MURAKAMI RADIO
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第1部

♪Madison Time―

こんにちは、村上春樹です。
今日は、「村上JAM Vol.3~熱く優しい、フュージョンナイト~」をお送りします。
昨年2024年6月29日に東京の「すみだトリフォニーホール」で開催したライブです。
村上JAMも今回で3回目になりました。僕が総合プロデュースをして、音楽監督はいつもの通り、ジャズピアニストの大西順子さんにお願いしました。ギターのマイク・スターンやベースのジョン・パティトゥッチも参加してくれました。

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「村上 JAM Vol.3~熱く優しい、フュージョンナイト~」。
会場に来られなった方もラジオの前でゆっくり「村上JAM」を楽しんでください。

村上)こんばんは、村上春樹です(会場拍手)。

美雨)こんばんは、坂本美雨です(会場拍手)。ラジオ番組「村上RADIO」から生まれたライブイベント「村上JAM」。第3回目です!

村上)もう3回目なんですね。だんだん会場が大きくなって、次はマディソン・スクエア・ガーデンじゃないかと思ってるんですけど(会場笑)

美雨)夢は大きく持ちましょう!1回目の村上JAMは2019年でした。もう5年前になります。2回目はボサノヴァナイト。コロナ禍、真っ最中でした。

村上)ボサノヴァ・ナイトは美雨さんが歌を歌ってくれたんですよね。

美雨)緊張しました!そして今回の3回目は、熱く優しいフュー―ジョンナイト。総合プロデュースはもちろん、村上春樹さん!(拍手)
音楽監督は、大西順子さんです!(拍手)
今日はこの美しいホールでみなさんと一緒に楽しみたいと思います。村上春樹さん、それでは行きましょうか。みなさんどうぞ楽しんでください!

美雨)あらためまして、こんばんは。
「村上 JAM Vol.3~熱く優しい、フュージョンナイト~」です。……そもそもフュージョンというのはどういう音楽なんでしょうか?

村上)それについて話し出すと長くなっちゃうけど。フュージョンとはなにかと言われても一口では言えないんですよね。マイルズ・デイビスのグループのわりとハードなエレクトリック・ミュージックがあって、スタッフとかクルセイダーズのソウルミュージックよりの音楽があって、それからリー・リトナー、ボブ・ジェイムズみたいな明るくハッピーなシャレた音楽があるわけです。一口では語れないんだけど、無理にくくっちゃえば、1970年代半ばから80年代にかけて一世を風靡(ふうび)した電気楽器を中心にしたジャズスタイルというふうに言えると思うんです。
1960年代というのは、僕も1960年代に青春時代を送ったんだけど、ジャズにとっては非常にスリリングな時代だったんです。その時代にはジャズは二種類の流れがあって、一つはフリージャズ、もう一つはモードジャズ。その二つがおおむね中心になってどんどん進化していったんだけど、進化の度合いが早すぎて、それがジョン・コルトレーンの死によって一種のブレイキングポイントみたいになって、どうしていいかわかんなくなっちゃうわけ。ここでこれ以上何をやればいいのかということになって、みんなが行き詰っているときに、ひょっと出てきたのがフュージョンなんですよね。フュージョンというのは、電気楽器、とくにエレピ(エレクトリックピアノ)とエレベ(エレクトリックベース)を強調した、そしてリズムをより細分化したサウンドなんです。そのころ行き詰っていたジャズシーンにフュージョンが入ってきたときは、息苦しい部屋の窓を開けたみたいな、さわやかな風が吹き込んできたんですよね。そのフュージョンミュージックが一世を風靡した時期はとても楽しかったんです。その楽しさをもう一回リバイバルできたらなと思うんです。ただ今夜のフュージョン・ナイトはそういうレトロ的なことだけじゃなくて、より新しいイディオムとテイストを付け加えた新しいフュージョンを聞かせてくれるんじゃないかと、僕は期待しています。

美雨)その期待を背負っているのが、今回も音楽監督を務めてくださる大西順子さんです。春樹さんがいつも無理を言って困らせているという順子さん、今回もとても苦労があったのではないかなと思いますが、今日に備えてくださいました。お迎えしましょう、大西順子さん!

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美雨)今回、バンドメンバーもすごいんです!わたしのほうから紹介させていただきます。
ギターは Mike Stern。帝王マイルズ・デイビスのプレイを支えた名ギタリストです。
ベースは John Patitucci。チック・コリアのバンドメンバーで、グラミー賞にも3度輝いていらっしゃいます。
サックスは Kirk Whalum。スムースジャズの第一人者です。
ドラムスは Eric Harland。多彩なプレイが印象的です。
トランペットは黒田卓也さんです。NY を拠点に国内外で活躍なさっていて、ホセ・ジェイムズのアルバムにも参加なさっていました。こんなメンバーが揃うことってなかなかないですよね。

村上)とても興味深いメンバーでどんな音楽が演奏されるかとても楽しみです。

美雨)このメンバーでお送りするフュージョン・ナイト、春樹さんワクワクしますね!

村上)ほんとに!

美雨)ではさっそくライブに移りたいと思います。春樹さんとわたしも客席から楽しませていただきたいと思います。では大西さん、よろしくお願いします。

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M1(Jean Pierre)Miles Davis
M2(Ana Maria)Mike Stern
M3(Spain)Chick Corea



美雨)素晴らしい演奏でしたね!

村上)本当にライブの音楽って、心にも身体にも沁みます。

美雨)みなさん楽しそうで、とくにギターのマイク・スターンが前に出てソロを弾いて帰ってくるとき、みなさんに向かって、にかーって笑うと、思わずつられて皆さんも笑ってしまって……。

村上)懐かしいけど新しいという素晴らしい演奏でした。

美雨)ありがとうございました。

村上)これはアレンジメントも順子さんがやったんですか。

大西)アレンジって特にしてないんですよ。

村上)ほんとに⁉ へーっ……。

大西)そうです。ただインプロビゼーションの世界なので、全員が音楽性が高いので……。

村上)でも「Spain」の前に「アランフェス協奏曲」が入ったじゃないですか。

大西)あれは私が黒田卓也君に無茶ぶりして。普段はチック・コリアさんが一人で弾いていらっしゃるんですけど、そこをあえて、マイルズの「アランフェス」ともかけて……。

村上)あれ、素敵だったです。

大西)ありがとうございます!かなり黒田君が頑張ってくれました。

美雨)皆さん余韻に浸りながら聞いてください。椅子の準備ができましたので、ちょっと移動しましょうか。
Thank you all for coming back to the stage!大西さん、バンドメンバーの皆さん、あらためてお疲れさまでした!ありがとうございました!(会場拍手)

美雨)大西さん、音楽監督として今回は春樹さんに「フュージョン」というテーマを投げかけられまして、いかがでしたか。

大西)最初は「フュージョン」といってもあまりに幅広いので、どこを切り取ってやればいいのかとか、やっぱりけっこう悩んだんですけど。いつも春樹さんには命題を出されるんですが、その中でわたしが荒れ狂ったように(ピアノ)を弾かなければいけないという命題も常に出されているので、弾きまくれと。まあ、わたしがなじむ曲をなるべく選びました。

村上)そもそもどうしてフュージョンをやろうと思ったかというと、僕は順子さんの弾くエレピが割と好きなんですよね。

大西)珍しいですね……。

村上)前に大西さんと日野皓正さんとラリー・カールトンとジョン・パティトゥッチが一緒にやったコンサートに行って、素晴らしかったんです。あのサウンドを再現したいなと思ったら、今回はマイク・スターンさんが入って全然違う感じになったんだよね。

大西)よりジャズに近づいたというか、自由度が増している感じはしてるんですけど。いろいろなヒット曲をちりばめたので、私にとっても新鮮な時間もありました。

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美雨)ここからは、通訳の丸山京子さんにも入っていただいて、春樹さんからバンドメンバーの皆さんに質問をしませんか。

村上)じゃあ、マイク・スターンに。10代のころの音楽のアイドルは誰だったんだろう?

マイク)まずは皆さんに「心からありがとう!」と言わせてください(拍手)。10代のころのアイドルはたくさんいましたが、ギターだったらジミー・ヘンドリックスが好きだったし、お母さんがクラシックのレコードをかけてくれていたので、ピアニストの演奏とか。ジャズだったらハービー・ハンコックとかマイルズ・デイビスなどが好きでした。

村上)ジャズギタリストで好きな人はいましたか。

マイク)ウェス・モンゴメリーとかジム・ホールとか。あと何百万人もいますけど(笑)。特に好きなのはこの二人ですね。

村上)僕にはとても想像できないんだけど、マイルズ・デイビスのレギュラーメンバーになるというのはどんな気持ちがするんでしょうね。

マイク)すごく怖かったです。でもマイルズって人が思うほど怖い人じゃないないというか。タフな部分はあって、愛情とかも表立ってみせるタイプではないけれど、楽しい一面、人に対して優しい面もあり、すごく思慮深い人だと思います。

村上)いつもミュージシャンの方には聞くんだけど、練習は好きですか。

マイク)実は練習が好きです。やり続けると勢いを落とさずにできるので、毎日ちょっとでもするようにしています。そうすると、苦ではなく楽しくできます。

村上)文章を書くのは練習しなくてもいいので、楽なんですよね(笑)。

美雨)ジョン・パティトゥッチさんへの質問はいかがですか。

村上)10代のときの音楽的なアイドルは誰ですか。

ジョン)ジェイムス・ジェマーソンとかチャック・レイニーとかウィリー・ウィークスなど、モータウン系のベーシストたちが好きです。あとフィラデルフィアのベーシストも好きです。あとカーティス・メイフィールドのベーシスト、ジョセフ・スコットなど、そういう人たちがアイドルでした。あとレイ・ブラウンとかロン・カーターとかスタンリー・クラークとかボール・チェンバースとか、たくさんいます。

村上)練習は好きですか。

ジョン)好きです。一人で練習をしたり、音楽を聴く時間はとても長くて、それをとても楽しんできました。そのプロセス自体が好きなんです。常にうまくなりたいという気持ちを持ち続けることが好きです。

村上)あんなに指を早く動かして疲れないですか?

ジョン)エレキベースはそんなに体に負担はないんですよね。アコースティックベースは何時間も弾いていると疲れてくるというか……、フィジカルな楽器なので。

美雨)練習は好きですか、とみんなに訊いていきたいくらいですね。面白いです。

村上)僕は、楽器はなにもできなくて。いくつか試したんですけど、どれもだめで。だからプロのミュージシャンに会うと、聞くことにしてるんです。

美雨)ちなみに大西さんは?

大西)わたしですか、そうですね。ほんとに歯磨きみたいな感じでやらないといけないみたいな、そういうのもあるんですけど、好きかって言われると、あんまり好きじゃないですね、わたしは。仕方なくやっています。若いときは身についていくことが実感できたので、好きだったかもしれないけど、最近は現状維持のために一生懸命やっているので、こうなると結構辛いですね…

美雨)うちは父(故坂本龍一)も母(矢野顕子)もそこまで毎日毎日練習していたという記憶があんまりなくてですね。みんなどのくらい練習するんだろうかと思ったりするんですけど(笑)。でもなにかの前になるとどこかにこもって、合宿のように一人で練習しに行ったりしていましたけど。もっともっと皆さんにも質問したいんですが、そろそろ締めなければという耳打ちが聞えまして……。

大西)皆さん今日は素晴らしい演奏だったんですけど、エリックは特に素晴らしかったですね(会場拍手)。

美雨)素晴らしい演奏を聴かせてくださった皆さんと、それを引き出しまとめてくださった音楽監督の大西順子さんにもう一度大きな拍手をお願いします!

今日は、昨年6月29日に開催した 「村上 JAM Vol.3~熱く優しい、フュージョンナイト~」を放送しています。 ライブの素晴らしさとか会場の熱気が伝わっていたらいいんだけど。 このあと第2部も盛り上がります。最後まで楽しんでください。
第2部

村上春樹です。
ここからは「村上 JAM Vol.3~熱く優しい、フュージョンナイト~」第2部。
昨年 6 月 29 日に「すみだトリフォニーホール」で開催したライブです。バンドメンバーは、音楽監督でピアノの大西順子さん、ギター:マイク・スターン、ベース:ジョン・パティトゥッチ、サックス・カーク・ウェイラム、ドラムズ:エリック・ハーランド、トランペット:黒田卓也さんです。
「村上 JAM Vol.3~熱く優しい、フュージョンナイト~」、第2部も楽しんでください!

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M4(Direction)Joe Zawinul
M5(Cantaloupe Island)Herbie Hancock
enc(Some Skunk Funk)The Brecker Brothers

(会場の拍手に乗せて)
美雨)そろそろこの夢のような時間も終わりに近づいてきてしまいました。

村上)素晴らしかったですね。

美雨)春樹さん、いかがでしたか。

村上)さっき言ったことだけど、生の音楽を聴くと心に残るんですよね。僕もこれまで長い人生のなかでいろいろなコンサートを聴いてきたけど、みんな少しずつカケラになって残っていて、それってすごく大事なことなんです。今日の音楽のいくつかのカケラを胸にしまって、お帰りください。

美雨)本当に皆さんの心に残ると思います。「村上 JAM Vol.3~熱く優しい、フュージョンナイト~」でした。どうもありがとございました。

村上)ありがとうございました。

美雨)ご案内は……

村上)村上春樹と……

美雨)坂本美雨でした!どうもありがとうございました!おやすみなさい、よい夜を!


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♪Wing and a Prayer.Mike Stern 1140

今日のクロージング音楽は、残念ながら時間の都合でオンエアできなかった曲です。マイク・スターンの「Wing and a Prayer」。
「村上 JAM Vol.3~熱く優しい、フュージョンナイト~」、楽しんでいただけましたか。
今回素晴らしい演奏を聴かせてくれた大西順子さん、バンドメンバーの皆さんに、あらためてお礼を言いたいと思います。ありがとうございました、とても楽しかったです。坂本美雨さんもいつもどうもありがとう!

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ところで、この番組のプロデューサーの延江浩さんが4月6日に亡くなりました。突然の訃報でした。延江さんは7年前にこの番組を立ち上げ、ずっと熱く支えてくれました。ご冥福を祈ります。

そして、「村上 RADIO」は毎月最後の日曜日、夜7時から放送しています。

5月のテーマは「ワルツが聴きたい!」です。聴いてください。
それではまた。

オンエアした曲目
M1(Jean Pierre)Miles Davis
M2(Ana Maria)Mike Stern
M3(Spain)Chick Corea
M4(Direction)Joe Zawinul
M5(Cantaloupe Island)Herbie Hancock
enc(Some Skunk Funk)The Brecker Brothers

バンドメンバー
大西順子
Mike Stern(マイク・スターン)
John Patitucci(ジョン・パティトゥッチ)
Kirk Whalum(カーク・ウェイラム)
Eric Harland(エリック・ハーランド)
黒田卓也

スタッフ後記

スタッフ後記

  • 村上RADIOが始まったばかりの2018年の秋、収録後に僕たちスタッフは村上さんや延江浩プロデューサーとこんな会話をした。「春樹さんの小説家デビュー40年記念のジャズ・ライブをやれたらいいですね」「“村上JAM”はどうかな。色んなミュージシャンに来てもらって」……夢は実現した。第1回村上JAM(2019年6月TFMホール)は日本のジャズ界のレジェンドが集(つど)っただけでなく、小説の朗読あり飛び入りトークありの、まさしくJAMセッションだった。
    https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/index_20190825.html
    https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/index_20190901.html
    第2回村上JAMは、「いけないボサノヴァ」と題して、2021年2月(TFMホール)でTOKYO FM開局50周年を記念して行われた。閉塞感のあるコロナ禍の時代に村上さんが心をこめておくるボサノヴァの「村上JAM」であった。
    https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/index_20210329.html
    そして今回の村上JAM 。三度目の奇跡の夜が、すみだトリフォニーホールに降臨した。熱く優しい、夢のようなフュージョンナイト!リスナーのみなさん、最高の演奏と楽しいアフタートークをラジオで存分にお楽しみください。(エディターS)
  • 3回目となった『村上RADIO』のライブイベント「村上JAM」。場所は、すみだトリフォニーホールで、音楽テーマは80年代に一世を風靡したフュージョンでした。私は開演前のBGMを担当して、そこではソウルミュージックよりのフュージョンを流したのですが、実際の演奏はよりジャズに近づいた「熱さ」と「優しさ」が混ざり合った、まさにオリジナルのフュージョンスタイル。音楽監督の大西順子さんが絶賛していたエリックさんのドラムソロが強烈で、あまりに凄すぎてリズムの規則性を見失い呆然と立ち尽くした記憶があります。春樹さんが語っていた「生の音楽を聴く」ことの大事さ、その音楽のカケラがラジオでも伝わっていたら嬉しいです。(キム兄)
  • 1回目、2回目の会場はホームのTOKYO FMホールでしたが、今回はキャパ1800人のすみだトリフォニーホール。海外アーティストをお迎えするのも初めてで、通訳の方との打ち合わせがあったり、春樹さん美雨さんの動線をチェックしたりと、舞台裏はてんやわんやでした。いろいろ不安もありました。でもいざ幕が上がると、アーティストのみなさんが来場者の熱気にあおられて、熱く熱く盛り上がっていくのがわかりました。不安は吹き飛び、幸せな時間になりました。音楽で会場全体がひとつになる感じ。少しでも伝わったらうれしいです。(構成ヒロコ)
  • 今回の村上JAMいかがだったでしょうか。大西順子さんの鋭く熱いピアノソロに圧倒されましたね!フュージョン好きの自分としては、マイク・スターンが弾くスペインや、ジョン・パティトゥッチがサム・スカンク・ファンクを演奏している様子もなかなか胸熱でした。打ち込みやサンプリングで構成された音楽が多いこの時代に、10分を超えるようなインプロヴィゼーションの応酬はなかなか聴けないスリリングな体験です。音楽が生きていることを改めて実感させてくれる、そんな村上JAMだったと思います!(CAD伊藤)
  • 自分の想像以上に会場も、そして自分自身も大いに盛り上がった村上JAM Vol.3。普段リスナーの方と直接話すことはあまりないので、今回は直にインタビューをして、皆さんの熱意を感じられたことも嬉しかったです。また外国の方も複数いてびっくり!チケットは完売だったので、来られなかった方もぜひ会場の熱を感じてください!(ADルッカ)

村上春樹(むらかみ・はるき)プロフィール

1949(昭和24)年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。’79年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ノルウェイの森』、『国境の南、太陽の西』、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』、『1Q84』(毎日出版文化賞)、最新長編小説に『街とその不確かな壁』がある。『神の子どもたちはみな踊る』、『東京奇譚集』、『パン屋再襲撃』などの短編小説集、『ポートレイト・イン・ジャズ』(絵・和田誠)など音楽に関わる著書、『村上ラヂオ』等のエッセイ集、紀行文、翻訳書など著訳書多数。多くの小説作品に魅力的な音楽が登場することでも知られる。海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、’09年エルサレム賞、’11年カタルーニャ国際賞、’16年アンデルセン文学賞を受賞。