Kama Sutra
ジャズ・ヴァイブラフォン奏者、ゲイリー・マクファーランドのグループが、ボサノヴァのリズムに乗せて演奏する、レノン=マッカトニーの名曲「And I Love Her」。これはほぼ全編に口笛がフィーチャーされています。当時のマクファーランドのバンドには渡辺貞夫さんが入っていたのですが、このレコードの録音のときにはいなかったみたいですね。貞夫さんと話していたとき、マクファーランドの話になったのですが、「あいつはいい奴だったな」みたいな感じで懐かしがっておられました。マクファーランド、若くして亡くなりました。

これは1964年の録音です。口笛を吹いているのが誰なのかは、クレジットはされていません。雰囲気はあるんだけど、ちょっとか細い感じの口笛ですね。全体的にCTIイージーリスニング・ジャズの先駆けみたいなサウンドですが、それもそのはず……というか、後日CTIを立ち上げたクリード・テイラーがこのアルバムをプロデュースしています。
それからもう1曲、続けて聴いてください。
ラヴィン・スプーンフル(The Lovin' Spoonful)の歌うDay Dream、1966年のヒット曲ですね。ジョン・セバスチャンの作った素敵な曲です。このちょっと浮世離れした独特のレイジーなフィーリングは、ラヴィン・スプーンフルならではのものです。曲の途中でかなり素朴な口笛が入ります。誰かはわかりませんが、きっとバンドの誰かが吹いているんでしょうね。
それでは2曲続けて聴いてください。ゲイリー・マクファーランドが演奏する「And I Love Her」。そしてラヴィン・スプーンフルの歌う「Day Dream」。
(Sittin' On) The Dock Of The Bay
Otis Redding
The Dock Of The Bay
Atlantic
NO IMAGE
Save Your Heart For Me
Gary Lewis & The Playboys
The Best Of Gary Lewis & The Playboys
EMI USA
口笛入りっていうことで頭に浮かんでくる曲の1つにオーティス・レディングの歌う「(Sittin' On) The Dock Of The Bay」があります。「港の突堤(とってい)に座って」。口笛は曲の最後の方でちょこっと出てくるだけなのですが、それがすごく印象的に耳に残ります。この口笛を聴くたびに、ああ、オーティス、もう亡くなったんだなあ……と一抹(いちまつ)の寂しさを感じたものです。オーティスはこの録音をおこなった3日後に飛行機事故で亡くなりました。1967年のことです。この「(Sittin' On) The Dock Of The Bay」は彼の死後に全米チャートの首位に輝きました。口笛はオーティス自身が吹いているのでしょうかね? クレジットがないのでわかりません。しかし楽器担当者のクレジットはあっても、口笛のクレジットってまずないんですよね。とても知りたいんだけど。

それからオーティスの音楽とはがらっと雰囲気が違いますが、Gary Lewis & The Playboysの歌う「Save Your Heart For Me」を聴いてください。「君のハートは僕のもの」、1965年に発売されて全米チャートの2位にまで上がりました。ロック・ミュージックがだんだん難しく複雑になり始めた頃に出てきた、お気楽なポップ・グループで、世間的にはかなり軽く見られていましたが、でもなかなかよく作られた曲だと思います。こういうタイプのものも必要なんですよね。けっこうしっかり口笛がフィーチャーされています。
それでは2曲続けて聴いてください。オーティス・レディングが歌う「(Sittin' On) The Dock Of The Bay」。それからGary Lewis & The Playboysが歌う「君のハートは僕のもの」。
William Tell Overture
Fred Lowery
Whistle A Happy Tune!
Decca
これまでは部分的に口笛が使われる曲をかけてきたのですが、ここでせっかくですから、全編口笛という本格的なやつをいってみたいと思います。フレッド・ロウリーという口笛専門の演奏家がアメリカにいまして、この人は1909年に生まれて、1984年に亡くなっていますが、盲目だったんです。2歳のときに猩紅熱(しょうこうねつ)にかかって視力の大半を失いました。それで視覚障害者のための訓練施設に入ったのですが、そこで「バード・コール」、鳥寄せの専門家に出会い、いろんな鳥の声の真似を教わります。
しかしロウリーさんは鳥の真似だけでは飽き足らず、それをきっかけとして口笛の奥義(おうぎ)を究め、楽器を持たないヴィルトゥオーゾとしてビッグバンドと共にステージに立ったり、またラジオ番組にレギュラー出演したりして、全国的な人気者になったということです。
この人がロッシーニの「ウィリアム・テル序曲」を吹きます。これ、かなりの熱演ですので、しっかり耳を傾けてあげてください。1960年の録音です。なにしろ65年前に発売された古いアナログ・レコードなので、途中でプチプチッと軽くスクラッチが入りますが、例によって聞こえなかったふりをしてくださいね。
うーん、このエンディング、かなり強烈ですね。感心してしまいます。しかし、こういう人が毎晩うちの前を通りかかったら、やっぱりちょっと疲れるかも……ですね(にゃー)。

<収録中の村上DJのつぶやき>
やっぱり、うまいね。
Once Again (Outra Vez)
Antonio Carlos Jobim
A Certain Mr. Jobim
Warner Bros. Records
今度はボサノヴァを聴いてください。アントニオ・カルロス・ジョビンが「オトラ・ヴェス(Once Again)」を演奏します。
ギターを弾いているのはジョビンで、編曲はクラウス・オーガーマンですが、口笛のクレジットはやはりありません。あるいはジョビン本人が吹いているのかも知れません。しかしボサノヴァと口笛って、なんか共感性みたいなのがあるんでしょうか、とてもしっくりと馴染みますね。
The Gypsy Rover
The Highwaymen
Standing Room Only!
United Artists Records
共感性といえば、口笛はフォークソングやカントリー・ミュージックにもしっくり馴染みます。1960年代に活躍したフォーク・ソング・グループ、ハイウェイメンの歌を聴いてください。ハイウェイメンは「漕げよマイケル」のヒットで知られていて、こちらにもしっかり口笛が入っていますが、今日は「The Gypsy Rover」を聴いてください。「さすらいのジプシー」、僕は中学生のときこのシングル盤をバーゲンで100円か200円で買いました。この曲にも口笛がたっぷりアレンジされています。

一度、ハーヴァード大学の偉い女性教授と話していたとき、音楽のことが話題になりまして、彼女が僕に「実は学生時代、ハイウェイメンっていうフォーク・バンドの〇〇くんが私のボーイフレンドだったの」と打ち明けてくれました。それで僕がずっと昔「The Gypsy Rover」のレコードを買った話をしたら、彼女はとても喜んでくれて、話がけっこう盛り上がりました。「漕げよマイケル」はみんな知っているけど「The Gypsy Rover」を知っている人は少ないですから。しかしハイウェイメンに限らず、当時のフォークソング・グループをやっていたのは、ハーヴァードみたいなエリート大学の学生が多かったんですね。いわば、いいとこのお坊ちゃんの趣味の音楽だった。そんな中にボブ・ディランみたいな野人(やじん)がぽこっと出てきたものだから、その衝撃は大きかったんですね。
ハイウェイメンが歌います。「The Gypsy Rover(さすらいのジプシー)」。1人のジプシーが、口笛を吹きながら丘を超えてやってきて、美しいお姫様の心を奪ってしまいます。放送で「ジプシー」っていう言葉はあまり口にしちゃいけないんですが、歌の題だからこれはしょうがないですよね。その部分に「ピー」って音を入れるわけにもいきませんし。
Tumbling Tumbleweeds
Sons Of The Pioneers
Tumbling Tumbleweeds - The RCA Victor Years, Vol. 1
RCA
カントリー音楽を聴いてください。「Sons Of The Pioneers(開拓者の息子たち)」という名前のコーラス・グループが歌います。Tumbling Tumbleweeds。
タンブルウィーズというのは日本語では「回転草(かいてんぐさ)」と訳されていますが、根元からぽきっと折れて、丸いボールみたいになって、風に吹かれてころころ転がっていく植物のことです。そういう風に移動して、生育範囲を広げていきます。西部劇映画を観ていると、よく出てきます。歌の途中で口笛が入りますが、いかにものんびり西部っぽくて素敵です。録音は1946年です。この飄々(ひょうひょう)とした歌、僕はなぜかわりに昔から好きです。
Georgy Girl
The Seekers
Capitol Collectors Series
Capitol Records
口笛が印象に残る曲というと、シーカーズの「ジョージー・ガール」もその1つですね。1967年のヒット曲、同名の映画の主題歌です。シーカーズはオーストラリアのグループで、まずイギリスで、それからアメリカで大ブレークしました。そして彼らに続いて、多くのオーストラリア出身のバンドが世界的に活躍するようになりました。ビージーズ、オリビア・ニュートン・ジョン、メン・アット・ワーク、エアサプライ、AC/DC、インエクセス、カイリー・ミノーグ……数え上げるとキリがありません。でもそれまではオーストラリアってほとんど見向きもされない、音楽不毛の地だったんです。シーカーズがその草分け的な存在でした。聴いてください。シーカーズが歌う「ジョージー・ガール」
Don't Worry, Be Happy
Bobby McFerrin
Simple Pleasures
EMI Records
最後になりますが、ボビー・マクファーリンの「Don't Worry, Be Happy」をかけます。「くよくよするな、ハッピーでいこうぜ」、体全体が楽器というマクファーリンさんですから、口笛を吹いているのももちろんマクファーリンさんご本人です。みなさんもくよくよしないで、ハッピーになってくださいね。
Whistle Stop
João Donato Arranged And Conducted By Deodato
DonatoDeodato
Muse Records
今日のクロージング音楽はブラジルのミュージシャン、ボサノヴァ音楽の草分けの1人、ジョアン・ドナートが演奏する「ホイッスル・ストップ」です。口笛を吹いているのはロメオ・パンケという人です。この人の担当楽器は「flute & whistle」とちゃんとクレジットされています。そうですよね、口笛だって立派な楽器です。差別してはいけない。しかしとても軽快な演奏ですね。キーボードを弾いているのはエウミール・デオダートとジョアン・ドナート、トランペットはランディ・ブレッカーです。
さて、今月の言葉は俳人・山口誓子(やまぐち・せいし)さんの俳句です。この句は1944年に詠まれたものです。
海に出て 木枯らし帰るところなし

木枯らしが勢いよく吹いて、その勢いでさあっと海の上に出ちゃったんだけど、海はあまりにも広くて、これじゃ帰り道がわからないよ、と困っている情景ですね。
「木枯らし」というきりっと厳しいイメージと、「帰るところなし」という軽妙さがうまく同居しています。
ただこの句には「出撃したまま返ってこなかった特攻隊員を悼む句である」という解釈もありまして、「うーん、なるほど、そういう読み方もできるのか」と感心しますし、また誓子さん自身も10年以上経ってから「そのとおりだ。特攻隊員の片道飛行を念頭に置いて私はこの句を詠んだ」と言っています。でもそれにしても僕としては個人的に、やはり軽妙さのほうを取りたいかなと思います。
海に出て 木枯らし帰るところなし

ところで僕も木枯らしを季語として一句作ってみました。
おい誰か 木枯らし2号を知らないか?

「木枯らし1号」はみんなに注目されるのに、2号は誰も振り向いてくれない。それじゃ、2号くん、すねちゃいますよね。発生したのはたった5、6分しか違わないのにさ……。ええと、あまり意味のない句ですが。
ちなみに……、「木枯らし2号」は以前、僕が差し上げたラジオネームの1つですが、今回また「ラジオネームプレゼント」をやりたいと思います。来年1月の放送でメールをご紹介した方に、僕からお年玉として、それぞれ特製ラジオネームを差し上げます。ただし、ラジオネームをもらっておきながら使わないでいると、場合によっては祟(たた)りがあるかもしれません。もしそれでよければ、応募してきてくださいね。詳しくは番組のオフィシャルサイトを見てください。
それではまた来月。

スタッフ後記

スタッフ後記

口笛。国籍や老若男女問わず誰もが持っている楽器ですよね。そんな誰しもに身近で手軽なものが、これほど多様な曲に使われていたとは少し驚きました。レコーディングに立ち会ったら楽しそう♪ 私は最近ようやく音が鳴るようになったので、もう少し練習して早く吹けるようになりたいです。リスナーのみなさんは、口笛吹けますか?(「村上RADIO」スタジオ・チーム)

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村上春樹(むらかみ・はるき)プロフィール

1949(昭和24)年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。’79年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ノルウェイの森』、『国境の南、太陽の西』、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』、『1Q84』(毎日出版文化賞)、最新長編小説に『街とその不確かな壁』がある。『神の子どもたちはみな踊る』、『東京奇譚集』、『パン屋再襲撃』などの短編小説集、『ポートレイト・イン・ジャズ』(絵・和田誠)など音楽に関わる著書、『村上ラヂオ』等のエッセイ集、紀行文、翻訳書など著訳書多数。多くの小説作品に魅力的な音楽が登場することでも知られる。海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、’09年エルサレム賞、’11年カタルーニャ国際賞、’16年アンデルセン文学賞を受賞。